王さまがたばこをやめた日
絵と文  こばやし あつこ
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       表 表紙
スライド 2        中 表紙
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  あるところに それはそれは ヘビースモーカーな王さまが おりました。

  朝から晩まで ぷかぷかぷか と たばこをふかしてばかりいるので

  お城からは いつも もくもくと けむりが上がりお城の上には 

  厚いドーナツ雲が どんよりとかかっていました。


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  お城で働く人たちは あまりのけむり王さまの顔が 
  
  どんな顔だか 知りませんでした。

  見えるのは けむりから出た 金ぴかの王かんだけです。

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  人々は 王さまの前に出る時以外はいつも マスクをして 過ごしていました。

  みんな本当は 王さまに たばこをやめてほしくてしかたないのです。

  でも だれも 王さまに「たばこを やめてください! 」

  と 言う者は いませんでした。


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  ある年の12月王さまは 

  「今年は 国中の 子どもたちを 全員まねいてクリスマスパーティーを 行うぞ! 」

  と けむりの中から 言いました。 

  大臣たちは おおあわてで パーティーのポスターを 国中に ばらまきました。


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  そして イブの夜王さまは 

  国中の子どもたちと同じ数のプレゼントを用意し大広間で 

  子どもたちがやってくるのを わくわくしながらまっていました。 

  王さまは 子どもたちの よろこぶ顔が 大好きでした。


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  ところが いつまでたっても だれ一人 やって来ません。 

  「どうしたんじゃろうか?」  

  王さまは ますますたばこを ぷかぷかぷか とふかしました。

  とうとう 時計は 12時を まわってしまいました。


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  王さまは 
 
  「わしは この国の 子どもたちから こんなに きらわれていたのか…」

  と 悲しそうに なみだを ぽろぽろと 流しました。


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  それを 見ていた 一人のめしつかいが 言いました。

  「王さま 子どもたちは 王さまがきらいなのではありません。

  王さまのすわれる たばこが きらいなのです。」  「たばこが?」 

  「はい そうです。たばこは 体に 悪いのです。王さまの体にも よくないですし 

  子どもたちにとってたばこのけむりは 毒なのです! 」 

  めしつかいは 勇気を出して言いました。

  「王さま どうか たばこを おやめください! 」 「そうだったのか…」 

  と 王さまは つぶやきました。 それから 意を決して


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  「よし わしは たばこを やめるぞ!

  そして 世界一 子どもたちに好かれる王さまになるぞ! 」 

  と 宣言しました。


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  その日をさかいに お城から けむりが消えました。 

  すると どうでしょういつも お城にどんよりとかかっていた 

  厚いドーナツ雲も すがたを消し おひさまが お城を 照らしはじめました。


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  そして 王さまはというと あらあら なかなかすてきな お顔では ありませんか。

  お城で働く人たちも 王さまの顔がわかって 大よろこび。 

  それより なにより お城の空気が きれいになり 

  もう だれも マスクをしている人は いません。


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  次の年の クリスマスイブの夜 

  お城からは 子どもたちの 

  元気なわらい声と王さまのごうかいな わらい声が 聞こえて きました。


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       裏 表紙

                          制作・発刊 NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会 (2000年8月発刊)