人形劇 「ぼくがきらいなもの」 シナリオ

原 作   近藤 早苗
脚 色   松本 則子(人形劇団 クラルテ)
            
  
テーブル人形劇。
人形は自立し、首、腕、足が回る。
俳優は話しながらタバコを吸う人形を次々
と並べて行く
最終的にはテーブルいっぱいのタバコを
吸う人形になる。

俳優 登場すると、人形劇の準備をする。

テーブルを一つ置く。灰皿をテーブルに置く。

俳優、本を読んでいる少年を出し、テーブルに座らせる。

少年、楽しそうに本を読み始める。

時々笑ったりする。

しばらくして、お父さん登場。
お父さん さーてと
少年の近くに座りタバコを吸うと煙を吐く。

少年お父さんを見る。

向きを変える。

お父さん、おかまいなしに煙を吐く。


少年、お父さんから距離を置く。 

おじさんが登場する。

おじさん こんにちは
やあ、いらっしゃい
少年 おじさん こんにちは
おじさん 勉強か えらいなぁ(煙を吐く)
少年 ゴホン やめてよ
おじさん おっ、悪い悪い
おじさん、少年のいないほうに煙を吐く。

お父さんの煙が少年にかかる。
少年 お父さん
おっと
お父さんも少年のいないほうに煙を吐く。

おじさん 少年のいる方に煙を吐く。

少年 位置をずらす。

お父さん、少年のいる方に煙を吐く。

少年 煙にはさまれる。
少年 もう、本を読んでいたのに。

少年、怒って出て行く。

おじさんとお父さん顔を見合わせて、お互いに煙を吐く。

その煙と一緒に二人退場。
2 場面     公園            

少年本を持って登場
少年 ここなら,大丈夫かな

本を読み始める。

若い男の人、鼻歌を歌って歩いてきて、少年の横に立つ

タバコをくわえて煙を吐く。

少年驚き移動する。

別の若者がやってきて,煙を吐く。

少年移動する。

また近くに若者がきて煙を吐く。

少年、追われて舞台の端になる。
少年 もうっ

少年、本を読むのを諦める。

若者、少年を見るが無視して煙を吐く。

煙が少年にかかっては消える。

少年、煙をよけながら
少年
みんなタバコには身体に悪いものがたくさん含まれてるっていうのに知らないのかなあ。一酸化炭素とか、アンモニアとか、タールとか、ニコチンとか・・・
煙が少年を取り囲む。
少年 ゴホン ゴホン たばこやめてよ。
煙、どんどん増える。
少年 煙いよ。 よーし。煙なんかなくなればいいんだ。 そうだ、いいことを考えたぞ。
少年 一度退場し、掃除機を持って登場。
少年 これで、煙をすいこんでやる。ウィーン。ウィーン。
一度、煙は消える。
少年 どうだ。

若者たち、煙を吐く。

また舞台が煙でいっぱいになり、煙で少年押されて退場
少年
わあー
少年退場すると恐竜に乗って登場。
少年 恐竜だぞこれで煙を蹴散らしてやる。
ガオー ガオー
煙、恐竜に蹴散らされる。
少年 ハハハ どんなもんだい
若者たちまたまた、いっせいに煙を吐く。

恐竜も咳き込む。

恐竜、少年をほって退場。
少年 だめかあ
煙、ぷかぷか浮かんでいる。
少年 口惜しいなあ、なんかいい方法ないかなあ。
うーん。うーん。よし、水をかけて、みんな流してやる。
少年はホースを持って水を撒く。

水の幕は下から上がってくる。煙は水に浮いて沈まない
少年 みんな消えてなくなれー
ホースをなげつける。

水幕と一緒にみんななくなる。

空っぽの舞台に少年が飛び出すように出る。
少年
僕は 怒ってるんだ! 目が痛くなって、赤くなったり、のどがチクチクして 風邪をひいたり ゴホゴホ セキがでて 止まらなくなったり 頭が痛くなって 気分が悪くなったり・・・

再びタバコを吸う人形が出る。一つ出るたびに少年は

あとずさりしていく。

できるだけたくさんの人形が出る。

少年は舞台の端までおいつめられる。

少年たばこの人形に叫ぶ。
少年 タバコってほんとうに 嫌だなあ!
タバコを吸う人形の山崩れると「おしまい」と書かれた

看板が立っている。