WHOたばこのない世界構想 http://www.who.int/toh/index.html
WHO本部より許可を得て翻訳し,本会のホームページで順次紹介します。
翻訳・掲載責任:特定非営利活動法人「子どもに無煙環境を」推進協議会
(転載使用・利用は自由。ただしWHOの著作権と本会の翻訳責任を明示ください。)
参考:たばこと健康問題NGO協議会が,以下の世界禁煙デーのテーマに関連した標語を募集しています。
http://www.health-net.or.jp/kenkonet/front/topic/h12sekaikinen/tobaccohyogobosyu.html
世界禁煙デー2000.5.31に関する資料(1)
World No-Tobacco Day 2000. 31 May.
http://www.who.int/toh/media/wntd2000/posters.html
マルボロマンをあしらった下のポスター・ロゴは,今年の世界禁煙デーのテーマです。
世界禁煙デーポスターは下記をクリックしてください。以下の翻訳文はキャンペーンの要旨です。
http://www.who.int/toh/media/wntd2000/posters4.html
Tobacco Kills - Don't be dupedタバコで死ぬぞ、ダマされるな
タバコ産業 VS 人々の健康
タバコ産業は、人々の健康を相手に宣戦布告をした。決められた用法に従って使うと死んでしまう商品は、タバコだけだ。タバコには強い依存性がある。タバコ産業は科学と公衆衛生と政治を腐敗させて、中毒になった末に死んでしまう商品を人々に売りつけてきた。資料によれば現在の喫煙者の3分の2は十代で喫煙を始めている。タバコは、単に葉っぱを紙で巻いたものではない。死ぬまでやめられないように巧妙に開発された製品なのだ。
「タバコ会社は低タール低ニコチンをうたった商品に力を入れている。これら商品が従来の製品に比べ、より“健康的”であると消費者に思わせ安心させるためである。」
PLショート、ブリティッシュアメリカンタバコ社、“新製品”1971塗り重ねたウソ
タバコ会社の主眼は、喫煙を個人の選択に基づく行動と思わせることにある。しかしこれはタバコ会社の営業活動を完全に無視した欺瞞である。人が選択をする時、全くの無菌状態で、タバコ産業の広告や販売促進活動などの周囲の環境に一切影響を受けずにいる、ということを前提としているのである。
もと「ウィンストン」の宣伝をしていてその後タバコ規制活動に転じたアラン・ランダース氏は言う。
「タバコ会社が若者に喫煙させるために投じている金は年間60億ドル。タバコを吸うのはカッコイイぞ、セクシーで魅力的な勝利者になれるぞ、仲間に好かれる男らしいタフガイになれるぞ、とささやき続ける。このイメージはありとあらゆるメディアで流される。昼間の映画、夜の映画、雑誌、そしてマンガの登場人物まで。」喫煙の選択にはタバコ産業の宣伝が影響しているという調査がある。タバコ会社は人気タレントやスポーツ選手を宣伝に起用して、喫煙がカッコよく楽しく健康的でオシャレでリッチだというイメージをばらまいているのだ。タバコ広告が禁止され始めた国々では、映画やミュージックビデオなどにさりげなく喫煙シーンを入れて、若者にこういうイメージを植え付けるケースが目立つようになった。人々がそれに気が付いた時には、時すでに遅しなのだ。
脅威は全人類に
タバコ産業の魔の手は全世界に及んでおり、全ての国と民族がターゲットだ。人を死に至らしめ、国の財政を圧迫するタバコは、公衆衛生面でも経済面でもマイナス要因でしかない。今年のタバコによる死者は4百万人。本来死ななくてすんだ人たちだが、この数字が2020年代から2030年代始めには、年間1千万人に上昇する。タバコ産業側は、殺した消費者の代わりとして毎日1万1千人の新たな喫煙者が必要となる。そこで子供たちをターゲットに、死に至る依存性薬物を売りつけるのだ。個人の自由、反抗の象徴、任意の選択、オシャレ、成功と称して。
「キャメル・フィルターの売上げをより長期的に延ばすためには、14歳から24歳の層への食い込みが必要である。この年代は、価値観が柔軟で、明日のタバコ産業の担い手である。」
