消防予第320号
消防安第238号
平成15年12月18日


各都道府県消防主管部長 殿


消防庁予防課長     


消防庁防火安全室長     



火災予防条例(例)の運用について(通知)



 標記については、さきに「火災予防条例(例)の一部改正について」(平成15年12月18日付け消防予第319号・消防安第237号消防庁次長通知)をもって示したところですが、その運用について下記のとおり通知します。
 ついては下記事項に留意のうえ、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。



第1   火災予防条例(例)(以下「例」という。)第23条第1項に基づき、消防長(消防署長)が指定する場所(以下「指定場所」という。)における喫煙所の設置に関する事項について(第23条第4項、第5項及び第6項関係)
  改正の概要
    例第23条の規定については、制定当時、多数の国民に喫煙の習慣があったことから、防火対象物のすべての場所を禁煙にすることが現実的ではなかったため、防火対象物の一部に喫煙所を設けることにより、火災予防に資することとしたものであるが、近年における喫煙率の低下等の状況を鑑みると、喫煙所の設置の義務付けが必ずしも適当ではないことを踏まえ、次のような改正を行ったものであること。
 
(1 ) 改正後の例(以下「改正例」という。)第23条第4項では、全面的に禁煙とし、喫煙所を設けないこととするか、適当な数の吸殻容器を設けた喫煙所を設けるかを選択できることとしたこと。
(2 ) 同条第5項では、劇場等において喫煙所を設ける場合でも、禁煙を確保するために、消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置を講じた階は、喫煙所を設けないことができることとしたこと。
(3 ) 同条第6項では、劇場等に設ける喫煙所の床面積の合計を、当該場所の利用人員その他の利用状況等から判断して、火災予防上支障がないと認めるときは、客席の床面積の30分の1以上としなくてもよいこととしたこと。
  指定場所を有する防火対象物内において全面的に喫煙が禁止されている場合の火災予防上必要と認める措置の例(第23条第4項第1号関係)
  次に掲げる措置をすべて実施することを原則とするが、防火対象物個々の状況から判断して、全面的に喫煙の禁止が確保されると認められる場合は、必ずしもこのすべての措置を実施することを要しないこと。
 
(1 ) 防火対象物の入口等の見やすい箇所に当該防火対象物が全面的に喫煙が禁止されている旨の標識の設置
(2 ) 定期的な館内巡視
(3 ) 当該防火対象物が全面的に禁煙である旨の定期的な館内一斉放送
(4 ) その他防火対象物の使用形態等に応じ、消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置
  指定場所を有する劇場等において喫煙所を階ごとに設けないことができる場合の火災予防上必要と認める措置の例(第23条第5項関係)
  次に掲げる措置をすべて実施することを原則とするが、防火対象物個々の状況から判断して、当該階が全面的に喫煙の禁止が確保されると認められる場合は、必ずしもこのすべての措置を実施することを要しないこと。
 
(1 ) 喫煙所を設けない階の見やすい箇所に当該階が全面的に喫煙が禁止されている旨の標識の設置
(2 ) 当該階の全面的喫煙禁止及び他階の喫煙場所の案内等定期的な館内一斉放送
(3 ) 定期的な館内巡視の実施
(4 ) その他防火対象物の使用形態等に応じ、消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置
  その他
 
(1 ) 改正例第23条第4項第1号及び第5項に規定する標識の色は、同条第2項に規定する標識の色と同一のものとすること。また、当該標識に「禁煙」の記載がある場合、同条第2項により設ける標識と兼ねることができること。
  なお、当該標識の記載例は次のとおり(第23条第4項第1号及び第5項関係)
ア   改正例第23条第4項第1号に規定する標識の記載例
・「全館禁煙」
・「当百貨店は全館において禁煙です。」
イ  改正例第23条第5項に規定する標識の記載例
・「この階は禁煙です。」
・「当劇場においてこの階は禁煙です。喫煙所は○○階にあります。」
(2 ) 第1、4(1)の標識に併せて図記号による標識を設ける場合は、別表第七に定める図記号とすること。(第23条第4項第1号及び第5項関係)
(3 ) 改正例第23条第4項第1号及び第5項ただし書きの規定を適用する場合、当該防火対象物の関係者に、第1、2又は3に掲げる措置に関する事項を書面等で提出させるか、又はあらかじめその措置を消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項の消防計画に明示する等の方法により、消防機関において当該措置について把握し、立入検査等の機会をとらえ、当該措置が適正に実施されているか確認することが望ましいこと。
 なお、第1、2又は3に掲げる措置に関する事項を書面等で提出させた場合で、当該防火対象物が消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の2第1項の防火対象物に該当し、かつ、消防法施行規則第4条の2の6第1項第9号に基づき市町村長等が喫煙等の制限の基準を定めているときは、当該防火対象物の管理について権原を有する者は、当該書面の写しを防火管理維持台帳に編冊するものとすること。(第23条第4項第1号及び第5項関係)
(4 ) 改正例第23条第6項ただし書きについては、近年における国民の喫煙率の低下という状況に鑑み、各防火対象物等の利用状況等に応じ、喫煙所として必要な床面積を減ずることができるものであること。(第23条第6項関係)

