たばこ規制枠組み条約,参議院本会議で承認,批准へ

2004年5/19の参議院本会議で「たばこ規制枠組条約」が全会一致で承認
されました。衆議院では4/22の本会議で全会一致で承認されていました。

本会議の審議経過情報(下記に紹介)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/keika/h20040519.htm

今後は外務省が手続きをして,国連本部に日本政府が批准書を送付(寄託)
することをもって,批准されたことになるとのことです。

2000年のWHO総会で始められた本条約は,公聴会,公聴会派遣,政府間
交渉,諸要請,署名・メール要請など様々の動きの中で,当初の案が後退は
したものの,形のあるものとなり,不十分ながらも日本政府は重かった腰を
上げ,健康日本21や健康増進法などの動きも絡んで,曲がりなりにも対策が
進み,批准に至る4年間でした。

本会の前会長の竹村先生(非喫煙者健康保護法の20万人余の署名を厚生
労働大臣に一緒に提出しました)が,先の本会の理事会・総会で「隔世の感
がある」,とこの間の様変わりを表現していました…
ご協力いただいた皆さまご苦労様でした。

40カ国の批准があっての発効となりますので,まだ安心は出来ませんし,
国内的にも,自販機,たばこ税引き上げ,受動喫煙防止,たばこ事業法,
省庁間の調整要請など,より一層の努力やロビーイングが必要とされます
が…

2004.5.19 会議の経過 議案要旨
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/keika/h20040519.htm
(外交防衛委員会)
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の締結について承認を求めるの件(閣条第一七号)(衆議院送付)要旨
この条約は、世界保健機関(WHO)における喫煙による健康被害の拡大を憂慮し加盟国に総合的なたばこ対策の実施を呼びかける世界保健総会決議等を踏まえた政府間交渉会議の結果、二○○三年(平成十五年)五月に世界保健総会で採択されたものである。
 この条約は、前文、本文三十八箇条及び末文から成り、たばこの健康に対する悪影響を減らして人々の健康を改善することを目指し、各国の実情を踏まえ、たばこに関する広告、包装の形容的表示等の規制について定めるものであり、主な内容は次のとおりである。
一 この条約及び議定書は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的かつ実質的に減少させるため、締約国が自国において並びに地域的及び国際的に実施するたばこの規制のための措置についての枠組みを提供することにより、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とする。
二 締約国は、この条約及び自国が締約国である議定書に従い、多くの部門における包括的な自国の戦略、計画及びプログラムであってたばこの規制のためのものを策定し、実施し、並びに定期的に更新し及び検討する。このため、締約国は、その能力に応じ、たばこの規制のための国内における調整のための仕組み又は中央連絡先を確立し又は強化し、及びこれらに資金を供与する。締約国は、たばこの規制に関する公衆の健康のための政策を策定し及び実施するに当たり、国内法に従い、たばこ産業の商業上及び他の既存の利益からそのような政策を擁護するために行動する。
三 各締約国は、課税政策を決定し及び確定する主権的権利を害されることなく、たばこの規制に関する自国の保健上の目的を考慮すべきであり、並びに、適当な場合には、措置を採択し又は維持すべきである。
四 締約国は、屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所及び適当な場合には他の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を国内法によって決定された既存の国の権限の範囲内で採択し及び実施し、並びに権限のある他の当局による当該措置の採択及び実施を積極的に促進する。
五 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後三年以内に、その国内法に従い、たばこ製品の包装及びラベルについて、たばこ製品の特性、健康への影響、危険又は排出物について誤った印象を生ずるおそれのある手段等(例えば、「ライト」、「マイルド」等の形容的表示)を用いることによってたばこ製品の販売を促進しないことを確保するため、効果的な措置を採択し及び実施する。たばこ製品の個装その他の包装並びにあらゆる外側の包装及びラベルには、その主たる表示面の三○%以上を占める健康に関する警告を付するとともに、たばこ製品の関連のある含有物及び排出物についての情報を含める。
六 締約国は、自国の憲法又は憲法上の原則に従い、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援の包括的な禁止を行う。自国の憲法又は憲法上の原則のために包括的な禁止を行う状況にない締約国は、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援に制限を課する。この制限には、自国が利用し得る法的環境及び技術的手段に従うことを条件として、自国の領域から行われる国境を越える効果を有する広告、販売促進及び後援の制限又は包括的な禁止を含める。
七 各締約国は、締約国がたばこ製品の原産地を決定することを支援するため、また、締約国が流通を逸脱した地点を判断すること並びにたばこ製品の移動及び合法性を監視し及び管理すること等を国内法及び関連する二国間又は多数国間協定に従って支援するため、たばこ製品のすべての個装その他の包装及び外側の包装に最終仕向地を示す等の表示が確保されるよう効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を採択し及び実施する。また、締約国は、たばこ製品の不法な取引をなくすため、たばこ製品の国境を越える取引についての監視及び資料の収集、関係当局間の情報の交換、不法な取引を対象とする制裁及び救済措置を伴う法令の制定又は強化等を行う。
八 締約国は、国内法により定める年齢又は十八歳未満の者に対するたばこ製品の販売を禁止するため、適当な段階の政府において効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を採択し及び実施する。これらの措置には、自国の管轄下にあるたばこの自動販売機が未成年者により利用されないこと及び自動販売機により未成年者に対するたばこ製品の販売が促進されないことを確保すること等を含めることができる。
九 この条約により、締約国会議を設置する。締約国会議は、この条約の実施状況を定期的に検討し及びこの条約の効果的な実施の促進のため必要な決定を行い、並びにこの条約の議定書、附属書及び改正を採択することができる。締約国は、この条約の実施について定期的な報告を締約国会議に提出する。
十 締約国会議は、この条約の議定書を採択することができる。この条約の締約国のみが、議定書の締約国となることができる。