文　安藤恵美子　　絵　池元幸子　　　　　　

スライド１	（１） ぼくの名前は「ピーポー」。 元気村の救急車なんだ。 ぼくの仕事はみんなも知っているよね？　 けがをした人や病気で困っている人を、病院まで急いで運ぶことさ。 − ぬく−
スライド２	（２） でも、元気村の人はみんな元気だから、 出番の少ないぼくは、 毎日楽しそうに遊んでいる子ども達をながめながら、 のんびりとすごしていたんだ。 − ゆっくりぬく−
スライド３	（３） ところが、次から　次へと 病院につれていってほしいという電話がかかってくるようになって、 ぼくはとても忙しくなってしまった。 元気村の人たちが、元気でなくなっちゃったみたいなんだ。 − ぬく−
スライド４	（４） 病院は、具合が悪い人や病気の人でいっぱいになった。 看護師さんも、お医者さんも　てんてこまい。 「のどがチクチクして痛い。」 「セキが出て止まらないんです。　息も苦しい。」 そういって苦しそうにしているんだ。 − ぬく−
スライド５	（５） 道であった人がぼくに話しかけてきた。 　「町中、タバコの煙でもくもくするようになってから、目がチクチクして 痛いの。」 　「このごろタバコの煙がひどいのよ。 そのせいか、セキが出て止ま らないわ。」 「ずーっと気持ちも悪いし、頭も痛いの。」 「タバコの煙を吸わされるようになってから、考える力も弱くなってき たような気がするよ。」 　 村で会う人みんなが、 ぼくに体の具合が悪いって言うんだ。 − ぬく−
スライド６	（６） バスケットの選手が言っていた。 「タバコの煙を吸わされるようになってから、持久力はなくなるし、 疲れやすくて困っているの。」 「タバコの煙に入っている一酸化炭素のせいよ。 すぐに息が切れて、長い時間はしれないし、疲れやすいのよ。」 「脳にきれいな酸素が届かないから、ぼーっとして、ミスばかりして いるわ。 試合でも本当の力が出せないから、負けてばかりよ。 お医者さんが、 『タバコの煙にたくさん入っている一酸化炭素は、血液が酸素を体 中に運ぶのをじゃまするので、 スポーツをしていても力がだせないんですよ。』って言っていたわ。」 − ぬく−
スライド７	（７） 男の子がぼくに話しかけてきた。 「ぜん息の発作が止まらなくなって、病院へ行って来たの。 人の吸っているタバコの煙は刺激性があって、のど（気管）を傷つ けるので、ぜん息によくないんだって。 それから『タバコの煙は“毒の煙”』ってお医者さんが言ってたよ。　 タバコを吸う人ばかりでなく、まわりでその煙を吸っている人の体にも 悪いんだって。発育ざかりの子どもには、特に悪いんだって。」　　 「えーっ！」とぼくは思った。 「タバコの煙は“毒の煙”だって？！　　そんなにタバコの煙は体に 悪いの？」　　 − ぬく−
スライド８	（８） 「やぁ、ピーポー。今、お医者さんから帰ってきたところだよ。　 このごろ息をするのが苦しくって、セキもたくさん出るんだ。 それはね、タバコの煙の中のタールが、ぼくののど（気管）や肺に こびりつくんだって。 それでそんな有害物を体が外に出そうとしているからなだって。 このままでは、ガンになりやすくなるかも知れないんだって。」 　 　　　　　　　　　　　　　　　 「えーっ！　タバコでガンになっちゃうの？」　　 ぼくはおもわず叫んでしまった。 「そうさ、タバコの煙には、ガンの原因になる有害なものがたくさん 入っているって、お医者さんが言っていたよ。　 タバコの煙は“毒の煙”なんだって。」 − ぬく−
スライド９	（９） 「こんにちは、　ピーポー。　　　 お医者さんに、タバコのせいで、心臓の病気になりかかっているっ て言われたよ。 タバコの煙の中にあるニコチンが、血管を縮めて、しかももろくするので、 心臓の血管がつまりやすくなっているんだって。」 「えーっ！　タバコで心臓の病気になるの？」　 ぼくは、おどろいた。　 「そうさ、心臓ばかりでなく、脳の血管までつまったり、破れて、障害が おこる場合もあるんだって。　 タバコの煙は“毒の煙”なんだよ。」 − ぬく−
スライド１０	（１０） 「こんにちは、ピーポー。　 お腹の中の赤ちゃんも、タバコの煙で苦しがっているって言われたわ。 わたしはタバコを吸わないのに、吸っている人のそばにいるだけで、 わたしの体にも、お腹の中の赤ちゃんの成長にも、よくないそうよ。　　　　　　　　　　 元気な赤ちゃんが産（う）まれてくるか心配だわ。」 − ゆっくりとぬく−
スライド１１	（１１） ぼくは、村のみんなが元気でなくなって、とても悲しかった。　　　 大好きな子ども達が、元気に遊べなくなってしまったことが、悲しかった。　 　 元気村の子ども達に、前のように元気になってほしいと思った。 そのためにはどうしたらいいのか、 ぼくは一所懸命（いっしょけんめい）考えた。 − 間− − ぬく−
スライド１２	（１２） ぼくは、大好きな子ども達をタバコの煙から守るために、 町中にタバコを吸ってはいけない場所をたくさん作ってもらうことにした。 村のみんなには、　「子どもの近くでタバコを吸わないで！」 「子どもが大人のまねをしてタバコを吸いそうになったら、止めさせて！」 「タバコは、ニコチンのせいで、吸い始めると止められなくなるんだよ。 最初っから吸わないことが、とても大切なんだよ。」 　 「子どもでも、自由にタバコを買える自動販売機は、置かないで！」 と呼びかけた。　 　　 そして、村の人全員が元気でいられるように、「タバコは、体に悪い んだよ。自分でタバコを吸わなくても、他の人の吸っているタバコの 煙を吸うだけでも、体に悪いんだよ。」 「自分のためだけでなく、家族やみんなのためにも、タバコを止めよう。 禁煙しよう。」　 そう呼びかけた。 − ゆっくりとぬく−
スライド１３	（１３） ぼくは、みんなが元気になるまで、 　　 『子どもをタバコの煙から守り隊』 を作って、タバコが体に悪いことをみんなに知らせようとがんばって いる。 　　 ぼくの大好きな子ども達が、また元気に、楽しく遊びまわれるように。
スライド１４	カバーケース

制作・発刊　ＮＰＯ法人「子どもに無煙環境を」推進協議会　（2001年11月発刊）