骨抜き禁煙に批判噴出 飲食店の規制後退、学校・病院に喫煙場所設置可…

2018.6.8 22:35 産経 https://www.sankei.com/politics/news/180608/plt1806080034-n1.html  pdf

 

 ■自民内からも「採決できぬ」

 8日に衆院本会議で審議入りした、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案は、厚生労働省が昨年3月に発表した原案に比べ大幅に後退した内容となり、野党は反発を強めている。与党は今国会での成立を目指しているが、審議は紛糾する可能性がある。
 加藤勝信厚労相は提案理由説明で「東京五輪・パラリンピックを契機として健康増進を図るには、受動喫煙対策を強化していくことが必要だ」と述べた。だが、規制の後退は厚労相が規制推進派の塩崎恭久氏から、調整型の加藤氏に代わったことが大きい。
 後退したのは喫煙を例外的に認めた飲食店だけではない。原案では例外を設けず「敷地内禁煙」としていた小中高校や医療施設もだ。改正案では学校や病院、児童福祉施設などは「敷地内禁煙」としながらも「屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置できる」とした。
 「骨抜き」になったことで立憲民主党の長妻昭政調会長は記者団に「緩すぎる法案だ」と批判。国民民主党の泉健太国対委員長は記者会見で「今の時代に対応した対案を検討している」と独自案の提出に含みをもたせた。
 不満は自民党内からも出ている。子宮頸がんを経験した三原じゅん子参院議員は「修正を求めたい。このままでは採決に応じられない」と語った。
 対案と政府案の対決になるのか、修正協議になるのか、先行きは見通せない。加えて、改正法案の成立には国会会期(6月20日まで)の延長が不可欠だ。
 改正案について、与党は来週、衆院厚労委員会で2日程度審議した上で衆院を通過させ、参院に送付したい考えだ。参院では働き方改革関連法案の審議が会期末間際まで続く見通しで、健康増進法改正案の審議はその後になる。
 窮屈な日程となるため与党内では一時、改正案を秋の臨時国会に先送りすることも検討された。だが、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案を成立させるため、会期の延長を視野に改正案の成立も合わせて目指す方針
に転換した。