大阪府衛生対策審議会 受動喫煙防止対策検討部会へのヒアリングシート
2012.7.11 NPO法人 子どもに無煙環境を推進協議会
1.受動喫煙による健康影響の考え方について (1)日本の喫煙者は、2011年で約2,200万人、日本国民12,800万人の約17%で1/6に過ぎません。成人(男女計10,500万)に限っても、喫煙者は約20%で1/5に過ぎません。(男性喫煙率33.7%、女性喫煙率10.6%(男女計21.7%);大阪府内でもほぼ同様の割合と思われます) (2)この10年間で、喫煙率は、男52.0%→33.7%と18.3%減、女14.7%→10.6%と4.1%減で、タバコの販売本数も、3193億本→1976億本と、1217億本(38%)も減ってきています。 (3)国民・府民でタバコを吸わない83%もの人たちが(とりわけ乳幼児・妊産婦・子ども・未成年者、成人であってもアレルギーや病弱者・受動喫煙で体調を壊すなど大多数が)、意に反して、少数者の喫煙により日常的に受動喫煙の危害を被り、健康を損ない、そのリスクに曝され続けていることは誠に理不尽なことで、危害の深刻性、また公共性から看過されてはならないことです。喫煙者も、飲食店経営者なども、またタバコ関連産業(販売・栽培を含め)もこの事態の社会的改善施策・ルールに異を唱えることは出来ないはずのものです。 (4)WHO-FCTCの第8条ガイドラインは、受動喫煙からの保護;「屋内完全禁煙」措置(屋外あるいはそれに準ずる場所を含む)を2010年までに進める負託義務を各国に課していました。国民・府民の大多数(8〜9割)が、受動喫煙を苦しく思い、抜本的な「受動喫煙防止施策、条例や法」の早急な施行を熱い期待で望み、待ち続けていることは、府の検討部会資料(府民意向調査)を含め、様々の調査結果で示されています。また技術工学的方法や「分煙」では受動喫煙は防止できないことも既に示されています。 追記1参照 (5)条例や法制定による一律的な同時禁煙の義務づけであれば客離れの心配は全くないし、むしろ受動喫煙がなくなることによって、それまで利用を控えていた人たちや家族づれなどのレストラン・飲食店の利用増で、客は増加すると思われ、諸外国でその実績報告が数多くあります(JTはこれら店の売上げが減ると根拠のない論を言っていますが間違いです)。 (6)受動喫煙防止法・条例の施行で、心筋梗塞など受動喫煙や喫煙による急性疾患が直ちに減少したという海外報告が相次いでいます。このことはガンやCOPDなど慢性諸疾患の減少でも期待されるところで、医療費の軽減だけでなく、国民・府民の健康増進と福祉に大きく寄与することとなります。 2.非喫煙者を受動喫煙から保護するための方策について 「子ども・未成年者・妊産婦及び非喫煙者」を受動喫煙の危害から守るために、条例制定を含む施策には以下の内容が含まれるべきです(利用客が来店する職域も含める;職域全体については国の所管との関係を検討する)。 (1)医療・保健・福祉・健康関連施設、子ども・青少年・社会教育施設、園・学校・教育施設等は「敷地内禁煙」を義務づけ(利用客が来店する職域も含め)、また推奨する。 (2)その他の不特定多数が出入りする所は、屋外を含め、その内部を例外なく「禁煙」とし、「分煙」は不可とする。(別紙1に対象施設を列記)(ただし可能な限り敷地内禁煙を推奨し、所外に喫煙可能な灰皿・喫煙所を設置するとしても、出入口から10mは離し、出入り者が受動喫煙を被らない対処をすべきこと)(1、2項の禁煙でない場所ではその旨の表示を義務づけ、禁煙場所では灰皿などの設備の禁止を義務づける) (3)通行の多い駅周辺・ターミナル、商店街、繁華街、アーケード、通学路、バス停など、屋外であっても受動喫煙の危害防止の観点から、施策に含めるべきです。 (4)ただし、業種・規模等により(小規模な宿泊施設、飲食店、風俗関連業など)、実施にあたっては一定の猶予期間(3年程度)を認めるが、「受動喫煙のリスクのある場所に子ども・未成年者・妊産婦及び非喫煙者を立ち入らせてはならない。」