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きつねのおじさんの禁煙

 

                                 

横田 美香
                                                                       

 

ある森の奥深くに、

動物町という町がありました。

この町には、とても困った事がありました。

実は、ベレー帽をかぶったきつねのおじさんが、毎日毎日、タバコを吸っているのでした。

きつねのおじさんしか、タバコを吸わないのですが、とてもたくさん吸うので、タバコの煙で町の人が困っています。

みんながいる所に、きつねのおじさんが来たら、みんなが苦しがるのです。

森の木は枯れて折れ曲がっています。

みんなタバコのせいです。

ある日、みんなできつねのおじさんの禁煙を頼みに行きました。

 「あーだめだめ。帰った帰った。」
おじさんは、タバコをやめようとしません。

「そんな事言わないで、禁煙して下さい。お願いします。」

と町長の山羊さんが言いました。

やがて、ベレー帽のきつねのおじさんが町を通ると、子連れのうさぎのおばさんが

「ちょっと!! タバコだけはやめて、この子のためにも。」

と言うようになりました。

「私からもお願いするわ。」

「わしからもお願いできんかのー。」

「僕からもお願いです。」

と大勢のひとに言われてしまいました。

ある日きつねのおじさんは、急にたおれてしまいました。

みんなは、びっくりして、あわてて医者に連れて行きました。

 
先生は
「あなたはタバコを吸っていますね。だからたおれたんですよ。
今のうちに、禁煙をしないと、命にかかわる病気になりますよ

と言われたので、しかたなく禁煙しました。ぐっとがまんしていくと、きつねのおじさんは顔色もよく、元の元気な体にもどってきました。

 

みんな毎日、様子を見にきていました。

「やったあ。」とうとう、きつねのおじさんが禁煙できたので、みんな大喜びでした。

(おわり)

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