屋内原則禁煙、都が条例制定へ 受動喫煙防止で国に先行

2017/9/9(土) 6:45配信 朝日 http://digital.asahi.com/articles/ASK985QV6K98UTIL03D.html 

 

 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を防ぐため、東京都は8日、公共施設や飲食店などを原則屋内禁煙とする罰則付きの条例を定める方針を発表した。今年度中に都議会に条例案を提出し、ラグビーワールドカップ(W杯)開催前の2019年夏までの施行を目指す。

 神奈川県兵庫県も公共施設や飲食店を対象にした喫煙規制の条例を定めている。ただ、神奈川県が面積100平方メートル以下の飲食店を努力義務としているのに対し、都の案は30平方メートル以下のスナックなどを除いて原則禁煙とする厳しい内容。都は、法改正が進まない国に先んじて動き出す。首都・東京で条例化されれば、他の自治体にも波及する可能性がある。

 都の案によると、病院や小中学校・高校は敷地内を、官公庁や老人福祉施設などは屋内を全面禁煙。ホテル・旅館、事業所などは喫煙室を除いて屋内禁煙とする。飲食店も同様だが、「全従業員が同意」などの条件を満たす面積30平方メートル以下のバーやスナックなどは喫煙可とする。勧告や命令などに従わない場合の罰則も設け、5万円以下の過料を科す。従来のものより煙が少ない加熱式たばこも対象だが、今後の議論で見直す可能性があるという。

 都の案は、厚生労働省受動喫煙対策として示した健康増進法改正案とほぼ同じ。厚労省案も30平方メートル以下のバー・スナック以外を屋内禁煙としていたが、自民党内の反発で法案提出が先送りされている。

 都は、近年の五輪開催都市で罰則付きの喫煙規制が進んでいるとして、対策を急ぐ。10月6日まで一般からの意見を募った上で条例案を固め、来年2月の都議会に提出したいという。可決後、約1年間の周知期間を設け、施行する方針。

 都議会では、知事与党の都民ファーストの会と公明党が過半数を占め、7月の都議選で罰則付き原則屋内禁煙の条例化を公約に掲げており、可決の公算が大きい。小池百合子都知事は8日の記者会見で「受動喫煙が健康に悪影響を与えることは科学的にも明らか。屋内全面禁煙が五輪・パラリンピック開催都市の流れ」と述べた。

 この条例案とは別に、都議会では、子どもを受動喫煙から守るために喫煙者や保護者らに努力義務を課す条例案が月内に議員提案される見込みだ。

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