本会は,本年11月9日の衆議院議員選挙の公開アンケートの回答結果を踏まえ,
健康増進法の受動喫煙防止の拡充,及び現在進行中の財務省のたばこ広告規制
審議の動きにも関連して,以下の要請をしました。
(末尾に追加要請2004.1.5挿入しました)
平成15年(2003年)12月3日
厚生労働大臣 坂口 力 様
特定非営利活動法人 子どもに無煙環境を推進協議会
会長 竹村 喬
事務局 〒540-0004 大阪市中央区玉造1-21-1-702
健康増進法第25条の利用施設に
多数の者が歩行する歩道や参集する屋外場所を加え,又
たばこ自販機や広告規制等たばこ行政についてお願い
謹啓 標記の件について要望を提出しますので,ご高配をお願いいたします。
1.健康増進法第25条の利用施設に,多数の者が歩行する歩道や
参集する屋外場所を加えてください
(1) 多数の人が歩行する歩道や,多数の人が参集する屋外場所(例えば動物園
や遊園地)は,法で定める「多数の者が利用する施設」に該当しないので
しょうか。4/30付け健康局長通知で,観覧場や屋外競技場,バスターミナ
ル等が含まれているのですから,当然該当するはずで,その管理者である
地方自治体や事業者は,多数の人が歩行し参集する歩道や場内の歩きタバ
コ等による受動喫煙を防止するために,禁煙の措置を講ずるべきではない
でしょうか。健康局長通知にその旨を追加し,通知を出してください。
(2) もし歩道や上記の参集する場所が「多数の者が利用する施設」にあたらな
いというのであれば,第25条を歩道や上記の参集する場所も含めた内容に
改正してください。
(3) 歩きタバコを規制するために,全国各市でこの規制を含む条例制定が広が
っていますが,健康増進法第25条を援用できれば労力的にも経費的にも
実効性が伴う良い方法であると思います。
(4) 本会で先の衆議院議員選挙で候補者にアンケートをしましたが,回答いた
だいた当選議員(88人)の66%の方々がこの方策に賛同しています。
http://www3.ocn.ne.jp/~muen/syuinsenkyo03/syuintoikekka031109.html
2.財務省に本会は以下の趣旨の要望をしましたが(11月5日),
厚生労働省としても,たばこの健康対策を進めるために
以下の点についてお力をお願いします。
(たばこ事業等分科会や部会議事録を見ると,たばこの健康警告表示や広告
規制など,僭越ながら,余りに財務省ペースに押されているのではないか
との危惧を抱かざるを得ません。)
(1)未成年者が自由にたばこを買える自動販売機は禁止すべきです
1.2000年3月に策定された「健康日本21計画」で,国は,2010年までに
「未成年の喫煙をなくす」目標を掲げています。この目標達成にたばこ
自販機は大きな阻害要因になっています。
2.たばこ業界は2008年までに年齢識別機能付き自販機を設置する方針との
ことですが,2010年の「未成年の喫煙をなくす」目標からして余りに遅
いし,機能付き自販機で未成年者が買える状況が改善されるとは思われ
ません。不正使用はいくらでもあり得ます。店頭販売を義務づけるべき
です。
3.現行のたばこ自販機は,以下の点からも「たばこ事業法」に違反してい
ます。違法状態が長年にわたって放置されています。
【たばこ事業法(許可の基準)第23条】 財務大臣は,前条第1項(製
造たばこの小売販売)の許可の申請があった場合において,次の
各号のいずれかに該当するときは,許可をしないことができる。
三 営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当
である場合として財務省令(下記の施行規則)で定める場合であ
るとき。
【たばこ事業法施行規則】(営業所の位置が不適当な場合は次に掲げる
場合とする)
第20条三 自動販売機の設置場所が,店舗に併設されていない場所等
製造たばこの販売について未成年者喫煙防止の観点から十分な管
理,監督が期し難いと認められる場所
4.本会が先の衆議院議員選挙の候補者に行ったアンケート調査でも,回答い
ただいた当選議員のうち84%が「未成年者がたばこを自由に入手できる
自販機の至急の規制が必要」と答えています。
http://www3.ocn.ne.jp/~muen/syuinsenkyo03/syuintoikekka031109.html
(2)たばこ会社に,喫煙と受動喫煙の害の広告・広報を義務づけるべきです
パッケージへの健康警告表示の義務づけだけでなく,2003年10月3日のた
ばこ事業等審議会で細野委員が触れているように「アメリカのメーカーが
テレビ広告をしておりました。でも,それは販促の広告ではなかったです
ね。青少年は買ってはいけないとか,そういうようなことを明示的にコマ
ーシャルを打っておりました。」,これと同じく日本でも喫煙と受動喫煙
の害の広告・広報を義務づけ,消費者にたばこの害について周知をはかる
べきです。
(3)未成年喫煙対策の観点からも,たばこ税率を大幅に引き上げ,
その税収の一部を,国として上項と同じように,喫煙と受動喫煙の害の対
策費や広告・広報に支出するようにすべきです。
(4)たばこの広告の包括的な全面禁止が必要です
たばこの健康警告表示(案)に明記されているように,喫煙及び受動喫煙
には害があり,依存性のあることが明らかとなっているのですから,広告
や販売促進は全て禁止するのが当然で,視聴覚メディア・雑誌・新聞・イ
ンターネット・スポンサーシップを含め,包括的な禁止とし,脱たばこ社
会の方向を明確にすべきです。
(5)「たばこ事業法」の改正と厚生労働省への所管替えが必要です
1.健康注意表示や広告,自動販売機など,たばこと健康に関連する内容が,
財務省所管の「たばこ事業法」に盛り込まれていますが,これらは健康問
題を所管する厚生労働省に移管すべきです。
2.私たちが今回の衆議院議員選挙の候補者に行ったアンケート調査でも,回
答いただいた当選議員のうち66%が「たばこの健康警告表示や広告規制
の権限の厚生労働省への所管替えと,たばこ事業法の改正が必要」と答え
ています。
http://www3.ocn.ne.jp/~muen/syuinsenkyo03/syuintoikekka031109.html
3.上記の改正に並行して,たばこ規制枠組条約に沿った全国的なたばこ対策
を進めるための調整機関として,暫定的に内閣直属の担当室を設けること
を提案いたしたく,ご検討をお願いします。
・今回の衆議院議員選挙の候補者に行ったアンケート調査でも,回答いただ
いた当選議員のうち37%に賛同いただきました。
敬 具
追加要請 2004.1.5
健康増進法第25条の受動喫煙防止規定について,職場事業所以外に
ついて(これらは労働基準監督署が管轄しているので),所管管轄
する出先機関がないようですが,都道府県・政令市・中核市等の保
健所が改善指導できる規定とすれば,飲食店・理美容・浴場をはじ
め公共的施設の受動喫煙防止の実効性があがることが期待されます。
そのような措置を是非お願いします。