受動喫煙防止に日本医師会、動く 「例外なき対策」求める署名開始


たばこ規制を巡り、厚生労働省と自民党の調整が難航している。そんな中、日本医師会は5月10日、公式サイト上で「受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名のお願い」という署名活動を開始した。

世界最低レベルといわれるたばこ規制の現状がある一方、受動喫煙のない「スモーク・フリー」が原則のオリンピックの開催が近づいている。

4月7日には世界保健機構(WHO)の幹部が来日し、日本の対応を批判した。

厚生労働省が今国会で提出予定の「建物内を原則禁煙」とする法案には、自民党が基準の緩和を求めている。党内のたばこ規制慎重派「たばこ議連」の主張に押し切られた形だ。

調整が難航する中、日本医師会が動いた。5月10日に、公式サイト上で「受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名のお願い」という署名活動を開始したのだ。

医師会は「国民の健康を守る専門家集団」として、国民の健康を第一に考える立場から、禁煙を推進している。

今回の署名の趣意書でも「非喫煙者、とくに働く若い人を受動喫煙による健康被害から完全に守るためには、日本全体で屋内100%全面禁煙とする国際水準の受動喫煙防止法や条例の制定が不可欠」とした。

署名は全国民を対象としたもので、未成年者の署名も可能。

公式サイトから署名用紙をダウンロードし、印刷後、必要事項をボールペン等(鉛筆は不可)で記入して、署名用紙の原本を最寄りの医療機関または郡市区医師会、日本医師会地域医療第3課宛に提出する流れ。

また、あわせて医師会の会員が5~6月で回収する。


日本医師会によれば、5月10日の定例記者会見で、羽鳥裕常任理事が「目標は100万筆」とした上で「その2~3倍の署名を集めたい」と呼びかけた。

なぜ100万筆なのか。これは、たばこ規制に反対の複数の業界団体による署名がすでに行われ、120万筆を集めていることを受けた数字だ。

国民の意見を反映しているのは、どちらの署名なのか。日本医師会の署名の募集は6月23日まで。集められた署名は、厚労省、官邸、衆参両院議長などに提出される予定だ。