都が受動喫煙防止条例案 どんな影響? 
飲食店8割 規制対象/違反、過料5万円以下

2018/6/6付 日経 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3139267005062018L71000/ 

 

 東京都は5日、都議会に提出する受動喫煙防止条例案を発表した。東京五輪を開く2020年までに段階的に施行する予定だ。条例が施行されると、どんな影響を受けるのかをまとめた。

  飲食店で喫煙はできなくなるのか。

  従業員を雇っている飲食店は原則屋内禁煙になる。基本的に店内でたばこを吸ってはいけないが、煙を完全に遮断したブースの中なら喫煙できる。ただブース内で飲食はできない。都内の飲食店の8割強が規制の対象になる見通しだ。

  従業員のいない飲食店は。

  経営者が禁煙、喫煙のどちらにするか選ぶことができるので、店により対応が異なる場合がある。店は喫煙可能かどうか、ステッカーなどで示さなければならない。

  病院など飲食店以外の施設は規制対象になるのか。

  小中高校や保育所、幼稚園は「敷地内禁煙」とし、屋外の喫煙場所の設置も認めない厳しい内容にした。大学や病院、行政機関も「敷地内禁煙」では同じだが、屋外の喫煙場所は設置可能としている。

  違反したら罰則はあるのか。

  違反者には5万円以下の過料が適用される。喫煙してはならない場所で喫煙を続け、注意しても聞かない場合は店が保健所に通報し、駆けつけた職員が行政指導する。指導しても改善がなければ罰則が適用される。5万円以下の過料は地方自治法の限度額という。規制がどこまで実効性を伴うのかが課題になりそうだ。

  火を使わない加熱式たばこの扱いは。

  加熱式たばこの規制基準は国の受動喫煙対策の法案に合わせ、飲食店が専用室を設ければ喫煙も飲食もできるようにする。健康に与える影響が科学的に明らかでないため、加熱式たばこについては行政処分や罰則は適用しない。

 ただ、国の法案は加熱式たばこを罰則の対象とし、違反者には最大30万円の過料を科す。法律が施行されると行政指導や罰則が適用されるが、条例の施行が先なら当面、努力義務の扱いになる。

  政府が国会に提出している健康増進法改正案と条例案との関係は。

  都の条例案は基本的に国の法案に規制を上乗せした形になる。健康増進法は全国に適用されるが、都は「煙のない五輪」の開催都市として、国よりも規制を強める。たとえば国の法案も飲食店は「原則屋内禁煙」だが、客席面積100平方メートル以下は店内で喫煙が可能。全国の飲食店の55%が規制の対象外となる計算だ。