加熱式たばこIQOSの販売、米FDA諮問委は否定的 業界に打撃

たばこより健康被害少ないと宣伝することを認めない方向

2018 年 1 月 26 日 12:56 JST 更新 http://jp.wsj.com/articles/SB12681989539525134277904584005653966524052
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/%E5%8A%A0%E7%86%B1%E5%BC%8F%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93iqos%E3%81%AE%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E3%80%81%E7%B1%B3fda%E8%AB%AE%E5%95%8F%E5%A7%94%E3%81%AF%E5%90%A6%E5%AE%9A%E7%9A%84/ar-AAvbskO#page=2

 

 米食品医薬品局(FDA)のたばこ製品科学的諮問委員会は25日、加熱式たばこが従来の紙巻きたばこに比べ、たばこ関連の疾病リスクを低減できる十分な証拠は得られなかったと指摘した。加熱式たばこで巻き返しを図りたいたばこ業界には打撃となった。

 たばこ大手 フィリップモリス ・インターナショナルは「たばこより害の少ない製品」として加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の米国での販売許可を求めていた。

 専門家からなる委員会は2日間の協議を行い、さまざまな項目に分けて採決した。焦点となったのは、たばこからアイコスに切り換えることで、たばこに関連するがんなどの疾病リスクを減らし、公衆衛生に良い影響があることをフィリップモリスが証明できたかどうかだ。

 採決の結果、同委員会は圧倒的多数で、たばこからアイコスに完全に切り換えた場合、疾病リスクを減らせるとする同社の主張を退けた。たばこを吸い続けるのに比べ、アイコスのほうが健康被害のリスクが少ないという主張についても反対票が上回った。

 FDAはこの結果を参考に、フィリップモリスの米国でのパートナーであるたばこ・食品大手アルトリア・グループが米国でアイコスを売り出し、従来のたばこを吸うより安全な製品だと主張することを認めるかどうか判断する。FDAは必ずしも諮問委員会の見解に従う必要はないが、それに沿った判断を下すことが多い。

 身体が有害化学物質にさらされる機会が大幅に低減するとの主張は、9人いる委員の大多数が認めた。証券会社パイパー・ジェフリーのアナリスト、マイケル・レイバリー氏はこの結果から、FDAがアイコスをたばこに比べて安全な製品として販売することを承認する「可能性はある」との見方を示した。

 ただ、米国の喫煙者が完全にアイコスに切り換える見込みについては7人の委員が「低い」と答え、「中程度」は2人にとどまった。「高い」とした委員はゼロだった。

 米国の喫煙者がアイコスと通常のたばこを長期的に併用するのかと質問すると、意見が分かれた。その見込みが「高い」としたのは3人で、「中程度」が5人、「低い」が1人だった。

 この結果を受け、フィリップモリスの株価は2.8%下落。アルトリア株は2.3%安。

 喫煙未経験者(特に若者)がアイコスを愛用する見込みについては、4人が「低い」、2人が「高い」、1人が「中程度」と答え、2人が棄権した。

 元喫煙者がアイコスに関心をもつ見込みについては、9人全員が「低い」とした。

 フィリップモリスの提示の仕方は、消費者がアイコスのラベルや広告などの情報を見聞きした後、アイコス使用によるリスクを正確に理解できるものかとの質問に対し、9人の委員全員が「ノー」と答えた。

 アイコスはすでに29カ国で販売中。多くはアップルストアのような専門店で取り扱っている。