大阪府受動喫煙防止に関する条例 についての経緯(1)〜2013.4.17現在まで

以下投稿文の形で標記の経緯を紹介します。

 

大阪府受動喫煙防止条例の制定へ向け
「分煙」を入れない禁煙化とリスクの店頭表示の義務づけを


            子どもに無煙環境を推進協議会(大阪)  野上浩志

受動喫煙防止条例(案)の取り下げまでの経緯

 大阪府は、2012年度に、府衛生対策審議会に「受動喫煙防止対策のあり方」の検討部会を設け、4回の部会審議を行いました。部会では、飲食・旅館業や大阪商工会議所からも委員が入って、これら業界側は「分煙」を主張し、条例化の網に入れることに猛烈に抵抗はしましたが、医療側委員は「分煙は効果が不確実で、費用もかかる」として受け容れませんでした。
 結果的に201210月の審議会の答申は「学校や医療機関など公共性の高い施設については、敷地内全面禁煙又は建物内全面禁煙を法制化により推進すべき。民間施設についても、ガイドラインにより対策を推進し、特に子どもや妊婦の利用する施設については、将来的には全面禁煙の義務化を目指すべき。」との内容でした。
 その後20131月にパブリックコメントがあり、「大阪府受動喫煙の防止に関する条例」(案)が2月の大阪府議会に提出されました。議員からは、「分煙」が入れられていない、「分煙」で良いのではとか、ガイドラインで全面禁煙にして行くつもりなのではとの疑心暗鬼的な質問などで、「条例案を取り下げるべき、賛同できない」との発言が多く、過半数を占める知事与党の大阪維新の会が賛同しなかったため、条例案は「改めて実効性ある受動喫煙防止対策を検討する」として、3/22の本会議で取り下げ(撤回)に至りました。

「分煙」を入れず、公共性の高い施設の全面禁煙を前面に

 私たちは、「公共性の高い施設と子ども・妊産婦を守ることを最優先に全面禁煙のルールを確立する」という条例の基本方針に賛同し、知事や議員へ資料を送るなどしました。しかし撤回に至ったために、再提出と制定を期待して、10万筆を目標に、全国的に署名を呼びかけています。医師会など医療団体も署名に取り組むことにしています。
 受動喫煙により、非喫煙者・子ども・妊産婦・病弱者など多くの人たちが、その危害で健康を損なうことは許されない理不尽なことです。喫煙者の方々も本意ではないはずで、個人の回避努力やマナーでは防ぎえないのですから、条例制定による禁煙ルールで抜本的に防止されるべきです。日本産業衛生学会は「タバコ煙」は発がん物質第1類=ヒトに対する発がん物質としています。「分煙」では煙は必ず漏れざるを得ないし、全面禁煙で発がん物質は取り除かれるべきです。「分煙」を条例に入れることは費用もかかるし、今後の禁煙化を妨げ、無駄ともなります。

リスクの店頭表示を義務づけ、客が禁煙化の方向を決める条例を

 公共性の高い施設などの全面禁煙の義務づけをしつつ、それ以外の全面禁煙でない店(施設)については、喫煙・禁煙等の表示と受動喫煙のリスク表示を義務づけ、利用客が店を選択できるようにすれば、全面禁煙が広がるかどうかは客の動向にかかってきます。
 業界の抵抗の強い飲食・旅館業などで、今の時点での禁煙化が難しいのが現実であるのなら、上記のような表示を義務づける条例とすれば、時間は少しかかるでしょうが、客の大多数は禁煙店を選択し、喫煙店や分煙店は次第にはやらなくなって、禁煙化へのなだれとなることでしょう。今後の方向は市民自身が決めていく条例が良いかと思うところです。

 

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