(従業員を含む;A)との義務づけをし、また出入口などに「子ども・未成年者・妊産婦及び非喫煙者の出入りは条例等により禁じられています。」(従業員を含む;B)という表示設置を義務づける。またこれらの施設も「禁煙」を推奨することとし(C)、禁煙でない場所では出入口にその旨の表示を義務づける(D)。 (4-2)これら小規模な宿泊施設・飲食店で、既に自主的に「完全禁煙」にしている所が少なくありません。例えば「禁煙スタイル」サイトには、大阪府内で1676の飲食店が登録されていて(未登録を含めればもっと多い)、多くの店が繁盛しています。これらの実績を踏まえ、施策に当たっては、「完全禁煙」の勧奨制度を設けるとともに(これまでの府の全面禁煙宣言募集を拡充し)、上記A〜Dも盛り込んで、これら施設の完全禁煙化を促す行政的方策は可能ではないでしょうか。(参考例:診療報酬の「屋内禁煙」要件、2012年7月スタート:別紙2) (4-3)またこれら小規模な宿泊施設、飲食店、風俗関連業などで、「完全禁煙」とすることに反対の所にあっては、一定の猶予期間までの経過措置として、A及びBを義務づけ、かつ「当店は喫煙可能店で、受動喫煙により非喫煙者の健康に害を及ぼすリスクがあります。」との表示(及び受動喫煙は非喫煙者の健康を害する旨の警告表示で府の規則で定める文言掲示)を義務づけることとするのが良策かと考えます。(ただしタバコ煙の排気により店外に受動喫煙の害を及ぼさないこと、店外に灰皿などの設備は不可とする、ことを必要とする) 追記2参照 (5)以上の施策の担保のために、条例制定に当たっては、一定の猶予期間以後は、違反者(施設及び喫煙者)に過料あるいは罰金・罰則を課する。 (6)また、家庭内やマイカーなどは、受動喫煙の濃厚なリスクが大きく(狭い空間や気密性・換気が少ないなどもあって)、対象人口も多い現実があることから、啓発(健診や医院・園や学校などを通じてとか)・対処策・推奨などの課題を検討すべきです。(別紙3に例を記載) 3.その他(ご意見など) (1)タバコ会社やタバコ販売・耕作業界などは、受動喫煙防止対策及び条例・法制定に強く反対していますが、自分たちの販売・収益減になるからとのエゴ的反対であって、国民・府民の健康・福祉がそのエゴの犠牲となるべき、との論は決して容れるべきでなく、健康政策・施策への介入・横やりは斥けるべきです。 (2)特にタバコ会社は「タバコは嗜好品」と、繰り返し広報し、いかにも”好ましいたしなみ”という肯定的な語感を前面に出し、タバコの有害性・依存性を意図的にカモフラージュし覆い隠す虚偽・詐称表現で、喫煙擁護・推奨の拠り所にしています。しかし有害で依存性の強いタバコは、とうてい「嗜好」と言うことが許される商品ではなく、正しくは「嗜癖・嗜癖品」とこそ言われるべきです。(追記を別紙4に補足) (3)FCTC第5条は「3 締約国は、たばこの規制に関する公衆の健康のための政策を策定し及び実施するに当たり、国内法に従い、たばこ産業の商業上及び他の既存の利益からそのような政策を擁護するために行動する。」と定めています。タバコ業界の健康政策・施策への介入・横やりは斥けるべき所以です。(関連資料を別紙5に) (4)2012/6/8に閣議決定された「がん対策推進基本計画」(及び2012/7/10に厚生労働大臣告示の第二次健康日本21)で、成人の喫煙率の低減、受動喫煙の機会を有する者を無くする(行政機関 0%、医療機関 0%、受動喫煙の無い職場の実現)等の目標を掲げていますが、受動喫煙の0目標の実現こそが最も枢要な対策・施策ですので、府及び国ではこの実施に果敢かつ早急に取り組んでいただきたいです。 |
