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本当なら……

今年の十二月でおっちゃんは三十一歳になるはずやった。

「やった…」というのは、今はもう、この世におれへんからや。

……間 ……

「おっちゃん」とはお母さんの弟のこと、つまりぼくにとっては「おじさん」にあたる人なんや。

おっちゃんは、仕事にあけくれてたから、まだ独身で、おじいちゃん、おばあちゃん、そしておっちゃんの妹と一緒に住んでたんや。

おっちゃんの仕事はツアーコンダクターといって、旅行の企画をしたり、添乗員としてお客さんのお世話をするそうや。

そやから、ぼくと会うたら、いつもいろんな国の話をきかせてくれた。

ほんで、大きくなったら、一緒に飛行機に乗って旅行に連れてったるからな、っていつも言うとったんや。

そやのに……。

<ゆっくりとぬく >