さく・え 

    やまき えりこ 






 この本は、平成13年用寄附金付
 お年玉付郵便葉書の寄附金で発刊
 しました。




  あるところに
 たばこが大好きな ねこがいました。

 いつでもどこでも
 ぷかぷかと たばこを吸うのです。

 ねこは たばこを吸っている自分が
  かっこいい と思っていました。


(1)

 ねこは
  たばこを吸っている自分を
 見せつけるのが 大好きでした。

 そして
 人のめいわくを
 考えたことが ありませんでした。

 それこそ 小さな子どもの前でも
 平気で ぷかぷかと吸うのです
 


(2)

  いつでも どんなところでも 
  自分が吸いたいときに 
  たばこを 吸っていました。

  ねこの吸うたばこのせいで 
  まわりのみんなが 
  いやな気持ちになりました。


(3)
 あるときは 小鳥が
 のどを痛めました。

「たばこなんて だいきらい
 小鳥は 言いました。

 ねこは 気にしませんでした。


(4)

 
 あるときは
 新しい洋服を着たうさぎが
 ねこの たばこのけむりを
 まともに かぶってしまいました。

 洋服は すっかり
 たばこくさくなってしまいました。

 うさぎはがっかりして言いました。
 「たばこなんて だいきらい

 ねこは
 まったく 気にしませんでした。

 


(5)


 また あるときは
 ライオンが じまんのたてがみを
 燃やされて しまいました。

 ねこがあるきながら
 たばこを吸っていたせいです。

 「なんてこった
 
たばこなんて だいきらいだ。」
 ライオンは 言いました。

 ねこは知らんかお。


(6)


 ひどいときには ねこは
 吸ったたばこを 投げ捨てました。
 しかも ちゃんと 火を消さずに
  
 そのせいできつねは
 だいじなしっぽに やけどをおいました。

 「ひどい
 たばこなんて・・・
 だいっきらいだ。」
 きつねは 言いました。
 
   
  ねこは
  気づかないふりをしました。
     


(7)

 「 いいかげんにしろ。」

  めいわくをかけられた人は
  もんくを言いました。

  しかし ねこは まったく
  気にしませんでした。
 
  それほどまでに
  ねこは たばこが大好きでした。


(8)

 そんなある日

 ねこは 自分の家で

 のんびり テレビを見ていました。 


(9)
  ねこは つい
 テレビにむちゅうになって
 たばこの吸いがらを
 ゆかに 落としてしまいました。

 「たばこの火なんて 小さいもの。
 たいした ひがいは ないだろう。」

 ねこは そう思って
 まったく 気にしませんでした。

(10)

 ところが

  ねこが 落としたたばこの吸いがら
 から
  ゆかに 火がつきました。

 火は みるみる大きくなりました。
  ねこは びっくりしました。


(11)


  ねこは あわてて

    バケツに 水をくんで
   火を 消そうとしました。

  しかし
  火は どんどん どんどん
  家のなかに 広がりました。

 「あんな 小さいものから
   なんでこんなことに!」

    ねこは 泣きだしました。


(12)

 
 けっきょく ねこの家は 

  すべて 燃えてしまいました。

 ねこは がっくりと 肩をおと
 し
自分のしたことをこうかいし
 ました

 「なんで……。」

 ねこは つぶやきました。
 


(13)

 ねこは 泣きながら 言いました。


「たばこなんて だいっきらい!!!!

 ねこが たばこをやめたのは
  言うまでもありません。


(14)
 
作者のメッセージ

 私は日々、マナーの悪い喫煙者に腹を立てています。『吸うな』とは言いませんが、マナーを守っていただきたいのです。 夜、電車のホームで「禁煙」の表示の下でタバコを吸っている人をよく見かけます。歩きタバコで新しい服をもやされた友人がいます。掃除をしていてもいつも家の前にはタバコの吸殻がすててあります。
 喫煙しない私は、そばで吸われると気分が悪くなります。しかも紙や服に臭いがついてしまうので、その一日臭いがとれません。タアコを吸うなら、吸わない人から離れてすうなどの気配りをしていただきたいものです。もっと周囲の人のことを考えて欲しいものです。私が背も高くけんかも強ければ、「そんな奴はいつかバチが当たるといつも思っています。
 しかし、現実はそううまくいかないものです。だからいつも「そんな思いを込めて、わたしが天罰を下そうと思い、今回の作品を創作しました。
 猫を主人公にしたのは、かわいそうな結末でもちょっろ笑ってしまうようなコミカルなキャラクラーにぴったりだと思ったからです。