内閣総理大臣,税制調査会,経済財政諮問会議,厚生労働大臣,財務大臣 様

政党税調 などに提出しました。

 

2007年10月13日

 

−平成20年度税制改正,及び中期的税制改革関連要望−

タバコ税率と価格を段階的に引き上げていくことを提案します

 

                NPO法人 子どもに無煙環境を推進協議会

                たばこれす

                 540-0004 大阪市中央区玉造1-21-1-702

                    http://www3.ocn.ne.jp/~muen/

 

謹啓

タバコは予防可能な疾病や早死の最大の要因であるので,タバコ税率と価格を

段階的に引き上げていく施策は,

   (1)国民の疾病予防と健康増進のための喫煙抑制 
    (2)未成年者の喫煙防止効果
    (3)医療費抑制と健康寿命の延伸
など,国民の健康福祉上,効果と見返りの極めて大きな優れた施策で,FCTC(たばこ規制枠組条約)も推奨しています。

 

タバコ税率の引き上げについては,平成20年度厚生労働省税制改正要望(たばこ対策としてのたばこ税の税率の引上げ,下記)の内容に全面的に賛同いたしますが,以下の点について追加要望いたしますのでご高配をお願い申しあげます。

 

 

1.国の施策として,包括的タバコ対策の重要項目として「喫煙率を中長期的に減らして国民の健康福祉向上をはかる」ための効果的方法として,「タバコ税率と価格を段階的に引き上げていく」ことを基本方針とする。

 

2.この増収分は一般財源にあてることを可とするも,一般予算の中に,タバコ対策諸費,がん等タバコ病対策費,小売店やタバコ栽培農家の転業育成助成費などへの重点配分を組み入れる。

 ・一部を目的税(特定財源化)とする考えもあり得ますが,これは望ましいとはいえ,財政逼迫の折この実現は困難なようで,タバコ値上げの主目的はあくまでも「喫煙率を中長期的に減らして国民の健康福祉向上をはかる」ためで,当面は一般財源とする方が国会や国民(喫煙者を含む)の理解が得やすいように考えます。

 ・そして特定財源化は,タバコ税率と価格を段階的に引き上げていくことを決定した後,その効果と評価をする中で,配分政策として論議し選択されるべきかと考えます。

3.タバコ税率を引き上げることと並行して,税率以上の値上げをタバコ業界の自主的な対策費に充てることを条件に認めては如何でしょうか。(2006年7月の税上げでは,税を越える値上げが初めてあって(税上げは1本約1円,これを超える値上げは1本約0.5円),業界のICカード式タバコ自販機関係の経費に充当されました。)

4.例えば,隔年毎に(2年に1度)約10%を引き上げれば(税率を7%,業界分を3%として),初回引き上げで1年で約2,600億円の税収増と約1,100億円の業界分となります

  (引き上げは当面10年間とし,その時点で評価を行い,その後の施策を協議する)

    上記の計算式 2,500億本(年販売本数)*1.5円*0.7=2,625億円

2,500億本(年販売本数)*1.5円*0.3=1,125億円

    上記の補足説明:現在の1箱20本の平均300円として,1本では15円,

            その10%は1.5円。2006年度の販売本数は2,700億本。

 ・隔年毎の値上げの理由は,事務作業の煩雑さを避けるためで,3年毎では空きすぎるので,2年が適当と考えます。(前々回の値上げは2003年7月,前回の値上げは2006年7月で3年間の空きがありました。2008年に値上げすれば2年となり,適当な間隔になると思われます。)

 ・約10%の値上げの理由は,前回2006年7月は,上記2項の括弧内のように,売れ筋の銘柄では1箱30円の値上げで概ね10%であったという実績があり,値上げはいちどに大幅に上げるのは抵抗が大きいので,政策としては段階的に上げることとした方が良いかと考えます。

5.1箱300円のタバコを,隔年毎に10%を引き上げれば,10年後には約480円となり,国際水準並になります。

http://www.eonet.ne.jp/~shiryo/tobaccoprice05.htm (2003-05年)

http://www.cancer.org/downloads/AA/TobaccoAtlas12.pdf

2002年の健康ネットのグラフ

 http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd050000.html

   上記の計算式 300円*1.1*1.1*1.1*1.1*1.1=483円(9年目の1箱価格)

 

6.これにより,たとえ喫煙率が減少し,タバコ販売本数が減っても,タバコ値上げによるタバコ業界(小売店,栽培農家を含む)の収益は変わらないよう政策的に調整が可能であるし,現に例えば1996年以後,喫煙率とタバコ販売本数は減り続けているのに,販売金額は殆ど変化がないという現実のエビデンスがあります(下記a)。

    http://www.tioj.or.jp/info/info18.html (a)

http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html (b)

 

7.タバコ業界は「タバコ税率の引き上げは,喫煙者と販売本数の減少を招くので強く反対」としているようですが,現実にはタバコ税率の引き上げに殆ど関係なく,ここ40年以上にわたり男性喫煙率は減少し続けています(女性は横ばい)。2000年以後の男性で,毎年概ね1〜2%以上の減少があります。販売本数についても減少し続けているエビデンスがあり,上記括弧引用は反対の論拠とはならないのではないでしょうか。(前項のリンク資料a,b参照)

・この減少の要因は,健康志向,喫煙者の早期死亡,タバコと受動喫煙の害の普及と周知,喫煙防止教育,未成年者喫煙対策,禁煙環境の拡大と受動喫煙防止対策(特に2003年5月の健康増進法),禁煙外来と治療の広がり(保険適用2006年4月),タバコの値上げ(2003年7月,2006年7月),健康注意表示(2005年7月),公共の場の広告制限(2004年10月,2005年10月)などが複合的に絡んでいますが,喫煙者の減少にはタバコの値上げが最も効果が大きく,タバコ価格を10%引き上げるとタバコ消費は4%減少するとされていて(価格弾力性-0.4),2003年7月の1箱20円の値上げ(約8%)のときは3%喫煙率が低下したとされて(JTによる),この数値と合致します。