ヒアリングシート別紙資料 NPO法人 子どもに無煙環境を推進協議会 別紙1(不特定多数が出入りする所は、屋外を含め、その内部を例外なく「禁煙」とし、「分煙」は不可とする) 官公庁・公共機関、(利用客が来店する)職場、公共交通機関、金融機関、百貨・小売店、理美容店、公衆浴場、冠婚葬祭場、神社寺院、集会場、展示場、図書館等、観覧場、動物・植物園、遊園地、公園、劇場、映画館、演芸場、宴会場、遊戯関連業、サービス業施設、レストランなど 別紙2(参考例:診療報酬の「屋内禁煙」要件、2012年7月スタート) 2/10中央社会保険医療協議会 総会(第221回)議事次第 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1.html 資料(総−1) http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf
122ページ→ 【1−2(充実が求められる分野/生活習慣病対策の推進)−(2)】 たばこ対策への評価 骨子【1−2−(2)】 第1 基本的な考え方 受動喫煙による健康への悪影響は明確であり、公共の場においては原則として全面禁煙を目指しているが、屋内全面禁煙を実施していない病院がみられることを勘案し、生活習慣病患者、小児、呼吸器疾患患者等に対する指導管理にあたっては、緩和ケア病棟等の現状にも配慮しつつ、屋内全面禁煙を原則とするよう要件の見直しを行う。 第2 具体的な内容 生活習慣病、小児、呼吸器疾患患者等に対する入院基本料等加算及び医学管理等を算定する場合には、原則屋内全面禁煙を行うよう要件を見直す。 別紙3(家庭内やマイカーなどでの啓発(健診や医院・園や学校などを通じてとか)・対処策・推奨などの課題例) ・妊婦教室や乳幼児健診、産婦人科や小児科等で家族に禁煙指導を推奨する 点的(画像入りで) コ等を禁止する ・ニコチン依存に陥っている若い世代の禁煙治療のために、保険適用の要件を緩和する(喫煙指数200の撤廃など) ・禁煙支援のために、禁煙の電話等の相談が可能な「禁煙相談ライン(quitline)」を新設する(保健所との連携協力が考えられるのでは) 別紙4(追記補足:「タバコは嗜好品」は有害性・依存性を意図的にカモフラージュし覆い隠す虚偽・詐称表現、「嗜癖・嗜癖品」表現が正しい) 厚生労働省の関連ホームページに掲載されている世界銀行の「たばこ流行の抑制」 http://www.health-net.or.jp/tobacco/sekaiginkou/curbing.pdf
などでもこの言葉(嗜癖)が正しく使われています。またタバコに依存を強めるメンソール等を添加したり、正しいリスク情報を殆ど開示せず、販促広告やスポンサーシップなどでリスクを隠すにとどまらず、誤情報に基づいたタバコのプラスイメージを流し続けています。今こそ、喫煙者の行動変容を促していく健康行政の政策・施策が責務として必須です。 別紙5(タバコ業界の健康政策・施策への介入・横やりは斥けるべき関連資料) ⇒たばこ規制に関する公衆衛生政策をたばこ産業の商業上及び他の既存の利益から保護することに関するガイドライン(第5条3項): 厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/dl/fctc_5-3_guideline_120506.pdf 追記1 (1)日本産業衛生学会は2010年5月に、「タバコ煙」が発がん物質第1類=ヒトに対する発がん物質、として分類に追加している。 (2)分煙は必ず漏れざるを得ない。喫煙室・所を設けることは、窓を開けっ放しにしてエアコンをフル稼働で動かす愚と同じで、省資源・省エネルギー・節電から見ても、これからの時代に許されないことと言わざるを得ない。 追記2(上記本文2(4)〜(4-3)関連として、出入口等の受動喫煙防止表示について、タバコ会社も以下のように支持発言しています) (1)フィリップ
モリス ジャパン株式会社(2005年11月08日) (2)同(2008年05月20日) (3)同(2008年10月20日) (5)同(2009年4月21日)
http://www.jti.co.jp/news/opinion/090421/index.html |