健康増進法改正案

成立へ パチンコ店、戦々恐々 「禁煙なら行かない」との声も

毎日新聞

 

喫        喫煙者も利用する施設は
      健康増進法改正でこうなる

 受動喫煙被害を防ぐ健康増進法改正案が15日、衆院厚生労働委員会で自民、公明、国民民主党の賛成多数で可決され、今国会で成立する見込みになった。適用除外になる飲食店が多いため「緩すぎる」との批判も強い同法案だが、飲食以外のサービス業の店は原則禁煙になる。パチンコ店など喫煙者が比較的多い店舗は、客離れに戦々恐々としつつ、対策を急いでいる。

 同法案は、これまで努力義務にとどまっていた公共の場での禁煙を初めて罰則付きで義務付ける内容。学校や病院、行政機関は敷地内、多数の人が使う施設や店舗は「喫煙専用室」以外の屋内喫煙が原則禁じられる。

 法案を作る過程では飲食店への規制が焦点になり、最終的に客席面積が100平方メートル以下で資本金5000万円以下の既存店は掲示すれば当面は喫煙可とすることで決着した。厚生労働省の試算では55%の店が対象外となり、より規制が厳しく8割以上が対象になるとされる東京都の受動喫煙防止条例案と比べ「実効性に乏しい」との指摘もある。

 ただ、国も都も、飲食店以外の店舗を一律原則禁煙としている点は同じだ。全国のパチンコ店や機器メーカーでつくる日本遊技関連事業協会の調査によると、パチンコ店の来店客のうち、49%が紙巻きたばこ、9%が加熱式たばこを「吸う」と回答。店内禁煙になった場合、29%は「行く回数が減る」、9%は「行かなくなる」と答えており、法改正が死活問題になりかねない。

 玉の音が鳴り響く千葉市稲毛区のパチンコ店「マルハン千葉北店」。たばこをくわえた男性客(62)は「禁煙になったらいちいち喫煙所に行くのは面倒で、イライラすると思う」と肩を落とす。逆に「たばこは嫌いだが、マスクをつけて我慢している。早く全館禁煙になってほしい」と法改正を歓迎する男性客(68)もいる。

 マルハンはたばこが嫌いな客を取り込もうと3店舗を全館禁煙にし、加熱式たばこのみ喫煙可能な店も開いた。広報担当の社員は「喫煙客が多いので法改正で客離れが起きる可能性があるが、対応するしかない」と話す。

 影響は学生街にも広がる。東京・高田馬場にあるマージャン店は、たばこを吸う大学生らでごった返す。男性店長(33)は「客が逃げる不安はあるが、最近は禁煙の店も増えているし、業界全体でマージャンにクリーンな印象を持たせようと努力している。法改正はいい機会だ」と受け止めている。