受動喫煙

禁煙の適用除外「客席面積100平方m以下」へ

毎日新聞

 

 厚生労働省が検討している飲食店の受動喫煙対策で、原則禁煙の適用除外とする店の規模は「客席面積100平方メートル以下」を基準とする見通しになった。当初の想定は「店舗全体で150平方メートル以下」だった。実質的に大きな差はないとみられるが、厚労省内には「100平方メートルの方が小さく見える」との皮算用もあるようだ。

 厚労省は1月末に公表した新たな受動喫煙対策で、適用除外の基準は示さなかった。関係者によると、加藤勝信厚労相が検討していたのは、(1)既存店(2)店舗面積150平方メートル以下(3)個人経営か資本金5000万円以下--の条件を満たす店舗のみ。(2)は自民党が昨年5月、当時は「30平方メートル以下」を掲げていた厚労省への対案として出した基準だ。

 これに対し、飲食店や旅館、理・美容店などで作る「全国生活衛生同業組合中央会」が、面積基準を「客席100平方メートル以下」に変えるよう、厚労省や国会に働き掛けた。同会には喫茶店からレストランまで幅広い飲食店が加入する。料亭や専門料理店は調理場を広く取らねばならず「客席だけで測った方が不公平にならない」(伊東明彦事務局長)という理屈だ。

 また、東京都が昨年実施した飲食店調査では「店舗150平方メートル以下」が85.9%、「客席100平方メートル以下」が86.8%だった。後者の方が、わずかでも適用除外が増えるとの目算もある。

 一方、厚労省関係者は「150平方メートルは『客席100平方メートル+調理場50平方メートル』で計算しており、どちらもほぼ同じ」と受け止めるが、幹部の一人は「適用除外が小さく見えるようにしたい」と漏らす。1月の厚労省案は、国際水準から程遠いとの批判を浴びている。実質は同じでも、印象は「150」より「100」の方が良く、業界側の要望は渡りに船、という思惑が透ける。

 ただし、客席面積は店内レイアウト次第で簡単に増減でき、事務方からは「線引きが難しくなる」との声も漏れる。面積で見れば、都内では9割近い飲食店が除外対象になることも変わりなく「規制が骨抜き」との批判は続きそうだ。