朝日争論 たばこ加熱式ならいいの?いけないの?「ましな代替品」 
■大島明さん「やめられない人に代替品」 (下記に引用紹介)
2017/9/14 http://digital.asahi.com/articles/ASK9C40Z8K9CUPQJ002.html?iref=comtop_8_03 

上記の記事、ちょっとおかしいのでは… 以下その指摘です。 子どもに無煙環境を推進協議会

国や都の受動喫煙防止法・条例で、タバコ会社が「加熱式タバコを規制から外せ」と叫んでいて、外国に先駆けて日本で拡販を進めている今のタイミングに、罪深い発言ですね、、 

1.タバコ会社は先ず加熱式タバコの無害を完全に証明・立証すべきです。紙巻タバコに比べて害が少ない、だけでは無害とはとうてい言えない訳で、吐き出す呼気にも神経毒等のニコチン他が含まれ、受動喫煙者にニコチン依存症や害を与えるリスクがある以上、医師たるもの、勧めるごときは許されません。 

2.「紙巻タバコの喫煙者に、相対的に害の少ない代替品として勧め得る」とは、、治療だけでなく、法や条例で受動喫煙の禁止エリアを広げていくことや、税・価格上げ、警告表示他で加熱式を含め喫煙者を減らしていくべきで、抜け道に手を差し伸べるのは間違っています。 

3.「より害の少ない製品の開発競争を促がしてもよい」とは何とも情けない… タバコ会社が大喜びする援軍なんて、、本気なのかしら? 

4.「別の道を示すのが公衆衛生だと考えます」、、とは、公衆衛生学者として失格なのでは… 


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たばこ加熱式ならいいの?いけないの?「ましな代替品」

2017年9月14日00時05分 朝日争論 http://digital.asahi.com/articles/ASK9C40Z8K9CUPQJ002.html?iref=comtop_favorite_02 

 

 「加熱式たばこ」という商品が日本でも本格的に売られ始めた。たばこ会社は「有害物質削減」をうたうが、ニコチンへの依存が続くだけだ、との指摘もある。受動喫煙対策がなかなか進まないなかで出てきた新商品をどうみればよいのか。

■大島明さん「やめられない人に代替品」

 1980年代から禁煙治療に携わってきました。紙巻きたばこから、より害の少ない「加熱式たばこ」への移行を社会的に容認し、やめたくてもやめられない喫煙者に提示していくことは十分あり得ると考えます。公衆衛生の分野には、「ハーム・リダクション(害の低減)」という考え方があるからです。

 たとえば英国では、薬物注射の回し打ちで感染症が広がった際、薬物の撲滅に固執せず、感染拡大を食い止めるために注射針の無料交換を実施しました。現実的な対応で実を取る手法です。たばこのニコチン依存症の場合、わざわざ禁煙外来を訪れた人でも、1年後の成功率は約3割。満足感が得にくいニコチンガムなどと違い、葉タバコを使い、喫煙類似動作も伴う加熱式たばこは有効な代替品になり得ます。禁煙できない人が悪いのだと突き放さず、別の道を示すのが公衆衛生だと考えます。

 業界大手のフィリップ・モリスは、加熱式たばこの蒸気は紙巻きたばこに比べて有害物質が平均9割以上、少ないと発表しています。また英国の研究者の最近の推計では、平均的ユーザーの生涯発がん確率は、紙巻きたばこよりも加熱式たばこの方が2ケタ近く小さい。まだデータは少ないですが、少なくとも紙巻きたばこより健康への害ははるかに少ないと思われます。

 周囲への害も、非常に少ないと考えられます。加熱式たばこは副流煙が出ません。使用者が吸った蒸気は呼気から漏れますが、紙巻きたばこよりはるかに害の少ない蒸気が、さらに使用者の肺を通って出るのです。非燃焼ですから、歩きたばこによるやけどはもちろん、ポイ捨てやニオイの問題も、紙巻きたばこより相当ましになると思います。ただ、紙巻きたばこが禁止されている場所では、加熱式たばこも禁止すべきです。

 「たばこ規制枠組み条約」の理念にも反しません。条約の主な規制対象は紙巻きたばこです。加熱式などの後発技術までひとくくりに拒絶せず、条約の目的やデータに基づき議論すべきです。英米では、ニコチンを含む液体を熱する電子たばこが普及し、英国の公的機関は、害が減少すると認める報告書も出しています。日本では医薬品扱いで認可されていませんが、英米同様に「たばこ」として認め、より害の少ない製品の開発競争を促してもよいと思います。

 もちろん大前提として、条約が定める受動喫煙防止対策やパッケージの警告強化、たばこ税の増税などの対策を、もっと日本は進めないといけない。議論のもとになるデータを増やすため、国が喫煙率を調べる国民健康・栄養調査に加熱式たばこも加え、使用実態や疫学的調査など公的な研究も急ぐべきです。

 念のためですが、いま吸っていない人に、これなら吸っていいと言っているのではありません。あくまでも紙巻きたばこの喫煙者に、相対的に害の少ない代替品として勧め得るということ。長年、治療の現場にいて、いかに禁煙が難しいかを痛感してきたからです。「一切のたばこや依存症、たばこ産業は悪」というイデオロギーを貫いて問題が解決すれば苦労しません。

 日本は電子たばこを事実上禁止しています。加熱式たばこの普及まで妨げたら、紙巻きたばこの温存を助けるだけです。喫煙者や周囲の人のことを考えた時、それでいいのかどうか。広く議論してもらいたいと思います。(聞き手・吉川啓一郎)

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 おおしまあきら 大阪府成人病センター(現大阪国際がんセンター)調査部長、日本禁煙推進医師歯科医師連盟会長などを務めた。

〈非燃焼加熱式たばこ〉 従来の紙巻きたばこのように、葉タバコを燃やして煙を吸うのではなく、バッテリーで電気的に加熱して葉タバコの成分を含む蒸気を吸う仕組み。火を使わず煙が出ないとされる。フィリップ・モリス・ジャパンの「アイコス」、日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの「グロー」などがある。