都内84%の飲食店で禁煙、加熱式は分煙容認 都条例案

2018年6月5日13時45分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASL64745FL64UTIL06N.html  

 

 東京都は5日、独自に制定を目指す受動喫煙防止条例案を公表した。従業員を雇っている飲食店内を面積にかかわらず原則禁煙とし、受動喫煙対策を強化する政府の健康増進法改正案より規制対象が広い。都議会の一部には慎重な声があるが、条例案の趣旨には賛同する意見が多く、12日開会の都議会で成立する公算が大きくなっている。

 条例案は、目的として「受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止する」と記載。子どもが通う幼稚園や学校の敷地内は禁煙とし、屋外の喫煙所の設置も認めない。多くの人が利用する高齢者福祉施設やホテル、オフィス、従業員を雇っている飲食店内は原則屋内禁煙とするが、煙を遮断する喫煙専用室(飲食不可)の設置は認める。屋内禁煙となる飲食店は、都内の84%に上る。従業員を雇っていない飲食店は屋内喫煙可にできる。

 加熱式たばこは健康被害が明らかになっていないとして、罰則を適用しない。また、加熱式たばこ専用の喫煙室も認めたうえで、飲食もできるよう骨子案から緩和した。

 都議会では自民の都議などに「小規模飲食店などへの配慮が欠けている」という主張があるが、受動喫煙対策強化そのものには賛同する声が多い。小池百合子都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」などは賛成する方針だ。

 都は6月議会で成立すれば、年内から段階的に施行し、2020年4月に罰則(5万円以下の過料)の適用など全面施行をする。飲食店に対し喫煙専用室の設置費用を助成する方針だ。

 小池知事は19年ラグビーW杯や20年東京五輪パラリンピックを前に対策を強めたい考えで、「独自の新しいルールを設け、働く人や子どもを受動喫煙から守る」と訴えている。

 政府の法改正案では、飲食店は、客席面積100平方メートル以下、資本金が5千万円以下の中小企業が経営する既存の店を除いて屋内禁煙とするもので、対象は全体の45%となる。

東京都受動喫煙防止条例案のポイント    概要

・幼稚園、保育所、小中学校、高校は敷地内禁煙(屋外喫煙場所も設置不可)

・病院、行政機関などは屋外喫煙場所を設置可

・高齢者福祉施設、運動施設、ホテル、従業員を雇っている飲食店は原則屋内禁煙(喫煙専用室は設置可)

・従業員を雇っていない飲食店は店内喫煙可

・違反者には罰則(5万円以下の過料)あり

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