タバコからマー君を救え!!
動物救急隊
作・絵 森 有香
柳田 祐希
島尾 知佳
安宅 史織
The Rescue Animals


ある日曜日の朝
「ゴホ、ゴホ」
煙だらけの部屋でせきをしたのは、マー君。
                   
それを心配したお母さんは
「マー君、大丈夫?」
「うん、へいきだよ。」


それを見ていたペットのタマは、
九官鳥のピーちゃんと犬のポチに、
話をもちかけました。
「マー君が大変なんだ! 
お父さんのタバコの煙のせいで
苦しんでるみたいなんだニャン。」と、
タマは話しました。
「それは大変だ! でも、あぶないのはタバコを
吸っている人じゃないワン?」
「そうじゃないんだ。タバコを吸っている人は
もちろんだけど、
その周りにいる人もあぶないんだニャン。
タバコの煙って、こわいのさ。
たとえば、子どもの成長をとめたり、肺がんに
なったりするニャン。」
タマは自慢そうに言いました。
「よく知っているね、タマ。じゃあ、マー君のために、ぼくたちがどうにかしようよ。」
タマたちは、いっしょうけんめい考えました。


「そうだ!」
ひらめいたのはピーちゃん。
「お父さんから、タバコをうばえばいいんだ!」
「でもそんなことしたら、お父さんが怒るワン。」
「じゃあ、どうすればいいのだろう?」
みんなが悩んでいると、
またもやピーちゃんが、
「タバコを吸っているじゃまをしよう!」
と言いました。



次の日の朝
名づけて
「タバコからマー君を救え!! 大作戦」
が、決行されました。
 
タマが、タバコを吸っているお父さんの
足にかみつきました。
 
おどろいたお父さん、
おもわずタバコを落としました。
「何をするんだ。 タマ!」



お父さんの落としたタバコを、
ピーちゃんがくわえて
キッチンの流し台の所へ、捨てました。
「何をするんだ。ピーちゃん!」
お父さんは怒りました。
2ひきは知らんぷりをして、外に出ていきました。
お父さんは不思議そうに見ていました。



その日の夕方、お父さんとマー君が、
ポチの散歩に出かけました。
散歩の途中で、お父さんはタバコを吸いはじめました。
すると、とつぜん、ポチがほえだしました。
「どうしたんだ。ポチ。」
お父さんは、ポチを静かにさせようとしました。
 
しかし、ポチはほえつづけました。



お父さんは、困りました。 マー君も、
どうしていいのかわかりません。
そして、ついにポチは逃げ出してしまいました。
マー君とお父さんは、必死で追いかけました。
 
「ポチッ!」
とうとう、ポチは見えなくなってしまいました。
 
「うわ〜ん。ポチが、ポチが〜・・・・・・。」
マー君は、泣きじゃくりました。


家に帰ってきても
マー君はまだ泣いていました。
お父さんは、お母さんに
マー君が泣いているわけを話しました。
 
「どうしたんだろう・・・・・・。」
お父さんは首をかしげました。


翌朝、ピーちゃんが帰ってきて、言いました。
「タバコ、あぶない。マー君、かわいそう。」
そう言うと、またどこかへ行ってしまいました。
「どういう意味なんだ?」
お父さんは、また考えこみました。


ちょうどそのとき、タマが庭から入ってきました。
そして、テレビのリモコンの上に乗りました。
ピッと音がして、テレビがつきました。
放送していた番組は、                  
「タバコが体にあたえる影響」でした。
 
はじめは興味がなかったお父さんも
だんだんと真剣に見ていました。
 
「タバコは、吸う本人に有害なだけでなく、
周りの人も煙を吸わされるため、健康を害します。」
大切な家族のためにも、タバコはやめましょう!」


お父さんは、はっとしました。
 
「そうか、そうだったのか!」
おとうさんは、タバコがどれだけあぶないものかを知りました。 
そして、
「このままだと、マー君や、お母さんや、ペットたちが、病気になってしまうかも」
と、不安になりました。


「もうタバコなんて、吸わないぞ!」
お父さんは、そう心に決めました。
「家族のためだ。」
そう言って、タバコと灰皿を  
全部捨ててしまいました。


かたづけをしている途中で、
お父さんは気がつきました。
「そういえば、ポチがほえ出したのは
タバコを吸いはじめたからだ。
タマにかみつかれたときも
タバコを吸っていた。
 
ピーちゃんが言っていたのも
そういう意味だったのか。」
と、お父さんはつぶやきました。
 
そして、リビングに
お母さんとマー君を呼びました。


「お父さん、どうしたの?」
マー君が聞きました。
「実はね、お父さん、これから
タバコを止めることにするよ!」
「どうしたんですか? とつぜん。
何かあったんですか?」
お母さんは、不思議そうに聞きました。
 
「さっきテレビで見たんだけど、
タバコは、とても体に悪いんだ。」
そして、テレビで見たことを全部話しました。


「そんなに体に悪いんですか・・・。
だからタバコを止めるんですね。」
「ねぇ、お父さん、お母さん、どういうこと?」
「タバコはね、お父さんだけでなく、マー君や
お母さんを病気にしちゃうのよ。」
「そんなの、やだ〜。」
「だからね、お父さんはタバコを止めるのよ。」
「そうなの。よかった〜。」
みんな元気にくらせるね。」


それを見ていたタマたちは、うれしくなって
お父さんにかけよって行きました。
 
「タマ、ポチ、ピーちゃん!!」
と、お父さんはさけびました。
 
マー君も、とてもうれしそうです。
 
「ありがとう!」
お父さんはそう言って
みんなをだきしめました。


こうして、動物達のおかげで、
あの煙だらけの家は、
今、空気のきれいな生活にかわりました。
 
家族みんなが、元気にくらしています。
 
3匹の動物救急隊の活躍で・・・。
 
めでたし、めでたし       おわり