大阪市大病院の禁煙対策取り組みについての講演
 
 4月まで庶務課で病院での禁煙対策に取り組んでいました。よろしくお願い致します。本日は、大阪大学附属病院の禁煙の取り組みについてご紹介させていただく機会を賜り、関係者の皆様に感謝いたします。それについての説明を致します。
 大阪市大病院の施設配置、禁煙前の状況の説明をします。(図参照)


 
 
病院の喫煙対策についの説明 :

  禁煙前は病院内に4カ所の喫煙室があり、これ以外に食堂と喫茶室に喫煙カ所(分煙)がありました。タバコの販売は、1階の食堂前に自動販売機がありました。また地下のコンビニでも販売していました。病院では、喫煙対策委員会を設け、病院内、事務室内の両方で検討していき、病院内の喫煙対策としては分煙の方向を考えていましたが、平成16年1月から完全禁煙をめざし検討して行きました。


 
これに至った経過を説明 します
  病院は分煙を目指していましたが、この間に大阪府より出された「平成14年大阪府たばこ対策ガイドライン」の基準にもとづいて検討しました。
 平成17年までの医療機関の取り組み目標の、"全面禁煙又は空間分煙を実施する"という内容をもとに検討に入りました。(図参照)
 完全空間分煙ということで建物の外に喫煙場所設けることをイメージしました。完全分煙は既存の喫煙室で可能かどうかを検証しました。

 
 (図参照) これが以前の喫煙室でした。扉のない状態で、空気清浄機等の設置も極めて難しいです。地下1階の喫煙室はかなりの方が利用され、状況は良くなく、この煙を完全に除去するのは難しく思われました。屋外での喫煙場所の設置も検討しましたが、場所的、設備的、経済的に確保も厳しく、病院では分煙から禁煙に方向を転換しました。

 
 平成16年1月より全面禁煙の実施
 実施するにあたり、患者様や職員の協力、理解をいただきました。周知には十分な期間を設け、各フロアー、各待合室の掲示板に禁煙掲示をしました。


 現在は禁煙が実施されていますので、1階の待合室、玄関、院内の掲示板、外来の待合室の掲示板、病棟の掲示板等に禁煙の案内をしています。


 病院の6階に屋外庭園がありますが、屋外と言うことでなかには喫煙をする方もあるので、出口に禁煙表示をし、数カ所にステッカー等を貼りました。 これについては禁煙実施の周知を実施の3カ月前である平成15年10月からはじめました。
 
 
 入院の患者様には1月から3月まで入院パンフレットにに禁煙周知のお知らせを挟ませて頂きました。

 
 院内放送は、実施1カ月前から禁煙の案内をしました。 実施にあたり職員の理解や協力が不可欠であり、職員の啓発のために10月に「職場安全衛生講演会」を奈良女子大の高橋先生の講演を開催しました。

 
 講演には180名が参加しました。アンケートの結果、132名の回答があり、そのうち40%が喫煙者で、喫煙者中、禁煙、もしくは禁煙に取り組むとの回答が8割方でした。
 次に非喫煙者は約6割で、まわりや家族に禁煙を勧める方が7割となっています。病院の禁煙にあたってはこの講演は効果があったと思われます。

 
 次に患者様に対する、たばこに関する質問等については内容をまとめスタッフに説明し配布しました。
 
 
 現状の喫煙防止対策としてはトイレ等や喫煙の多い場所にポスターやステッカーを貼っています。


 また、ライターの炎の感知器を試行的に5階のトイレに2ヶ所取り付けました。

 
 
禁煙前は玄関の外に灰皿を設けていましたが、1月の実施後は柱の手前に2ヶ所に設けました。4月には灰皿を 全て無くしました。

 
  禁煙実施後の課題         Osaka Ctiy Universy Hospital

    @ 全館禁煙になった後の患者さまのご意見

      
禁煙に取り組む前の15年10月以前は

         ・禁煙を希望する要望は 5件
         ・喫煙室の増設の要望は 9件 でした。

        禁煙を16年1月から実施すると公表した後は

         ・禁煙を徹底してほしいとの要望は 2件
         ・喫煙場所を1カ所でも設けてほしいとの要望は6件 でした。


徹底   

 
 今後の禁煙実施の課題

  禁煙に取り組む前の15年10月以前は禁煙の要望が5件、食堂での禁煙、タバコの販売の禁止の要望がありました。喫煙室の増設が9件、禁煙を16年1月から実施は公表すると公表したあとは、10月以降は禁煙の徹底、6階屋外庭園の完全禁煙の要望がありました。
しかし全ての場所が禁煙のため、1ヶ所だけ喫煙を認めて欲しいとの要望もありました。

