裁判長の和解提案について,原告側は以下の提案をしました。
被告のJR西日本は,持ち帰って協議するとのことでした。

原 告 側 和 解 条 項 提 案 (2003.7.7)

1 前文

 2003年5月1日に健康増進法が施行され、同法第25条において、事務所を含め、
多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫
煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをい
う)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないとする規定
が設けられた。
 また、同法施行日の前日である2003年4月30日付けで、厚生労働省健康局長通
知が出され、「全面禁煙は、受動喫煙防止対策として極めて有効である」とし、やむ
を得ない暫定的な対策を採る場合でも「喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が
流れ出ないよう、適切な受動喫煙防止措置の方法を採用する必要がある」とされた。
 以上を踏まえ、下記の条項で当事者は和解する。

2 原告らは、被告が、一部乗務員室について、完全禁煙ないし完全な空間分煙と
したことを評価する。

3 被告は、健康増進法及び健康局長通知を踏まえ、原告らの勤務する乗務員詰所、
乗務員宿泊所、執務室等について受動喫煙対策を進めつつあるところであるが、今
年度中のできる限り早い時期に原告らが勤務する上記場所を禁煙(煙が漏れ出てく
るような、あるいは流入してくるような、また分煙機や空気清浄機設置による不完全
な分煙ではなく、完全に受動喫煙のない環境)とし、受動喫煙被害の生じることがない
よう対策を講じる。

4 被告は、原告らに対し、定期的に受動喫煙対策の進捗状況を報告する。

5 被告は、原告らが人格権に基づき本件訴訟を提起したことを理解し、人事、給与
その他の処遇面において、原告らに対し、不利益な扱いをしない。

6 原告と被告の間には、本件に関し、前項を除き一切の債権債務の存在しないこと
を確認する。

7 訴訟費用は各自の負担とする。