受動喫煙対策

五輪会場自治体の4分の1が独自条例検討

毎日新聞

 

 2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場がある自治体の受動喫煙対策を毎日新聞が調査したところ、4分の1に当たる8自治体が独自条例の制定や改正を検討していることが判明した。6月に東京都の受動喫煙防止条例、7月に国の改正健康増進法が成立したが、渋谷区と調布市ではさらに規制を強める動きがあり、実現すれば「3階建て」の対策になる。国の対策は「不十分」との指摘も相次いだ。

 全43会場を持つ自治体のうち、東京都を除く8道県と25市区町の計33自治体にアンケートした。受動喫煙対策強化の条例は8自治体が「検討する」と答えた。

 20年4月に全面施行される改正法と都条例は、いずれも公共の場での屋内禁煙を罰則付きで義務付けるが、改正法では最大55%、都条例でも2割近くの飲食店は規制対象外になる。このため繁華街を抱える渋谷区の担当者は「対象外の店舗も多く、実効性確保に課題が残る」と懸念する。調布市も「喫煙可の範囲が広く不十分」として、全面禁煙の飲食店の公表や会場周辺の屋外禁煙などの独自策を進める方針という。

 千葉市は都条例とほぼ同様に、従業員がいる飲食店は面積に関わらず原則屋内禁煙とする条例案を9月議会に提出予定。静岡県も保育施設や学校では屋外の喫煙室設置も認めない「敷地内全面禁煙」を盛り込む条例案の準備を進めている。国と都に先行して条例を設けたものの罰則適用が一度もない神奈川県は、都条例も参考に「対策強化を含めた検討をする」とした。

 また、自転車ロードレースのゴール地点の静岡県小山町の担当者は、ルート上での屋外喫煙規制も視野に入れる考えを示し、同県伊豆市は「改正法の規制には限界があり、県の動向を踏まえながら検討する」と答えた。北海道は、議員提案による条例制定の議論が進んでいると回答した。

 一方、国の対策については8自治体が「不十分」と指摘。「飲食店はすべて屋内禁煙とすべきだ」(神奈川県藤沢市)など、見直しを求める声が相次いだ。