神奈川県、受動喫煙防止条例を改正へ 加熱式も規制

2019/6/18 23:55 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46259250Y9A610C1L82000/

 

神奈川県は2019年中をメドに、09年に制定した受動喫煙防止条例を改正する。国の改正健康増進法では規制が弱い火を使わない「加熱式たばこ」を紙巻きたばこ同様に規制する。店舗や施設への立ち入り調査などにも乗り出す。東京五輪・パラリンピックに伴う訪日客の増加を視野に、県議会や検討会での議論を経て、20年4月の施行を目指す。

「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」の改正に向け、6月末をメドに方向性を県議会に示し、今夏に素案をまとめる。火を使わず煙の少ない加熱式や電子たばこなど新たな商品が普及し、五輪開催時には訪日客による路上喫煙の増加が懸念されるため、五輪前に規制を周知・徹底する狙いだ。

改正後の条例では(1)加熱式たばこを紙たばこと同様に規制する(2)未成年の喫煙区域立ち入りに罰則を適用する(3)禁煙表示を義務化する――が3本柱となる。現行条例の規定のうち飲食店に分煙を認めるなどの内容は、国が20年4月に施行する改正法で禁止されるなどしており、条例から削除する方針だ。

改正後は、商業施設や飲食店などへの指導強化も検討する。これまでは通報を受けた施設・店舗に対しては、口頭での指導にとどまっていた。今後は立ち入り調査で過料処分も視野に、対象店舗への具体的な是正を求めていく。09年の条例制定を主導した前知事の松沢成文参院議員は現行条例について「罰則の適用がなく不十分だった。実効性のある条例にすることが大切だ」と指摘する。

神奈川県は全国初の試みとして、09年に受動喫煙防止条例を制定した。ただ、その後、東京都や千葉市が国を上回る規制を盛り込んだ条例を相次ぎ制定した。県は「先頭を走っていたのに、いつのまにか一番後ろを走っている」(健康増進課)。

国内ではファミリーレストラン国内最大手のすかいらーくグループが9月に全面禁煙に踏み切る。サイゼリヤは6月に完全禁煙となり、居酒屋の串カツ田中も禁煙店を導入した。神奈川県でもニューオータニイン横浜プレミアムが09年の開業時から禁煙にし、横浜市は20年に移転・開業する新庁舎の受動喫煙防止を検討する。五輪などで訪日客が増加することもにらみ、条例で対応を促す狙いだ。