徹底

 
 喫煙者への聞き取り:

  病院の禁煙は仕方がないとか、禁煙になって良かったという意見がありました。しかしながら、喫煙者からは喫煙場所が憩いのひとときで交流の場所になっており、完全禁煙は喫煙者の配慮に欠けるとの意見もありました。しかし、病院の社会的な役割や、病気やけがを治し健康を回復してもらう場所であることや、たばこが健康を損なうおそれが有るとの説明をしましたが、納得はして貰えなかった方もおられます。患者同士の交流についての場所は必要だと感じています。
禁煙の取り組みのアンケートの実施については今後関係部門と連携して検討していきます。

次に喫煙者の入院時のサポート態勢ですが、内科医の協力を得まして指導や相談の出来る態勢の準備をしている段階です。

 
 大阪市民病院の状況の禁煙状況を報告

   総合医療センター、十三市民病院、北市民病院、住吉市民病院とも4月1日から全館禁煙になりました。


 まとめ

 禁煙の取り組みに際し多くのご支援、ご協力をいただきました、大阪市大病院、近畿大学附属病院、大阪府立病院、大阪市の心の健康センター、健康政策課の皆さん、奈良女子大の高橋先生にお世話になりました。この場をお借りしてお礼を申しあげます。 ありがとうございました。
 1月より禁煙を実施してまだ5カ月です。病院内の禁煙はこれからも職員、患者さまの理解、協力なしでは続けていくことは出来ません。 これからも皆様の声を反映しながら運営していきたいと考えております。ご清聴ありがとうございました。

質 疑 ・ 応 答
Q1 1月1日からたばこの自動販売機が無くなり喫煙場所が無くなりましたが、喫煙者は実際どこで吸われていますか?
A1
 
事務室内は、それまでの時間内禁煙から1月1日より全面禁煙になりました。職員は休憩中および昼食後に病院の外で喫煙しています。
Q2
2004年1月1日から全面禁煙になり玄関の灰皿は4月に撤去し、3ヶ月の猶予期間があった ようですが、患者さんには理解していただけたのですか? 患者さんからなにか意見が無かったか聞かせてください。
A2 1月1日からどの場所も全面禁煙にしてはとの委員会の意見もありましたが、あったものが無くなると言う事で、いろんな混乱を想定して、先ず周知させる期間を設け、屋内の2ヵ所あった灰皿を、来院される患者 様にとって影響の出にくい場所のみ残し、1カ所にしました。
一時は来院者が外から来られたときの、たばこを捨てる場所(灰皿)が喫煙場所になりつつありましたが、入院患者様には、徐々に禁煙が浸透してきました。ただ、数週間でかわられる患者様にはなかなか理解してもらえず、各自の判断をお願いし、ケースバイケースとしていました。病院としては灰皿を置くのは適切でないと判断して、一定期間、検証した上で、3ヶ月後に灰皿を撤去しました。
Q3 市大医学部全体の状況はどうですか?
A3 医学部の学舎は喫煙場所を設けて いましたが、指定場所以外での喫煙を禁止するという大きな取り組みがあったので、医学部ではどうするかとの検証をする期間を設けて、3月いっぱいで閉鎖しました。
Q4 市大全体の状況はどうですか?
A4 杉本町の学舎では、指定場所以外は、禁止しています。また、大学では基本は屋外のようです。屋 内の場合、空気清浄機などによって、換気をして分煙できる状況と聞いています。
Q5 職員や入院患者の喫煙者の禁煙サポートは、どのような対策をされていますか?
A5 大きな課題で取り組みの途中です 。内科系の先生に禁煙指導や、ニコチンパッチなどのケアーや禁煙プログラムの経験のある先生に、希望する患者様が診てもえるよう体制を検討しています。具体的には各内科に1名、入院患者様に相談の出来る日を検討しています。今後も広報を通じて周知して行きたいと思います。 
Q6 職員、患者さんは何人いますか?
A6 職員は1,500人ほどです 。入院患者数は約900人です。 
Q7 入院のさいの誓約書に、たばこを吸わないようにと説明を入れていますか?
A7 これについては検討中です、病院内の共通のルールについては、しおりの中にあり、理解してもらっていますが、個々の喫煙については、項目にあげていません。 飲酒については、当然のことで、退院して頂く事もありますが、たばこについては、そこまで至っていません。最終的には、包括的説明をして理解してもらっています。
他の病院にも問い合わせしたところ、特に問題がないだろうとの事で個別には誓約書を取っていないとのことです。