第13回コンクール入選者名簿               

「子どもに無煙環境を」第13回コンクールの審査講評(2001.2)
1.絵本・紙芝居 部門
 絵本・紙芝居コンクール9回目の今回も良い作品が集まりました。絵本や紙芝居は,画だけでなくストーリーの展開が大事ですが,子ども達が協同で考えて作った作品に優れたものがあり喜んでいます。文部科学大臣賞の作品は,良く練られた大人顔負けの作品で,動物たちが登場するストーリーはタバコの迷惑をうまく表現しやすいのかも知れません。厚生労働大臣賞の作品は,養護の先生が文を,小学6年生の生徒が画を描いたものですが,ユニークな筋と画の合作が審査員の票を集めました。最終審査のポイントになったのは,表現やストーリーのユニークさですが,今年は特に紙芝居に良い作品が多くありました。こども達と同じ高さの視線で,楽しく作品を拝見しながらも,審査で入選作を限定しなければならない苦しさをいつも感じます。審査員の投票得点による相対審査なので,出来るだけ多くの作品を入選とし,これらの作品が何らかの形で発刊されるのを楽しみにしています。(中川健蔵)
 紙芝居か絵本か,区別のつきにくいものがあったのは残念でした。普通,絵本は向って右に時間が流れる,紙芝居は向って左に抜く。時間表現が逆なのです。また紙芝居は遠くから見てはっきりわかる画でなくてはなりません。絵本の絵のほうが緻密に見えるが絵の巧拙の問題ではない。どっちつかずの作品があり特に紙芝居というものが十分に理解周知されていない面のあることが察せられました。日本のユニークな文化である紙芝居にもっと関心と理解をもっていただきたいと願っています。(堀田 穣)
2.ポスター 部門
 全国から多くの作品が寄せられました。美術コンクールとは少し違って,テーマが「子ども達をタバコから守る,タバコの害・迷惑,未成年の喫煙防止」に限定されていますので,その観点から審査を進めました。わかりやすさ,訴えの強さと優しさなどの表現が大切ですが,絵が上手でも余りに強すぎる表現は評価が下がりますし,タバコの煙を嫌がる迷惑の表情が,目を×や>・<にする描き方ではなく,もう少し工夫した表情の豊かさや色のコントラストが望まれる作品が少なくありませんでした。コピーの字の間違いは訂正が可能なポスターは選に入りましたが,コピーもポスターにはとても大事なので,画だけでなく字の間違いのないことも大切です。
 秀作ぞろいの素晴らしい作品が上位を占め,本当に審査員泣かせでした。ポスターだけではありませんが,審査のポイントになったのは,ユニークさ・新鮮さです。テーマに沿った趣旨を生かし,訴えかけ・引きつけるアイデアや工夫がポスターには必要です。美術コンクールとは違うところで,これらアピール力のある作品が上位に選ばれました。これらのユニークな入選作を次回の啓発ポスターやカレンダーのデザインに活用するのを楽しみにしています。(新谷隆夫)
3.マーク 部門
 マークは大別すると,タバコや煙などに×印などを加えることで“ダメ”を表現するタイプと,煙たがっている表情や情景で煙害を表現するタイプに分けられるようです。そうした表現を基本に,新鮮なアイデアをプラスし,いかにインパクトやオリジナリティを出すかがポイントです。
 厚生労働大臣賞は前者のタイプで,タバコの禁止マークという極めてオーソドックスな図案をメインに,それを赤ちゃんが抱えているという新味を添えた作品です。構図にも安定感があり,赤ちゃんが顔を隠しているところに遊び心が感じられます。文部科学大臣賞は後者のタイプで,赤ちゃんを優しく包む両親が実は煙害で赤ちゃんを苦しめているという状況をそのまま図案化したものです。父親と母親をシンプルな目の描き方の違いだけで表現するなど,ディテールの工夫が利いています。(高部遵子)
4.標語・川柳・ネーミング 部門
 1万点以上に及ぶ多くの応募をいただき,うれしく思っています。クラス全員の子どもたちがそれぞれに考えた学校からの作品には,子どもたち一人ひとりの多様な個性,考え方がつまっているようで,微笑ましいものを感じました。今回も優れた作品が数多くありましたが,一方で,技巧や遊びに走って言葉の面白さを追求するあまり,趣旨が伝わらなかったり,現実味がなくなったりなど,逆効果を招いている作品も散見されました。
 今回は厚生労働大臣賞も文部科学大臣賞もジュニアの作品です。ともに強い禁煙の訴求ではありませんが,吸わないことの素晴らしさを,優しく語りかけている日常会話のような身近さが,かえって説得力を高めています。知的ユーモアのある短い言葉に,禁煙訴求を凝縮させたネーミング部門の作品も次第に増え,今後が楽しみです。
 なお,ポスターの作品の中に,標語・川柳・ネーミングとして面白い作品もいくつかありました。次回はこれらも採用する工夫があっても良いように思いました。(高部遵子)