もくもく おじさん

  絵と文   こばやし ひろこ

 

スライド 1

       表 表紙

スライド 2

       中 表紙

スライド 3


  あるところに おかねもちで  だいのたばこずきの おじさんがいました。  

  たばこのけむりは やしきじゅうを おおってしまうほどでしたので
 
  おじさんは “もくもくおじさん”と よばれていました。

スライド 4


  やしきで はたらくしつじは たばこのけむりに とてもこまっていました。

  ですから なんとかおじさんに たばこをやめてもらえないか

  いつもかんがえていました。

スライド 5


  あるひ しつじは おじさんにいいました。
 
  「たばこのせいで しろかったカーテンも きいろくなり まども 

  こんなによごれてしまいましたよ。」 おじさんは そっけなくこたえました。

  「じゃあ あたらしくすればいい。」

スライド 6


  つぎのひも しつじは おじさんにいいました。

  「たばこのせいで ふくに いやなにおいが ついてしまいましたよ。」 
  
  けれど おじさんは ぷいっと よこをむいてしまいました。

  「じゃあ あたらしくすればいい。」

スライド 7


  そのつぎのひも しつじは おじさんにいいました。

   「たばこのはいを おとすせいで じゅうたんが あなだらけです。

  もし かじになったら どうするんですか?」  

  それでも おじさんは しつじのいうことに みみを かそうとしません。

   「じゃあ あたらしくすればいい。」

スライド 8


  なんど たばこをやめるようにいっても 

  おじさんは たばこをやめようとしません。

  そのうちに しつじは たばこのけむりで のどをいためてしまいました。

スライド 9


   しつじは かすれたこえで おじさんにいいました。

   「たばこのせいで ぐあいがわるくなってしまいました。」

  すると おじさんはこうこたえました。

   「じゃあ あたらしいしつじを やとえばいいな。」

スライド 10


  おじさんのことばをきいて かなしくなったしつじは

  なきながら やしきをでました。  

  そのとき しつじは いっつうのてがみを のこしていきました。

スライド 11


  しつじのいなくなったへやで おじさんは

  しつじの のこしたてがみを みつけました。

  てがみには こう かかれていました。  

  てがみをよんだおじさんは しばらくして はっと気づきました。

  そう おじさんは たばこをふかすこと ばかりにむちゅうで 

  たいせつなことを わすれてしまっていたのです。  

  おじさんは あわてて やしきをとびだし しつじのあとを おいました。

スライド 12


  おじさんは しつじをさがして はしりました。  

  けれど いつも たばこをすっていたせいで おもうように

  いきができなくなっていたのです。

  そのうち くるしくなって めをまわしてしまい ばったり たおれてしまいました。

スライド 13


  気がつくと おじさんは ベッドのなかにいました。

  そして そのよこには しつじがすわっていました。  

  おじさんは はずかしさで あかくなりながら いいました。
 
  「すまなかった。 わしは たばこをやめようとおもうよ。」

  しつじは やさしくほほえんで いいました。

  「やめられるように がんばりましょうね。」

スライド 14


  それから おじさんは 

  だんだんと “もくもくおじさん”とは よばれなくなりました。

スライド 15

       裏 表紙

制作・発刊 NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会 (20009月発刊)