企業の22.1%が「全面禁煙」実施、「完全分煙」も5割超

2017/10/16(月) 18:44配信 帝国データバンク https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171016-00010001-teikokudb-ind&p  

 

2005年2月に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効して以降、政府や自治体のほか、企業などにおいても受動喫煙防止対策の取り組みが拡大してきた。また、厚生労働省は喫煙に関して一層の規制強化を立案している一方、緩やかな規制にとどめるべきなどの反対意見も出ている。

そこで、帝国データバンクは、企業における喫煙などに関する見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2017年9月調査とともに行った。

※調査期間は2017年9月15日~30日、調査対象は全国2万3,341社で、有効回答企業数は1万212社(回答率43.8%)。

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果

1.自社の本社事業所もしくは主要事業所内の喫煙状況について、適切な換気がされている喫煙場所がある、または屋外に喫煙場所を設けている「完全分煙」が56.2%で最も高い割合となった。社内での喫煙を不可とする「全面禁煙」は22.1%と企業の5社に1社が実施。以下、「不完全分煙」(10.0%)、「特に喫煙制限は設けていない」(7.3%)、「時間制分煙」(3.4%)が続いた

2.本社事業所もしくは主要事業所において、何らかの喫煙制限を設けたことによる影響について、「職場内がきれいになった」と考える企業が61.2%で突出して高い。次いで、「安全面が向上した(火事のリスク低減など)」(34.3%)、「喫煙者と非喫煙者の公平性が向上した(業務中のたばこ休憩など)」(22.7%)、「業務の改善・効率化につながった」(11.5%)が上位にあがった

3.今後、法令等により職場や店舗などを含む公共施設の全面禁煙が実施された場合について、自社の業績に「影響はない」とする企業が69.3%で最も高かった。「プラスの影響がある」(8.0%)や「マイナスの影響がある」(7.9%)はいずれも1割弱となった

4.業種別にみると、「プラスの影響がある」のは、「教育サービス」「繊維・繊維製品・服飾品製造」「電気・ガス・水道・熱供給」「人材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」などが高い。「マイナスの影響がある」では、「飲食店」が47.6%と半数近くに上ったほか、「娯楽サービス」「旅館・ホテル」「各種商品小売」「飲食料品小売」など、個人向けの『サービス』や『小売』が上位となった

全面禁煙実施、「飲食店」の47.6%が自社業績にマイナスの影響

喫煙に関する議論は、医療費の削減や東京五輪などを背景に、厚生労働省や地方自治体において受動喫煙に対する規制強化が立案される一方、緩やかな規制にとどめるような意見も出ている。

本調査では、本社事業所や主要事業所において、企業の5社に1社がすでに「全面禁煙」を実施していることが判明した。また、企業の56.2%が「完全分煙」を実施しているなど、企業の9割超で何らかの喫煙制限を行っていた。さらに、喫煙制限の実施による影響では、「職場内がきれいになった」ことを挙げる企業が多いほか、火事のリスク低減など「安全面の向上」や、業務中のたばこ休憩などに関して「喫煙者と非喫煙者の公平性向上」が指摘された。また、法律や条例などにより職場や店舗などを含む公共施設の全面禁煙が実施された場合、自社の業績に「影響はない」とする企業が約7割となった。しかし、飲食店では半数近くの企業が全面禁煙による業績悪化を懸念している。

他方、海外の導入事例では全面禁煙による業績への影響は確認できないという見方もあるほか、企業からも「ファストフードでは家族連れが多く、完全禁煙を望む意見が多い」(一般飲食店、北海道)といった意見もみられるなど、喫煙に関してさまざまな議論が展開されている。

国や地方自治体などにおいて、企業における喫煙に関する取り組みが加速するなか、法令等による規制強化が企業業績に与える影響の検証など、エビデンスに基づく政策立案が求められよう。

企業の22.1%が「全面禁煙」実施、「完全分煙」も5割超http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p171005.pdf 

法令等による全面禁煙実施が自社業績に与える影響

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【関連参考資料】

※平成28年労働安全衛生調査(実態調査)では、「事業所の建物内全体(執務室、会議室、食堂、休憩室、商談室等含む)を禁煙とし、屋外のみ喫煙可能としている」が39.3%、「屋外を含めた事業所敷地内全体を禁煙にしている」が14.0%で、53.3%が事務所建物内を全面禁煙としています。また職場で受動喫煙があるとする労働者の割合は、34.7%となっています。(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h28-46-50.html