第2   劇場等の客席に関する事項について(第35条、第36条及び第36条の2関係)
  改正の概要
    劇場等の客席に関する規定は、災害が発生した場合において、観客の避難に支障をきたさぬよう規定されたものであるが、近年、防火対象物の大規模化、高層化、複雑多様化に伴い、様々な形態の劇場等の建築が見込まれるため、改正例第35条及び第36条では、ただし書きの規定を削除し、新たに第36条の2において基準の特例を設け、多種多様な劇場等の客席形態に対応できるものとしたこと。
  基準の特例を適用する場合の判断基準等
  改正例第36条の2の基準の特例は、劇場等の位置、収容人員、使用形態、避難口その他の避難施設の配置等から総合的に判断し、避難上支障がなく安全性が十分確保される措置がなされている場合には認めて差し支えないこと。
  なお、基準の特例の判断基準等の例は以下によること。
 
(1 ) 従来と同等以上の安全性が確保される場合、可動式のいすは、必ずしも常に第35条第2号及び第36条第2号のいす背の間隔の基準を満たしていることを要しないこと。(第35条第2号及び第36条第2号関係)
(2 ) 避難口の設けられる場所等により、立見席の位置は必ずしも客席の後方であることを要しないこと。(第35条第3号及び第36条第3号関係)
(3 ) 客席(最下階にあるものを除く。)の最前部及び立見席を設ける部分とその他の部分との間に安全かつ確実に避難が行える措置等を講じた場合は、必ずしも高さ75センチメートル以上の手すりを設けることを要しないこと。(第35条第4号関係)

第3   その他
  本改正に伴い、「消防法施行規則第4条の2の6第1項で定める点検基準に係る点検要領等について」(平成14年12月13日付け消防安第125号。以下「125号通知」という。)の別添2点検要領の一部を次のように改正するので、適正に運用されたいこと。
  「125号通知」別添2、第6、2中
   
 
点検項目 点検方法 判定方法
火を使用する設備の位置・構造及び管理等 火の使用に関する制限等 喫煙等の制限 1 (略)
2 (略)
 禁止場所を有する防火対象物には、吸い殻容器を設置した喫煙所を設け、火災予防条例で定める標識を設置しているか目視により確認すること。
1 (略)
2 (略)
 吸い殻容器を設置した喫煙所が設けられ、火災予防条例で定める標識が設置されていること。
 
   


   
   
 
点検項目 点検方法 判定方法
火を使用する設備の位置・構造及び管理等 火の使用に関する制限等 喫煙等の制限 1 (略)
2 (略)
 喫煙が全面的に禁止されている防火対象物には、全面的な喫煙の禁止を確保するために消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置が行われているか関係のある者の聴取及び目視により確認すること。
 3以外の防火対象物には、適当な数の吸殻容器を設置した喫煙所を設け、火災予防条例で定める標識の設置等について目視により確認すること。
 劇場等において階ごとに喫煙所を設けない場合は、禁煙を確保するために消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置が行われているか関係のある者の聴取及び目視により確認すること。
1 (略)
2 (略)
 喫煙が全面的に禁止されている防火対象物について、「禁煙」と表示した標識の設置その他の全面的な喫煙の禁止を確保するために消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置が行われていること。
 3以外の防火対象物について、吸い殻容器を設置した喫煙所が設けられ、火災予防条例で定める標識が設置されていること。
 劇場等において階ごとに喫煙所を設けない場合は、禁煙を確保するために消防長(消防署長)が火災予防上必要と認める措置が行われていること。
 
   
に改める。