加熱式たばこ、増税検討 政府、紙巻きと同水準に

 

2017年9月15日03時08分 朝日 http://digital.asahi.com/articles/ASK9G5FXHK9GULFA00V.html 

 

 

 急速に普及が進む加熱式たばこについて、政府は増税する方向で検討に入った。従来の紙巻きたばこより税金が割安なため、同水準にそろえて税収の落ち込みを防ぐ。今後、与党や関係業界との協議を本格化させ、年末にまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込む方針。増税の程度によっては、商品の価格にも影響を与える可能性がある。

 加熱式たばこは、タバコの葉を加工したスティックやカプセルを専用機器に差し込んで加熱し、蒸気を吸う方式。現在、国内たばこ市場の1割超を占めるとされる。

 紙巻きの税金は1本あたり約12・24円で、一般的な1箱20本入り(440円)の場合、価格の56%にあたる約245円がたばこ税だ。これに対し、加熱式1箱の価格は420~460円と紙巻きと同水準だが、税金はフィリップ・モリスの「アイコス」が200円前後、日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」が約34円と安い。

 加熱式は税法上、「パイプたばこ」に分類され、タバコの葉などの重量に応じて税額が決まる。税額は1グラムあたり約12・24円。加熱式のたばこの重量は比較的軽いため、価格に占める税の割合は低い。

 そこで政府内では、1グラムあたりの税額を引き上げたり、小売価格に一定の税率をかけて税額を紙巻きたばことそろえたりする案を軸に検討する。自民党宮沢洋一税制調査会長は「それなりの答えを年末までに出す」としており、与党税制調査会での議論を加速させる考えだ。

 背景には、加熱式の普及に伴う税収減がある。今年4~7月のたばこ税収(国税分)は、前年同期と比べて2・6%減少した。一方、加熱式の販売競争は激化しており、増税となった場合でも、各メーカーがそのまま価格に反映させるかどうかは分からない。

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