1999年5月27日
交通機関 御中
たばこれす
全国禁煙・分煙推進協議会
車内・駅構内などにおける禁煙徹底のための諸対策,及び法整備のお願い
謹啓 日頃は車内・駅構内等における秩序維持にご尽力いただき、ありがとうございます。
さて、先般東京の営団地下鉄日比谷線車内で、喫煙に関するトラブルが元で傷害事件が発生しま
した。本件に関連して、数点お願いいたしたい点がありますので、本文書を送付させていただき
ます。
1.
傷害事件の概要1999/4/6
(Tue)15:15頃、営団地下鉄日比谷線上野-入谷駅間の車内で、会社員が喫煙者に喫煙をやめるよう注意したところ、いきなりアイスピックで左胸を数カ所を刺され、約二週間の
怪我を負った。犯人は逃走したが、乗客の一人が携帯電話で
110番通報しながら追跡し、犯人は緊急逮捕された。
2.
本事件に対する本会の見解各鉄道会社は、車内・駅構内等における秩序を維持する責任があります。よって、本来禁煙場
所における喫煙者への注意は、鉄道会社職員が行うべきです。しかるに今回の事件は、乗客が
車内で喫煙した際の、職員への適切な通報手段がなかったため、結果として乗客同士のトラブ
ルに発展し傷害事件が発生した、のではないかと本会としては考えます。このような事件は他
人事ではなく、全国どこの鉄道でも起こりうる事件です。よって、全ての鉄道会社は、このよ
うな事件発生を未然に防ぐ努力をしていただきたいと思います。
3.
具体策上記をふまえ、本会として下記具体策を要望いたします。
3.1
ポスター等による乗客への啓発活動禁煙場所における喫煙は、非喫煙者にとっては迷惑であるだけでなく、喘息等呼吸器系疾患を
持つ者にとっては、場合によっては命をも奪いかねないほど危険な行為です。しかし、喫煙者
の中にはこのような事を分かっていない人がいるのが現実です。よって、ポスター、構内・車
内放送などにより、乗客へのよりいっそうの啓発活動を行うようお願いいたします。
3.2
職員による積極的注意乗客同士の注意では、今回のような事件に発生する可能性が十分あります。よって、禁煙場所
における喫煙者に対し、職員が積極的に注意することにより、このような事件の再発を防ぐよ
うお願いします。
3.3
通報システムの整備列車内もしくは駅構内で喫煙などが行われた場合、職員へ通報する必要がありますが、現状で
は適切な通報システムが無いか、有ったとしても乗客への十分な周知が行われていません。よ
って、これらのシステムを整備し、乗客への周知を行ってください。
また、これら設備投資に必要な費用に関しては、国の助成処置もしくは税の優遇措置を申請し
てください。
3.4
鉄道営業法第34条の規定活用鉄道営業法第34条(鉄道敷地内禁煙場所で係員の制止を肯せずして喫煙した者は科料に処す)
の規定を積極的に活用し、職員の注意に応じない者への科料の適用をお願いいたします。これ
により、職員の注意に法的根拠を与えることができるため、駅構内の秩序向上につながるだけ
でなく、職員の身の安全を確保することも可能となります。
3.5
関連法整備公共性の高い鉄道においては、今後ますます禁煙徹底の重要性が高まるものと思われます。し
かし現状では、車内禁煙はほぼ守られているものの、駅構内禁煙については、駅によってはプ
ラットホームの至る所で喫煙する人がいても駅員が全く注意しない例が散見されるなど、非常
に困った状態です。
このような状況を改善するには、法的裏付けが不可欠ですが、現状鉄道における禁煙関連の法
としては、前出の鉄道営業法第34条のみです。本規定だけでは、禁煙場所指定の強制力が無い、
罰則規定が科料のみであり軽すぎる、などの理由により、不十分です。
よって、下記内容の法律整備を、政府・関係機関へ働きかけるようお願いいたします。
・ 車内及び駅構内の原則禁煙義務づけ(喫煙車・喫煙所を除く)
・ 禁煙場所における喫煙者への職員もしくは警察・鉄道公安官による注意の義務づけ
・ 禁煙場所における喫煙に対する罰則規定
4.
回答についてお忙しいところ恐縮ですが、1ヶ月以内にたばこれすまで文書(Fax可)にてご回答いただけ
ますようお願いします。
5.
たばこれすについて本会は、近畿地区を中心に200名の会員を有する「非喫煙者がタバコの煙に煩わされない社
会と人間関係の確立」をめざして活動を行っている市民団体です。現在、禁煙レストランリス
トの作成、関係方面への要望、迷惑タバコ電話相談など幅広い活動を行っています。以上、よ
ろしくお願い申し上げます。
草 々