受動喫煙ノー、条例求め岡山で大会 健康被害データ紹介

2019年5月25日11時11分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASM5S3J2RM5SPPZB003.html

 

 たばこの煙が周囲の人に危害を加える「受動喫煙」を防ぐ条例制定を求める「受動喫煙防止大会 in OKAYAMA」が23日夜、岡山市民会館(北区)で開かれた。県医師会の受動喫煙防止推進協議会が主催し、医療関係者や一般市民ら約1千人が参加。「岡山の空気はきれい」を合言葉に、県条例制定と県内の喫煙率低下を目指す決議をした。

 来夏の東京オリンピックパラリンピックに向け、国際オリンピック委員会世界保健機関が求める「たばこのない五輪」実現のため、国は2018年7月に健康増進法を改正。事務所や飲食店など多くの人が集まる施設を原則屋内禁煙とし、加熱式たばこも規制対象に含めるなど受動喫煙対策を強化した。県医師会によると、受動喫煙防止条例を制定する自治体は、東京や神奈川、大阪、山口など7都府県にのぼる。

 県医師会の松山正春会長は開会のあいさつで「たばこは嗜好(しこう)品だと考える人もいるが、受動喫煙による他者への害がある。東京2020に向け、晴れの国・岡山も、子どもや妊婦を含め誰もが望まない危険にさらされないよう受動喫煙をなくしていく」と語った。

 岡山済生会総合病院内科の川井治之がん化学療法センター長は、受動喫煙がとりわけ子どもの健康に大きな害をもたらすことをデータで紹介。「換気扇の下で吸っても、窓を閉めたベランダで吸っても被害は起きる」と強調した。

 肺がん患者の会「ライオンハート岡山」の田中勇代表(57)は、9年前に自身の喫煙が原因で肺がんを発症。以来、禁煙しているが「たばこの煙や臭いを感じると、刃物を刺されるような激しい恐怖を感じる。公共の場でたばこを心配しなくていい岡山を作って欲しい」と訴えた。

 浅口市食物アレルギーサークル「ハッピースマイル」やおかやま山陽高生徒会、さくらんぼ保育園(新見市)はビデオメッセージを寄せ、それぞれ条例の早期制定を求めた。学校で受動喫煙の害などを学んでいる岡山市立操南中学の生徒会は「私たち中学生もたくさんの気持ちをもって、もっと生きやすい岡山にしたいと考えています」と、子どもの立場から条例を求める気持ちをつづった手書きの手紙を届けた。

 県の成人喫煙率は16年度現在で16・7%。県は22年度までに12%以下にする目標を掲げている。県医師会によると条例制定を求める署名は23日現在、約2万人分集まった。署名者のうち未成年者は667人、妊婦135人、授乳中などの人が730人いるという。