禁煙求め住民監査請求 10日、道議会新庁舎巡り

2019/07/08 05:00 北海道新聞 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/322958/

 

 来年1月完成予定の新しい道議会庁舎(札幌市中央区)への喫煙所設置を巡る問題で、日本禁煙学会北海道支部の松崎道幸支部長=旭川市=が庁舎の完全禁煙を実施するよう鈴木直道知事に求める住民監査請求を行うことが分かった。請求は10日に行う予定。請求書面で「喫煙所の設置は道民の健康増進を損ない、道財政に損失をもたらす」と厳しく非難している。

 請求書面によると、新庁舎への喫煙所の設置は「望まない受動喫煙を防止する」という健康増進法の趣旨に反し、道議会の権威をおとしめる―と指摘。さらに「換気系統設備の追加や設計変更に相当の経費が必要となる。喫煙所設置は無駄遣いだ」と訴え、知事の主導的な判断を求めた。

 日本禁煙学会北海道支部など4団体は6月19日、村田憲俊議長と全5会派宛てに、喫煙所を設置しないよう求める申し入れ書を提出した。しかし、最大会派の自民党・道民会議(53人)は今月1日の議員総会で、会派控室に議員用の喫煙所を設けることを決定。民主・道民連合(27人)は対応を検討中で、他の3会派は敷地内全面禁煙を主張している。

 知事はこの問題に関して、記者会見で「法令等に基づいて議会で適切に対処されるものと考えている」と述べるにとどめている。

 改正健康増進法で、行政機関は7月から全面禁煙となったが、道議会庁舎は議決機関だとして対象外。松崎氏は呼吸器内科医で道北勤医協旭川北医院院長を務めている。(竹中達哉)

<ことば>住民監査請求 地方自治法に基づき、地方自治体の公金支出や財産処理などに違法性や不当性があった場合に、住民が監査委員に対して行為の禁止や是正などを求めることができる制度。監査委員は請求があった日から60日以内に監査し、結果を公表しなければならない。訴えが認められれば、監査委員は首長らに勧告する。請求人は監査結果に不服があれば、住民訴訟を起こすことができる。