2013年8月15日 あべのハルカス近鉄本店 御中 〒540-0004 大阪市中央区玉造1-21-1-702 子どもに無煙環境を推進協議会 Tel,Fax06-6765-5020 あべのハルカスの受動喫煙の危害対策について提案させていただきます 貴社、益々ご清栄のこと、お慶び申しあげます。 あべのハルカスの受動喫煙の危害対策について私たちの調査を踏まえ、以下の提案をさせていただきますので、ご高配をお願い申しあげます。 本店の案内では、「喫煙室」が設置されているのは12-14階のダイニングフロアの各階に1箇所、6階の北西側に1箇所で、また10階のタリーズコーヒーのみに屋外テラスに喫煙席があります。その他は全面禁煙とされ、客を受動喫煙の危害から保護する対策を採られたことは評価に値するものと思います。 1.これら4箇所の「喫煙室」の状況について、私たちは2013/7/23の昼の時間帯に微小粒子状物質(PM2.5;大半はタバコ煙に由来する)の測定器で、タバコの煙の漏れの有無を測定させていただきました。(測定は、この分野の第一人者である大和 浩・産業医科大学教授のご協力で行いました。同教授のホームページ:http://www.tobacco-control.jp/
) ・その結果、13階以外の3箇所については、測定した限りでは、漏れは、環境省のPM2.5の大気環 境基準値(=1日平均値が35μg/m^3以下であること)を超えることはありませんでした。(図1、 図3) しかしこれは、漏れが全く無かったという意味ではなく、「喫煙室」外でも値がかなり 低くはありますが、「喫煙室」内の値と多少は連動しているので、わずかな漏れ(喫煙者の呼出 (吐出)煙を含め)の可能性は否定できませんでした。清浄な環境ではこのような値の変動はな いのです。(後記の付言を参照ください。)
・しかし13階については、エスカレータを上がった所、また10m近くからでも煙の臭いがするほど、かなりの漏れの状態で、隣接のトイレ(「喫煙室」の奥にある)でもかなりの漏れが測定されました。(図2) 2.この結果について、データを整理して、8/7に電話をさせていただき、概要をお話しし、伺いたい旨をお伝えしました。 ・その電話で、本店として7/26に従業員の通報で13階の「喫煙室」の漏れが判って、8/3に故障していた排気ファンを交換したとのことでした。ただし交換修理までの8〜9日間についてはこの「喫煙室」は閉鎖はしていなかったとのことでした。 3.今回の私たちの測定、及び本店への見学で、以下の問題点を指摘させていただきます。 ・測定した日時の範囲内では、13階以外では、タバコ煙の漏れは、環境省のPM2.5の環境基準値(=1日平均値が35μg/m^3以下であること)を超えることはありませんでした。ただこのことは上記1項でも述べたように、これは漏れが全く無かったという意味ではなく、「喫煙室」外でも値がかなり低くはありますが、「喫煙室」内の値と多少は連動していることから、わずかな漏れ(喫煙者の呼出(吐出)煙を含め)の可能性は否定できませんでした。(後記の付言を参照ください) ・また、時間帯や喫煙者の利用人数によっては上記の基準値を超える漏れ(喫煙者の呼出(吐出)煙を含め)の可能性はあり得るかもしれないし(いずれ再調査させていただきたいと思いますが)、特に喫煙者の呼出(吐出)煙がありますので、少なくともその呼出(吐出)煙対策が必要ではないでしょうか。(例えば喫煙後、呼出(吐出)煙が消失するとされる3分間は室内か別室ででも留まれるような工夫をするとか、それに加えて二重ドア方式を検討するとか) ・13階の漏れに見られるような、換気トラブルについて、従業員の通報で初めて故障が判ったというのは、お粗末である以上に、重大なシステム上の欠陥であったと言えるのではないでしょうか? ・今後、抜本的に、換気系機器の常時モニター、また煙感知の常時モニターが不可欠かと思いますが(定期点検とは別に)、そもそも受動喫煙の危害対策のためには、排気ファンなどの機器はダブルシステムとし、万一に一つが故障してももう一つのファン等で切り替え運転が直ちにされるようなシステムが採られるべきです。 ・また今回のような換気トラブルがあった場合には、「喫煙室」は直ちに閉鎖して、非喫煙者を受動喫煙の危害から保護する措置が取られるべきでした。この故障はもしかして開店当初かそれに近い日からだった可能性もあるのではないでしょうか(開店後何回か「喫煙室」を見に行きましたが、漏れの臭さが気になったこともありました)。 ・かつ、「喫煙室」を直ちに閉鎖せずに、交換修理までの8〜9日間、客の多くに受動喫煙の危害曝露をさせてしまったことについて、非喫煙者への健康影響だけでなく、「喫煙室」を利用した喫煙者にとっても本意でなかったのですから、今からでも公表し、何らかの釈明なりをされてはと思いますが如何でしょうか? 