長崎新聞 「声」 平成18年1月21日(投稿者の許諾済)

入所施設での喫煙は禁止に

先日発生した高齢者グループホームの火災は、実に痛ましい出来事であった。

当の施設では、熱源は既に電化してあり、その後の検証からたばこの火の不
始末が原因であることはほぼ確実となったようだ。
監督する行政側の反応は早く、火災報知器やスプリンクラーの設置、当直の人
数などの基準の見直しが議論されているが、資金面での困難も多く、火災発生
時の実効性を考えると建前論としか私には思えない。
費用対効果から考えれば、出火原因となるたばこを排除することがベストである
のだが、まるでタブー扱いだ。
禁煙にすると「隠れ喫煙」となって火事の原因となるというが、喫煙を続ける限り
ニコチンの誘惑は続き、その前には規則は無力である。結果として日々火災の
リスクは消えない。
このような施設では、全体を禁煙にすることは権利の侵害ではない。受動喫煙の
問題もあり、今回のように結果としてほかの人の健康権と生存権を犯すこととなる。
「認知症は子どもに帰る」というが、そもそも子どものころは誰も喫煙はしていなか
った。
入所を機会に、彼らをニコチンの呪縛(じゅばく)から開放し、自由で穏やかな日々
に帰してあげよう。

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長崎県平戸市 医師  賀來 俊
日本禁煙推進医師歯科医師連盟会員
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