2007年(平成19年)11月16日

 

JR西日本 御中

JR東海 御中

 

NPO法人京都禁煙推進研究会 理事長 田中善紹

NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会 会長 若林 明

たばこれす 代表 春本常雄

兵庫喫煙問題研究会 会長 大島秀夫

たばこ問題を考える会和歌山 代表 笠原悌二朗

 

JR西日本と東海が進めているN700系車両の全面禁煙と、

従来の新幹線車両と在来特急・プラットホームの全面禁煙のお願い

 

謹啓

本会は禁煙環境の拡大や禁煙推進に取り組んでいる団体で、同封の啓発ポスターやカレンダーも制作しています。今回、以下の2点を要望させていただきますので、ご高配をよろしくお願い申しあげます。

(A)JR西日本と東海が進めているN700系車両の全面禁煙について

(B)従来の新幹線車両と在来特急・プラットホームの全面禁煙について

 

 

(A)JR西日本と東海が進めているN700系車両の全面禁煙について

 

1.JR西日本と東海は、東海道・山陽新幹線を全面禁煙化する代わりに、将来の主力になるN700系車両の3、7、10、15号車に喫煙ルームを設置しておりますが、喫煙ルームへの人の出入りと拡散によって、タバコ煙が客室内に漏れ、この4両が喫煙車並にタバコ汚染されていることが報告されております。

種々の研究によって実証されている通り、喫煙車からのタバコ煙の流出によってその両隣の車両が禁煙車であっても、実質上喫煙車と同様タバコ煙汚染されてしまいます。従って、N700系車両では本当の禁煙車はわずか4両しかないことになり、現在主流の700系車両(名目上の禁煙車は12両、本当の禁煙車は7両) に比べて改善どころかむしろ改悪になっております。

http://tenji.med.uoeh-u.ac.jp/smoke/documents/0710PublicHealth-JR_000.ppt

また、喫煙ルームを設置すると、喫煙者の吐出煙による受動喫煙、及び車両排気によるプラットホームでの受動喫煙が防げません

 

2.本年6月にタイのバンコックで行われたFCTC(タバコ規制枠組み条約)のCOP2(第2回締約国会議)で日本も含め満場一致で採択された第8条(受動喫煙防止)のガイドラインがあります。このガイドラインによれば第22項で「報酬を得るために一般市民を運ぶすべての乗り物を含む」とあり、当然のことながらJR東海・西日本の車両はすべて受動喫煙を防止する策を取らねばなりません。

そして、第25項に「受動喫煙には安全レベルはない」、また第一回FCTC締約国会議で承認されたように、「換気、空気清浄装置、喫煙区域の限定などの工学的対策は、受動喫煙防止対策にならない」とあります。

 またこの措置は罰則を伴う必要があるとしています。

 

3.海外の鉄道禁煙事情ですが、既に全面禁煙となっているアメリカ・カナダ・イギリス・フランス・スイス・イタリア・スペイン・オーストラリア・ニュージーランド・韓国・台湾・タイに加え、この9月1日よりドイツ国内が車両全面禁煙となりさらに駅構内やホームの喫煙ゾーンまで廃止される計画が進んでいます。国際航空機ですら、全面禁煙となっていて、トラブルは特にはないのですから、それよりも乗車時間の短い新幹線で全面禁煙が出来ないはずはありません。まして日本を代表する新幹線だけが諸外国に比べ、タバコ臭いことで良いのでしょうか。

 

4.このように厳しく法律を定めなければならないとしている理由は、一言で言えばFCTC第8条1項にあるように、締約国は、「タバコの煙にさらされることが死亡、疾病および障害を引き起こすことが科学的証拠により、明白に証明されていることを認識する」ことにあります。発癌物質は粉塵や臭いなどが無いところへも拡がるのです。多くの発癌物質は無色・無臭です。たとえば、平地で一人の人が吸うと、半径4メートルの範囲に臭いなどが拡がります。しかしながら、じつに半径7メートルの空間まで発癌物質が拡がるのです。そして誰よりも職員の多くが受動喫煙の害を受けるのです。

また煙が漏れるだけではなく、喫煙者の呼吸に伴う吐出煙により、他の客はもちろんのこと、乗務員の受動喫煙危害もおこることから、許されないことです。

 

5.多大な資金導入によって「喫煙ルーム」を作っても結果的に「無駄」となるでしょうから、今の内に「喫煙ルーム」導入は撤退・中止とすべきです。

http://jr-central.co.jp/news.nsf/news/2007926-11326/$FILE/n700.pdf

また、今後はこのような喫煙室を作ることで、知っているにもかかわらず防止対策をやらなかったという不作為をめぐって多くの裁判が争われることでしょう。

 

6.全面禁煙は、出来れば禁煙したいと願っている多くの喫煙者の禁煙を促す副次効果もあり、これは日本政府の禁煙推進施策にも合致することで、公共の利益のあることです。

さらに時代に逆行するこの「喫煙ルーム」導入拡大は、航空機との競争が一因とされていますが、乗客の健康と安全・安心を無視した営利一辺倒の方針は指弾されるべきです。むしろこのように危険な新幹線であれば、航空機に乗り換える人も出るでしょう。

 

 

(B)従来の新幹線車両と在来特急・プラットホームの全面禁煙について

 

7.従来の新幹線車両と在来線特急の全面禁煙、及びプラットホームの全面禁煙を早急にお願いします。

(1)従来の新幹線車両と在来線特急の全面禁煙をお願いします。

・専用喫煙室は、(A)と同じく、煙の漏れ、喫煙者の吐出煙による受動喫煙、及び車両排気によるプラットホームでの受動喫煙が防げませんので、設けないでください。

(2)プラットホームになぜ喫煙所を設ける必要があるでしょうか。その傍や近くを通らざるを得ない乗降客や、その近くの車両の扉が開いたときにその車両客は受動喫煙危害を蒙ります。そのような受動喫煙発生源を公共交通機関の御社がなぜそこまで喫煙者向けのサービスとして提供する必要があるでしょうか?

(3)しかもその喫煙所にはタバコ会社の広告が表示されています。この喫煙所費用はタバコ会社が提供しているからでしょうか? あるいはその広告で御社は広告費収入を得ているのでしょうか?

 公共交通機関のタバコ広告は既に2004年9月末に無くなったはずです。であるのに、プラットホームでタバコ広告を堂々とやっていることは、公序良俗に反することではないでしょうか。そしてその広告からもし御社が広告収入を得ているとしたら二重的に反社会的行為ではないでしょうか。

(4)即刻、タバコ広告付きの喫煙所の撤去を強く求めます。

(5)先般、JR車内と駅広告で、マナー広告を見ましたが、「いい人生、いい一服」「ここは駅構内なので、喫煙場所以外は禁煙」という文言とともに、男の喫煙シーンが3場面も入っている広告でしたが、今時、タバコ会社でもしないような、喫煙正当化・賛美広告です。このような広告は今後しないでください。

 

※なお、2007年12月末日までにお返事を頂きたいと存じますので、よろしくお願いします。

 

 

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