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絵と文 こばやし あつこ |
スライド 1![]() |
表 表紙 |
スライド 2 | 中 表紙 |
スライド 3![]() |
あるところに それはそれは ヘビースモーカーな王さまが おりました。 朝から晩まで ぷかぷかぷか と たばこをふかしてばかりいるので お城からは いつも もくもくと けむりが上がりお城の上には 厚いドーナツ雲が どんよりとかかっていました。 |
スライド 4![]() |
お城で働く人たちは あまりのけむり王さまの顔が どんな顔だか 知りませんでした。 見えるのは けむりから出た 金ぴかの王かんだけです。 |
スライド 5![]() |
人々は 王さまの前に出る時以外はいつも マスクをして 過ごしていました。 みんな本当は 王さまに たばこをやめてほしくてしかたないのです。 でも だれも 王さまに「たばこを やめてください! 」 と 言う者は いませんでした。 |
スライド 6![]() |
ある年の12月王さまは 「今年は 国中の 子どもたちを 全員まねいてクリスマスパーティーを 行うぞ! 」 と けむりの中から 言いました。 大臣たちは おおあわてで パーティーのポスターを 国中に ばらまきました。 |
スライド 7![]() |
そして イブの夜王さまは 国中の子どもたちと同じ数のプレゼントを用意し大広間で 子どもたちがやってくるのを わくわくしながらまっていました。 王さまは 子どもたちの よろこぶ顔が 大好きでした。 |
スライド 8![]() |
ところが いつまでたっても だれ一人 やって来ません。 「どうしたんじゃろうか?」 王さまは ますますたばこを ぷかぷかぷか とふかしました。 とうとう 時計は 12時を まわってしまいました。 |
スライド 9![]() |
王さまは 「わしは この国の 子どもたちから こんなに きらわれていたのか…」 と 悲しそうに なみだを ぽろぽろと 流しました。 |
スライド 10![]() |
それを 見ていた 一人のめしつかいが 言いました。 「王さま 子どもたちは 王さまがきらいなのではありません。 王さまのすわれる たばこが きらいなのです。」 「たばこが?」 「はい そうです。たばこは 体に 悪いのです。王さまの体にも よくないですし 子どもたちにとってたばこのけむりは 毒なのです! 」 めしつかいは 勇気を出して言いました。 「王さま どうか たばこを おやめください! 」 「そうだったのか…」 と 王さまは つぶやきました。 それから 意を決して |
スライド 11![]() |
「よし わしは たばこを やめるぞ! そして 世界一 子どもたちに好かれる王さまになるぞ! 」 と 宣言しました。 |
スライド 12![]() |
その日をさかいに お城から けむりが消えました。 すると どうでしょういつも お城にどんよりとかかっていた 厚いドーナツ雲も すがたを消し おひさまが お城を 照らしはじめました。 |
スライド 13![]() |
そして 王さまはというと あらあら なかなかすてきな お顔では ありませんか。 お城で働く人たちも 王さまの顔がわかって 大よろこび。 それより なにより お城の空気が きれいになり もう だれも マスクをしている人は いません。 |
スライド 14![]() |
次の年の クリスマスイブの夜 お城からは 子どもたちの 元気なわらい声と王さまのごうかいな わらい声が 聞こえて きました。 |
スライド 15![]() |
裏 表紙 |
制作・発刊 NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会 (2000年8月発刊)