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何年も前のお話しです。 「お母さーん。ゆりちゃんが、また苦しそうよ。」 妹のようこちゃんが、ぜん息のおねえちゃんを心配して、発作をおしえてくれました。 「さあ、病院に行きますよ。」 ゆりちゃんは、発作になったら、赤ちゃんの時からずっと見てくださっている主治医の先生の所へ、すぐ行きます。 妹のようこちゃんも、心配していつも病院へついて来てくれます。
「さあ、行きましょう。」 |
「はい、つきましたよ。」
ゆりちゃんは、発作になるといつも苦しくて歩けないので、お母さんがおんぶします。 「ウァー!! すごい煙。」 「ゆりちゃん、大丈夫?」 「これはひどいわ。ゆりの発作がもっとひどくなるー。」
本当にすごい煙です。 |
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さて、吸入をしてすっかり発作もおちつき、病院の帰り道でのことです。 「お母さん、タバコの煙は、病気の人じゃなくても良くないんでしょう?」 「そうよ。タバコは大人でも子どもでも絶対ダメです。特に子どもやお腹の中の赤ちゃん、そしてゆりのようなぜん息の人。だから、人間の体にとっては大変な悪者なのよ。」 お母さんは、少し怒りながら言いました。「でも、どうしてダメなの?」 「とにかくダメなの。」 すると、ゆりちゃんは「そうだ、お母さんは先に帰ってて。」
と言うと、ようこの手をひっぱって、急いでどこやら行ってしまいました。 |
そして、先生にさっそく、さっきの待合所での「けむり事件」を話したのです。 「先生、どうしてタバコってダメなの。もし、ゆりが煙を吸ったらどうなるの?」 と聞いたのです。 先生は 「タバコって悪者なの?」 |
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家へ帰った二人は、先生のお話を全部、お母さんにも教えてあげました。 今までも、タバコの煙で迷惑をしたことはたくさんあります。 たとえば、お食事に行った所でタバコを吸っている人がいたり、タクシーの運転手さんが吸っていたり…。 家のお父さんだって、タバコを吸うので夫婦げんかになったりもします。それは、ゆりちゃんの前でタバコを吸わない約束を破った時です。 でも、ゆりちゃんだけでなく、皆に悪いのに…。 お父さんは、どうして禁煙できないのかしら。
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「私たちはサンタクロースではありません。 禁煙音楽隊です。」 「そうです。禁煙王国から、はるばるこの日本へやって来ました。今の日本の国は煙だらけになっているのです。このままでは、人間の体の中まで煙でくもってしまいます。」 「禁煙っていうくらいなら、あなた達の国はタバコのない国なの?」
すると… |
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まだまだ、いっぱい言いたそうです。またまた口をそろえて言いました。 妹のようこがすぐ言いました。 二人は驚くばかりです。 へんてこりんな楽しい歌のはじまりー。 |
悪い煙が入ってきたぁーー。 人の体に入って来たぁーー。 大切なーー肺の中ーー。 次は心臓までーー。 モク、モク、モク、ワオーー。 たりない、たりない酸素がーー。 心臓にも、血液にも届かないー。 困ったなあーー。困ったよーー。 呼吸ができないーー。 助けてえーー。」 二人も、いつのまにかいっしょに唄っていました。大合唱です。 隊長が言いました。緊張した声で言いました。 「ゆりちゃん、ようこちゃんは選ばれたのです。禁煙王国の使者として、この歌を広めて、今の日本をタバコの煙から救うのです。ガンバッテください。」 皆から拍手がわきました。 |
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お母さんに、おこされてびっくりの二人。 「あなた達は、いつもサンタクロースからのプレゼントを待っているので、そんな夢を見るのよ。」
でも、夢ではありませんでした。ピアノの上には、禁煙王国のあの楽しい、歌の楽譜がおいてあったのです。 |
きれいな空気を吸いました。 ガンバロウ、禁煙日本。 健康日本。ガンバロウ!! |