(8)

一方、村長も頭を悩ませていました。
最近,引っ越してきたあの家から出
る煙について、村の住人たちから
苦情がたくさん来ていたからです。
村長は、村の平和を守るために、
村一番の長老である、クスノキ博士
に相談に行きました。

村長の話を聞いて、ゆっくりとクスノ
キ博士は答えました。


  「村をおおう煙を出している家は『もくもく家族』じゃ。はるか遠くにある『たばこの国』の
  住人で、今までいろいろな村を転々としては、煙を出して村を滅ぼしてきたということ
  じゃ。

  あの煙を吸い続けると、目やノドが痛くなり、ぜん息になったり、やがて肺や心臓や脳
  までも病気になってしまうことがあるんじゃ。

  何せあの煙の中には、中毒をおこすニコチンだけでなく、酸素のじゃまをする一酸化
  炭素や、がんをおこすタールがたくさん含まれているんじゃ。

  そんなわけで村人がみんな逃げてしまい、そのうち誰もいなくなってしまうそうじゃ。」
  とゆっくり話しました。