日本禁煙友愛会が解散を発表

2019年7月10日 6時00分  長野日報 http://www.nagano-np.co.jp/articles/50210

 

一般社団法人日本禁煙友愛会(本部伊那市)は9日、来年3月31日で解散することを正式に発表した。最盛期には4万5000人いた会員は2018年度末現在で約2600人に激減。近い将来組織の維持が困難になることを見越し、体力のあるうちに清算手続きに入る道を選んだ。禁煙思想の普及と友愛活動で成果を上げてきた同会だが、惜しまれつつ64年の歴史に幕を下ろす。

自己資金で運営してきた同会は、会費と旅行業の収益で事業を行ってきた。会員減は会費収入のほか、旅行収入にも影響を及ぼしていた。会見で林宗吉副会長(70)は「もう数年すると会の運営がきつくなることを見越して、解散を決めた」と説明した。

同会によると、来年3月に解散総会を行い、改めて解散を決議する。解散後、清算手続きに入る予定で、定款により、残余金は本部所在地の伊那市に寄付するとした。

同会は1955年8月、同市の故小坂精尊さんら10人で禁煙友愛運動を呼び掛ける任意団体を設立したのが始まり。74年10月に社団法人禁煙友愛会、93年4月に現在の名称に改め、活動した。99年5月には世界保健機関(WHO)から表彰されるなど、禁煙思想の普及と健康と福祉に寄与する活動は各方面から評価を受けてきた。清水篤志会長(75)は「禁煙会としての活動は有意義だった」と振り返った。

 

禁煙憲章の碑を見つめる清水さん(左)と林さん 禁煙憲章の碑を見つめる清水さん(左)と林さん

健康への意識 社会にもっと 伊那に本部「日本禁煙友愛会」解散に思い新た

2019/7月10日 信毎web https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190710/KT190709FTI090019000.php

 
 禁煙の呼び掛けや社会貢献に64年にわたって取り組んできた日本禁煙友愛会(本部・伊那市)が9日、伊那市で常務理事会を開き、会員の減少と高齢化を受けて、来年3月末に解散することを正式に決めた。ベテラン会員たちはこれまでの活動に思いをはせ、健康づくりの意識が社会にさらに広がることを願った。


 「ある程度の役割は果たせたかな」。常務理事で20年以上活動してきた中島重治さん(87)=上伊那郡南箕輪村=は、1日に改正健康増進法が一部施行され、受動喫煙防止の流れが広まる動きに手応えがある。20歳から30年余り1日1箱吸っていたが、体調を崩して入院。以来、会員になって自身の経験を基に禁煙を訴えてきた。ボランティアで道路清掃をすると、まだたばこの吸い殻をよく目にする。「今後も禁煙を呼び掛けていきたい」と話した。

 たばこをやめて浮いた金を社会福祉に―と、同会は1955(昭和30)年に有志10人で生まれた。副会長の林宗吉さん(70)=飯田市龍江=は、70年に飯田市で龍峡支部を立ち上げた父の宗重さんと親子2代で活動してきた。やはり、身の回りから喫煙者が目に見えて減ってきたことに、「活動には一定の成果があった」と語る。ただ、長い歴史に幕を下ろすことには「先輩方に申し訳ない」と複雑な思いもこぼれた。

 〈禁煙で次代を担う若人と手を取り合って進みます〉

 伊那市内にある同会の禁煙憲章を刻んだ石碑には、そんな言葉がある。この日、石碑を仰いだ清水篤志会長(75)=南箕輪村=は「会員の地道な努力が今の社会につながっている。解散しても、私たちの思いは続いていきます」と話していた。