RJレイノルズのマーケティング担当副社長C.A.タッカーへのメモ、1975詐欺戦略への対抗手段
8秒に一人の割合で、タバコにまつわる病気で人が死んでおり、またほとんど同じ勢いで新たな喫煙者が生まれている。人を騙して殺すタバコ商売が大繁盛、というわけだ。この人類の健康に対する攻撃を止めねばならぬ。WHOはこの世界的規模の攻撃を受けて立った。反撃の中核となるものは、人々の健康のための、世界初の法的拘束力ある国際条約の締結である。WHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)は、今後世界的脅威に対抗するため、広告の禁止、密輸、税金、農業の多角化などの問題に取り組んでいく。
欧米で規制が強まったのを受け、多国籍タバコ企業は猛烈な世界戦略を展開している。FCTCは、世界中の国々が協力してこの死のペテン商人に反撃できるよう、強力な政治的土台作りをすすめていく。
「タバコ会社は単に葉タバコを紙に詰めて巻いているだけ、と思っている人は考え直した方がいい。次に引用するのはタバコ会社に勤務するベテラン科学者の言葉だ。1972年の発言だが長いこと隠されていて、最近明らかになったものだ。
”タバコというのはそれ自体が製品だと考えてはいけません。それは包装紙に過ぎません。真の製品はニコチンなのです。ニコチンを服用するための紙包みがタバコというわけです。あの煙がニコチンを運ぶ乗物というわけです。”」
WHO事務総長グロ・ハルレム・ブルントラント博士。第9回薬物取締り関係者国際会議にて、1999.4.27タバコのカーテンに火をつけよう
タバコ販売の世界戦略のカギは、果敢な売込みと広告、そして新たな「タバコの鉄のカーテン」である。欧米の状況(EUの法規制、アメリカの大規模な和解、広告の禁止など)はスリランカやメキシコでは知られぬままである。一方、発展途上国や新興発展国では、欧米で体系的に否定されている若者や女性を狙った売込み(シガレットディスコ、ゴールデンタバココンテストなど)がまだ十分暴露されていない。このタバコのカーテンに火をつけて、FCTCを世界的に支援するために、WHOは「タバコで死ぬぞ。騙(ダマ)されるな」と題したメディア作戦を展開している。
このメディア作戦は、タバコ問題に対する人々の認識を変えることを目的にしている。そのために、健康問題や政治の関係者に必要な手段を提供し、多国籍タバコ企業の巨大な財力と巧妙な詐欺的戦術を暴露し、これに対抗できるようにしていく。
「これらの国々には、明らかにものすごい潜在的マーケットがある。西側諸国製タバコに対する購買意欲はものすごいと言っていい。誰もが夢見ていた機会だ。それもこんなにたくさんの国が、だ。」
BAT新規開拓担当役員スチュアート・ワタートン、東欧と旧ソ連における新市場について、1995「アメリカでいくら逆風が吹いても、輸出で取り返せるから致命傷にはなりません。」
フィリップ・モリスについて、メリル・リンチのタバコアナリスト・アラン・カプラン。1997当事者の口から・・・タバコ産業は語る
「ニコチンに依存性があるとは思いません。」
ブラウン&ウィリアムソンの取締役トーマス・サンドファー「ニコチンに依存性はないと思います。」
フィリップ・モリスのウィリアム・キャンプベル「私もニコチンに依存性はないと信じてます。」
RJレイノルズのジェームズ・ジョンストン「ニコチンには依存性があります。ですから我々は、依存性薬物であるニコチンを販売しているということになります。」
ブラウン&ウィリアムソンのアディソン・ユィーマン、19631994年、4人の取締役が米国議会の健康と環境小委員会で、宣誓の上証言:
「タバコを初めて吸うことには、特別な意味がある。もう子どもじゃないんだ、強いんだ、スリルを味わうんだ、いい子ちゃんじゃないんだ。そういう当初の心理的な動機が消えていく頃、、代わりに薬理的作用が効いてきて、喫煙が習慣になる。」
フィリップ・モリス、研究開発担当副社長、「人はなぜタバコを吸うか」1969年初稿(訳:江頭節子)