4.店内の(この階で1箇所だけの)公共的トイレが「喫煙室」の奥や横にあるとか、レストランの待ち椅子が「喫煙室」の近くまであるとか、非喫煙者を受動喫煙の危害から保護する観点が、設計段階で欠落していたことを、とても残念に思いました(喫煙者は国民や府民の17%以下であって、その喫煙行為で大部分の非喫煙者が危害を被るのは理不尽なことですが、設計段階で、皆が利用するトイレの手前や横に「喫煙室」を設けることの間違い・おかしさ・不道理に誰もお気づきにならなかったのでしょうか?)。 ・「喫煙室」からの漏れは皆無ではないようですし(特に喫煙者の出てくる時の呼出(吐出)煙を含め)、「喫煙室」の傍を通る非喫煙者が受動喫煙の危害を被る機会は少なくないように思われます。本店が繁盛し、非喫煙者がトイレ等を利用する人数も半端ではないでしょうから、この抜本的対策を早急にお願いしたいです。 ・「喫煙室」の扉には"supported JT" とのロゴが入っていますが、非喫煙者を守る側の私たちに設計段階で事前相談があれば、それらの設計変更を指摘できたのに、ととても残念に思っています。(私たちは全面禁煙が望ましいとは考えていますが、「喫煙室」設置で受動喫煙が本当に皆無になるのであるなら、経過措置としての設置に絶対に反対を唱えるものでは必ずしもありません。) JTは喫煙者サイドの視点しかないでしょうから、JTにのみ頼るのは問題が多々あることを指摘しておきたいと思います。 5.他の日に6Fの「喫煙室」を見学に行った日に、室内の掃除等をする従業員の方の出入りがありました。このような方が煙の中で仕事をしなければならない(健康を害するリスクを避けられない)のは痛ましいことです。本店としてどうお考えでしょうか? 6.今回測定した限りでは、平日の昼の時間帯なので、喫煙者は多くはなかったように思いました。日時によっては満員で溢れる場合もあるのではないでしょうか(事実、この日に他の百貨店の喫煙室を見て回りましたが、そのような情景があり、扉を開けた状態で吸っている光景を目にしました)。このような状況把握は日々されているでしょうか? そしてそのような場合の対処をどうお考えでしょうか? ・「喫煙室」内のタバコ煙汚染は劣悪で、喫煙者自身への危害も心配な状況ですし、喫煙者の人数や利用状況の把握を是非にお願いします。 (これら利用状況やメンテナンスモニターの公表を是非にお願いします) 7.「喫煙室」設置によるメンテナンスやランニングコストなど経費も相当額になるのではないでしょうか? 8.10Fのタリーズコーヒーについては、工事中のウイング館(屋上菜園・空の広場予定)側の屋外に7テーブルの喫煙席があり、屋内には煙は来ない構造になっていますが、ただ屋外で横や近くを通るときは曝露され得るのではないでしょうか? ウイング館がオープンした場合に、そのようなことのないよう、早期の抜本的対策をよろしくお願いします。 9.秋以後にウイング館が順次オープンするようですが、ウイング館は全面禁煙とされるよう、またハルカスの15F以上のフロアーについても、受動喫煙の危害のないよう、全面禁煙の対策をよろしくお願いします。 10.以上、貴社が、受動喫煙の危害対策にご努力されたことに敬意を表しますが、せっかく対策をされたのですから、より実効性の高い対策へのステップアップをされ、受動喫煙のない健康溢れる店内で心おきなく買い物をし飲食ができるよう、また他所のモデルともなり得るよう、なお一層の対策推進をお願い申しあげます。 【付言】 環境省のPM2.5の大気環境基準値(=1日平均値が35μg/m^3以下であること)は、「喫煙室」外の法定基準値ではありませんが、ただ厚生労働省の「受動喫煙防止対策の徹底について(平成24年10月29日厚生労働省健康局長通知)」にも明記されているように「非喫煙場所の粉じん濃度が喫煙によって増加しないこと。喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないこと。」から、今回の調査でPM2.5の測定器による「喫煙室」のタバコ煙の漏れの評価を行ったものです。 結果的には「喫煙室」を設置し、他所を全面禁煙にされたことによって、その効果はそれなりにあって評価はできるものの、「非喫煙場所の粉じん濃度が喫煙によって増加しないこと。喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないこと。」について、喫煙者の呼出(吐出)煙を含め漏れは必ずしも皆無ではなく、「喫煙室」の場所等の再考、呼出(吐出)煙対策など、いくつかの提案をさせていただきました。
喫煙室内(測定器はサイドテーブル左隅に設置) 喫煙室外(測定器は左側で手で持っている) 隣接のトイレでの測定器計測 |