厚労相 建物内で原則禁煙の法案 基準緩和に慎重な考え

 

塩崎厚生労働大臣は、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案をめぐり、自民党が厚生労働省のたたき台の規制基準の緩和などを求める方針であることについて、望まない受動喫煙をなくすには大きな課題があるとして、慎重な考えを示しました。

厚生労働省が今の国会への提出を目指す、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案をめぐって、自民党は党内に賛否両論があることから、厚生労働省のたたき台の規制基準を緩和する一方、喫煙を認める店には喫煙可能や、分煙などの表示を義務づけることなどを厚生労働省に求めていく方針です。

これについて、塩崎厚生労働大臣は閣議のあと、記者団に対し、「これまでの議論が整理、確認され、関係者のご尽力に感謝したい。論点がかなり絞られ、明確になった。今の国会への法案提出については全く同じ方向を向いている」と評価しました。

一方で、塩崎大臣は「飲食店の従業員や、学生アルバイトなどが煙にさらされることへの対応をどうするのか。オリンピック開催国で一貫してきた、受動喫煙被害がない『たばこフリー』という長い伝統を破ることをどう考えるのか、いくつかの大きな課題が指摘されてきている」と述べ、規制基準の緩和に慎重な考えを示しました。

官房長官「党との議論踏まえ法案を」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策は、厚生労働大臣が中心となって党と調整していくものと考えており、効果的な対策を講ずべく早期の法案提出に向けて全力で対応していくと思う。塩崎厚生労働大臣は受動喫煙問題に非常に熱心に取り組んでおり、党との議論を踏まえ、しっかりと調整して法案をまとめてほしい」と述べました。

自民 政調会長「政府は責任ある対応を」

自民党の茂木政務調査会長は党の政務調査会の会合で、「きのう、焦点となっている居酒屋などの飲食店の取り扱いについて、党として、立場の違いを乗り越えて、大局的な判断で合意を見いだし、受動喫煙防止への環境整備をすることができた。受動喫煙防止に向けた大きな一歩を踏み出せるように、法案を提出する政府側には責任ある対応を期待したい」と述べました。