平成11年(1999年)3月30日日本たばこ産業株式会社 社長 水野 勝 様 大蔵大臣 宮沢 喜一 様たばこれす JTのRJRナビスコ海外たばこ事業の買収に対する抗議日本たばこ産業(株)(JT)がRJRナビスコ海外たばこ事業を買収することが報じられました。私たちは,以下の理由によりこれに強く抗議し,この買収を中止するよう求めます。1.JTはこれまでに蓄積した剰余金(流動金)を使い切って,借金もして,1兆円に近い資金を投入して買収するとのことですが,海外,特に発展途上国に対し市場拡大をはかって,タバコ病の蔓延を世界規模で進めるものであり,このJTの姿勢は,とうてい許せないことです。2.このJTの姿勢は,タバコの害をなくしていこうとする国際的趨勢に逆行するもので,今後国際的摩擦を引き起こし,国際協調の流れからも国辱ものであり,許せません。3.タバコ産業は今後縮小し,転業等をはかり,関連産業とその従業員の生活安定を進めるべきです。であるのに今回の買収は,転身不可能な道に突き進んでしまうことであり,株主と関連産業・従業員に多大の損失をもたらし,また日本経済にも損失をもたらす最たる愚策と言えます。この重い経営責任は将来にわたり,追求されることになるでしょう。4.今回の買収姿勢により,将来JTが経営危機に陥ることが容易に予見され,このことはJTの株式の3分の2を所有する国と国民に,株価の低落により損失をもたらします。この株の売却益(国庫に入る)は,長年にわたりタバコの害を受け続けてきた非喫煙者も発言権を有する財産です。その損失を容認することはできません。5.この責任は,JTだけでなく,株式の3分の2を所有し,かつタバコ産業の監督庁である大蔵省も負うべきです。6.よりにもよって最悪の選択である今回の買収は,今ならまだ引き返せます。JTも,大蔵省も,この買収を思い止まるよう強く求めるものです。敬 具