えがおを まもろう
 

 

 

 

 


                         絵と文  福与 みちよ

                      (2012.3コンクール優秀作品)

 

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 表 表紙 (カバー)

 

 

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おばあちゃん子だったタケシは、学校帰りに、おばあちゃんの家に行くのが、楽しみでした。

 

そこで、お友達の話や勉強の事を、色々とおばあちゃんに、話していました。

「僕、大きくなったら、おばあちゃんを困らせない大人になるよ。」

そんなタケシが、おばあちゃんは大好きでした。

「タケシが、健康で元気で居れば、おばあちゃんは、何にも言うことはないよ。いつまでも、元気でいておくれ。」

それが、おばあちゃんの、一番の願いだからね。

 

−ぬ く−

 

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やがて、タケシは、中学・高校へと進学し、社会人になりました。

社会人になると、様々な好奇心が、わいて来ました。

「ちょっと、吸ってみろよ。」

友達に、そう、けし掛けられて、タケシは生まれて初めて、タバコを吸いました。

ノドが、いがらっぽくなって、思わずむせてしまいました。

一本だけ・・、もう一本だけ。

そうしているうちに、だんだんタバコが、止められなくなっていったのです。

 

        −ぬ く−

 

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タケシの喫煙に気付いたおばあちゃんは、タケシに言いました。

 

「タケシ、お願いだから、タバコは止めておくれ。身体にとっても悪いのよ。」

 

タケシは、タバコを吸いながら言いました。

「おれも、二十歳を過ぎたし、吸ったって構わないだろう!。」

 

「タケシ、せっかく元気な身体で育って来たのに。お願いだから、おばあちゃんの言うことを聞いてちょうだい。」

 

おばあちゃんは、タケシの身体が、とても心配でした。

 

ぬ く−

 

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 会うたびに、タバコを注意されていたタケシは、次第に、おばあちゃんに会いに行かなくなりました。

そして、一ヵ月ほど経ったある日、タケシの元に母親から、おばあちゃんが入院したとの電話が、ありました。

 

「タケシ、おばあちゃんが、病気で入院したのよ。」

 

「えっ、おばあちゃんが?。」

 

タケシはびっくりしました。

 

「タケシの事を、いつも心配していたのよ。おばあちゃんね、おじいちゃんがタバコが好きで、最後は肺ガンで亡くなったから、タケシの身体が、とても心配なのよ。」

 

         −ぬ く−

 

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 その夜、タケシは、なかなか眠れませんでした。

 

タケシが小さい頃に、おじいちゃんは亡くなっていたので、肺ガンで亡くなった事は、知りませんでした。

 

「だから、おばあちゃんは、あんなに真剣にタバコは駄目だと言ったんだな・・。」

 

でも、気がつくと、すぐにタバコを手にしているのです。

「どうしよう、おばあちゃん・・。」

窓際に飾ってある、おばあちゃんと撮った二人の写真に問いかけます。

知らない間に、タケシは、タバコを止められない身体に、なっていました。

 

−ぬ く−

 

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 その夜、タケシが眠りについていると、

「タケシ、タケシ・・。」

タケシを呼ぶ声が、聞こえて来ました。

 

寝ぼけながら、目をさますと、ベットの横に、おばあちゃんの姿がありました。

 

「ええ!、おばあちゃん?。」

病気で入院しているはずのおばあちゃんが、タケシに語りかけているのです。

 

そうか、これは夢なんだ。僕は、夢を見ているんだ。

タケシは、そう思いました。

「タケシ、あなたに見せたいものが、あるのよ。私と一緒に来てちょうだい。」

 

ぬ く−

 

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 夢の中のおばあちゃんは、タケシの手を取ると、窓を開けて、夜の空へ飛び出しました。

 

 タケシは、自分の身体が、フワッと浮いたので、びっくりしました。

 

「う、うわーっ!。」

 

 みるみる、タケシのアパートは、遠ざかって行きます。

 

「これは、夢なんだ、夢を見ているんだ。」

 

タケシは、自分に言い聞かせています。

 

おばあちゃんは、タケシの手を握り、どこかを目指して、飛び続けました。

 

ぬ く−

 

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 「さあ、タケシ。あなたの未来の姿を見にいくわよ。」

 

 びゆーん。

 

 おばあちゃんは、タケシの手を取り、さらに先に進みます。

 

 何やら、大きな建物が見えて来ました。

 

 白いコンクリートの、その建物には、窓がいくつもありました。

 

 その窓の一つに、二人はすうーっと、入って行きました。

 

 「おばあちゃん、ここは何処なの?。」

 

−ぬ く−

 

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 そこは、病室の中でした。

 ベットの上には、一人の男が寝ていました。

 

 目は、ギョロリとしていて、頬は痩せこけ、その姿は、とても恐ろしく見えました。

 ベットの上の男は、タケシを悲しそうに見つめていました。

 

 「あれは、未来のタケシだよ。まだ、若いのに、肺ガンになって、後いく日も、命がもたないのよ。」

 

 「ええー、僕の未来?。なんでだよ!、僕は、こんなに元気じゃないか!。」

 

 「あなたも、おじいちゃんと同じ肺ガンに掛かったのよ。タバコを吸うということは、他の人よりずっと、病気になる確率が高くなるのよ。」

 おばあちゃんは、言いました。

 

−ぬ く−

 

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 その時、ハット目が覚めました。

 「夢だったんだ。怖い夢だったなぁ・・。」

 

 夢から覚めて、タケシは、ホット胸を撫で下ろしました。

 けれども、夢の中のベットの男の姿が、目に焼きついてしまいました、

 タケシは、恐ろしくなりました。

 

 何気なく、毎日吸っているタバコは、肺の奥深くまで、ニコチンやタールを運び、肺の機能を失わせるのです。

 

 あれが、自分の未来の姿なのか。

 夢とはいえ、あまりにショックな姿でした。

 

ぬ く−

 

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 タケシは、ベットの横の写真を見て、驚きました。

 小さい頃、おばあちゃんと撮った写真が、病院の男の顔に、変わっていたのです。

 「タケシ、おじいちゃんもタバコが止められなくて、肺を悪くしたのよ。大事なタケシに、もしもの事があったら、おばあちゃんは、悲しいよ。」

 夢の中で、おばあちゃんは、泣いていました。

 タケシは、胸が締めつけられる様な、悲しみを覚えました。

 

ぬ く−

 

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  「お、おばあちゃん、判ったよ。もう、タバコは止めるよ!。」

 タケシは、そばにあったタバコの箱を、ゴミ箱に投げ込みました。

 

 大切な人を悲しませてまで、タバコを続ける事は、タケシには出来ませんでした。

 ましてや、タバコの煙は、周りの人にまで、悪い影響を及ぼすのです。

 

−ぬ く−

 

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 次の朝、タケシは、おばあちゃんの入院している病院へ、お見舞いに行きました。

 「おばあちゃん。ぼくね、タバコを止めたんだよ。」

 

 おばあちゃんは、ビックリし、そして、嬉し涙を流しました。

 「おばあちゃんが、夢に現れて、僕の未来を教えてくれたからだよ。」

 タケシにとって、不思議な出来事でした。

 でも、タケシは思います。

 おばあちゃんが、タケシを思って、夢に現れてくれたんだと。

 

 そして、おばあちゃんとタケシの思い出の写真も、いつの間にか、元通りになっていました。

 「元気なタケシに、戻れるね。」

 おばあちゃんは、嬉しそうでした。

 

制作・発刊 NPO法人「子どもに煙環境を」推進協議会 201212月発刊)