World Health Organization calls for Public Hearings on Tobacco
Press Release WHO/22 27 March 2000
http://www.who.int/inf-pr-2000/en/pr2000-22.html

WHOはタバコに関する公聴会を開催します

WHOは、タバコ対策枠組み条約(FCTC)に関する問題を協議するための公聴会を開催することにしました。タバコ産業を含む、この問題に関心のある団体は、参加し、書面での意見や証言の提出ができます。

「我々のかかげた公衆衛生の目標を推進することに多大な関心を寄せ、建設的な形で協力してくれるすべての団体の参加を歓迎します。こうした団体の参加により、討議が公のものとなるのです」と、2日間にわたるFCTCについての会議の冒頭で、WHO事務局長ブロ・ハルレム・ブルントランド氏は述べました。この会議は、公衆衛生全般にわたって協議するものとしては世界で初めてとなります。WHOの191の加盟国によって協議が行われ、FTCTについては2003年までには批准が開始される予定です。

「我々はタバコに関する世界規模の討議を開始しました。WHOの加盟国は、各国でのタバコによる犠牲者数を分析し、タバコの有害性の証拠を前にして、行動を起こすことに意欲的になっています。このような、タバコによる惨劇に直面させられるのは、我々の世代で最後にしようではありませんか」とブルントランド氏は述べています。

ジュネーブでの2日間にわたる公聴会は、2000年10月に開催されます。このような公聴会はWHO創設後初めてのものです。すべての証言や提案は公開文書となり、FCTC協議国も入手できます。

今後30年間に、予防できる死亡と病気の原因のトップとしてタバコが浮かびあがっているという証拠を前にして、各国が緊急に行動を起こす必要のために、公聴会が開催されることになったのです。現在、毎年400万人以上がタバコが原因で死亡しており、2030年までにその数は1千万人に達すると見込まれており、そのうち10人中7人が開発途上国の人々だと予測されています。

「自己満足の時代は終わりました。これ以上タバコによる死者を増やさないために、今すぐ行動を起こし、責任ある態度で前進しなければならないのです」と、WHO理事であり、WHOのタバコ対策プログラムTFCの責任者であるデレック・ヨー博士は語ります。「勇気を持って先を見通し、世界規模の討議が公衆衛生の関連分野でなされるよう保証しなければなりません。責任ある立場で、経済的、社会的に需要の減少が起こりうることにも言及しなければなりません。」と、彼は付け加えています。

WHO加盟国に対抗しているのが、世界的タバコ産業です。タバコ産業は、タバコの販売拡大を図り、特に未成年者や児童の喫煙による健康への害について社会的責任を果たしていません。世界各地での裁判で浮上した資料の証拠により、タバコ産業が科学データを変造し、政治的工作により、喫煙に関する事実を公衆の目にさらさないようにしていることが明らかになっています。

さらに悪いことに、タバコ産業がニコチンの量を加減し、未成年者をニコチン中毒にし、中毒が継続するようにしているという立証された多くの証拠があります。ブラジル、インド、中国、南アフリカ、ジンバブエ、オマーン、エジプトを初めとする各国からの新データによると、毎日喫煙する若者や児童の数をWHOはかなり過小評価していたかも知れないということがわかりました。WHOによると、急増しているタバコによる、ガン、心臓病、肺疾患による死者、病人、身体障害者は、今後ほとんど開発途上国に集中することが予想され、対処のしようがない有様です。

公聴会では、公衆衛生団体、タバコ産業、タバコ農家が、公衆の場で証言を行う機会を設けています。

WHO加盟191カ国による公式のFTCT協議は今年10月に開催されます。加盟国には、タバコ製品及び農業生産品目の密輸入、広告宣伝、課税、製品規制など様々な問題を扱うFCTCの採択に関する資料が配布されています。

今回の公聴会は、世界の公衆衛生の主導的立場にあるWHOが、健康条約協議のために、52年間の歴史上初めて開催するものです。ブルントランド博士は、1998年7月に事務局長に就任した時、世界規模のタバコ規制を主要な優先課題としていました。(訳:吉村祐子)