 

8.この価格弾力性は特に未成年者が大きく,タバコ値上げによる喫煙開始抑制効果と禁煙効果が期待できます。(未成年者の喫煙をなくす(ゼロにする),という国の目標に合致します)

 

9.値上げによって,タバコの密輸・密売・密造が指摘されます。しかしこれについてはFCTC締約国会議で「不法取引に関する議定書」策定に向け作業が進められることになっていて,国際的協調で解決されることが期待されるので支障とはならないと思います。

 ・またインターネットによるタバコ売買も上記及び脱税対処から国際的規制が必要とされます。これは2008年のICカード式タバコ自販機の導入で未成年者のタバコ購入が規制される動きに伴い,未成年者のインターネット購入禁止規制もあわせ,対処が必要とされます。

   参考→ http://www.eonet.ne.jp/~shiryo/kiseikaikaku0706.htm#RANGE!A16

      http://muen2.cool.ne.jp/kaikakuyobo0511.htm#y11

 

10.なお,免税タバコについて,たばこ規制枠組条約第6条は免税タバコの販売の禁止または制限をうたっており,国内で買えば政府と地方自治体の収入になっているはずなのに,過剰な免税措置でそれが失われているので,早期に免税タバコを廃止すべきです。

健康に害とリスクがある免税タバコは,もはや国際的にも廃止すべき時期が来ており,タバコ免税を含め日本も加盟し批准している「観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約」の国際条約は,たばこ規制枠組条約第6条を踏まえ改定することとし,タバコ規制枠組条約締約国会議において,免税タバコの廃止を国際的に取り決めるよう,先進国で一番に本条約を批准し拠出金も最多である立場の我が国として,率先して提案し,協調協議してしかるべきと考えます。

参考→ 免税タバコを廃止する

http://www.eonet.ne.jp/~shiryo/kiseikaikaku0610.htm#RANGE!A61

 

11.以上,重ねて,タバコは予防可能な疾病や早死の最大の要因であるので,タバコ税率と価格を段階的に引き上げていく施策は,

   (1)国民の疾病予防と健康増進のための喫煙抑制 
    (2)未成年者の喫煙防止効果
    (3)医療費抑制と健康寿命の延伸
  など,国民の健康福祉上,効果と見返りの極めて大きな優れた施策です。

 

以 上

 

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(A) http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/h20kaisei/kouseiroudou/20j03.pdf

 

平成20年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設)

(厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室)

 

制度名 たばこ対策としてのたばこ税の税率の引上げ

 

税目  たばこ税

 

要望の内容

「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」、「健康日本21」及び「がん対策推進基本計画」等を踏まえ、喫煙率の減少のためにたばこ税の税率の引上げを要望する。(たばこ税法第11条)

 

新設・拡充又は延長を必要とする理由

(1) 政策目的

たばこ税の税率を引き上げることによって、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」及び「健康日本21」等で提唱されている喫煙率の減少に向けたたばこ対策の推進を図る。

(2) 施策の必要性

○ 平成17年2月に発効した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」においては、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていること、並びに価格及び課税に関する措置が、様々な人々、特に年少者のたばこの消費を減少させることに関する効果的及び重要な手段であること等が規定されている。また、他の先進諸国と比べて我が国のたばこ価格が低い状況にある。

○ 平成18年度税制改正大綱(自由民主党及び公明党)においては、「近年、国際条約の発効や国民の健康増進の観点から、たばこ消費を積極的に抑制すべきとの指摘も出てくるなど、たばこをめぐる環境は変化しつつある。このような指摘は、財政物資というたばこの基本的性格に係わるものであることから、たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等のあり方について、必要に応じ、検討する」とされ、平成19年度税制改正において長期検討事項とされている。

○ 「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の批准国として、たばこ対策を強力に進めていくことが求められている。また、「健康日本21」において、成人の喫煙に関する目標が設定されていることや、「がん対策推進基本計画」においても、たばこ対策が重要な位置づけとされていることを踏まえ、引き続き、たばこ対策を強力に進める必要がある。

(3) 要望の措置の適正性

たばこが健康に悪影響を与えることは明らかであり、たばこ対策は重要な課題として、平成12年より「健康日本21」において、@喫煙が及ぼす健康影響についての知識の普及、A未成年者の喫煙の防止、B受動喫煙の防止の徹底、C禁煙を希望する者に対する禁煙支援の4つを柱として総合的なたばこ対策を推進してきた。その結果、喫煙率の減少はもとより、「健康日本21」に掲げているたばこに関する全ての項目において改善が見られ、一定の成果を上げてきたところである。今後、更なる喫煙率の減少を図っていくためには、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」でも指摘されているとおり、これまでの取り組みに加え、成人喫煙率の減少のみならず、特に未成年者の喫煙防止に効果的なたばこ税の税率の引上げが必要である。

 

これまでの政策効果 −

 

政策の達成目標

喫煙率を減少させることで、たばこの健康に与える悪影響を低減させる。

 

予算上の措置の要求内容及び金額

平成20年度概算要求において、たばこ対策関係予算として、451百万円を要求している。

 

上記の予算上の措置と要望項目との関係

たばこの健康影響に関する普及啓発等を行うとともに、成人の喫煙率の減少、未成年者の喫煙防止に効果的なたばこ税の税率の引き上げを行なう。

 

これまでの要望経緯 −

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