厚生省 公衆衛生審議会 御中

                                          たばこれす   代表  福 田 守 男 

「健康日本21」に対する意見−たばこ対策について

  私たちの団体は,「非喫煙者がたばこの煙に煩わされない人間関係と社会をめざして」
1982年に設立以後,非喫煙者を受動喫煙から守るための世論づくりの活動を,大阪・近畿
を中心に行ってきました。また来年に制定100周年を迎える「未成年者喫煙禁止法」の実
効的対策の要望活動なども行っています。この立場からの意見を申し述べます。

1.喫煙行為は,本人だけでなく他人の健康を害し,かつ多数の人間がその害をこうむり,
  しかもたばこには強い依存性があるのですから,個人の自由な好みを意味する嗜好品
  とは言えません。「依存品」という表現が正しい言い方で,たばこは嗜好品という言葉は
  売る側の欺瞞的な表現です。厚生省として,「たばこは依存品」という表現を積極的に
  使い,一般化していただきたいと思います。

2.禁煙支援について,年次計画で,重点的な禁煙支援の対象者を絞ることが有効ではな
  いかと思います。保健従事者もさることながら,国民特に若者の規範の点から,スポー
  ツ選手(野球選手など)や大学等の体育会系クラブ,トレーニングセンター,教師,タレン
  ト,マスコミ関係者,人間ドック受診者などへ,待ちの姿勢ではなく,積極的に禁煙を働
  きかけていく方法を検討いただいてはどうでしょうか。

3.禁煙支援や啓発を,行政主導ではなく,民間団体やNPO団体を活用し,大胆に委ね
  た方が良いのではないでしょうか。たばこ税からみで行政は腰が引けがちですし,た
  ばこ業界と対峙し,実績を作ってきたのは民間団体です。行政には法整備や助成予
  算など枠組みづくりに努力していただきたいと思います。

4.喫煙者を大幅に減らす一番有効な方法は,喫煙制限を強化することです。たばこを吸
  える空間を減らすことが,費用をかけずに喫煙人口及び喫煙本数を減らす最良の方法
  です。そのためには,公共空間の原則禁煙の法制定まで踏み込むべきです。そうでな
  ければ,10年で半減の目標は,画描となりかねません。

 ・特に交通機関や職場の禁煙もあって,歩きたばこが目に余ります。ポイ捨て防止条例
  はこの歯止めに全く役立っていないだけでなく,携帯灰皿を持っていれば吸っても良
  いとの条例文のある例もあって,非喫煙者の健康と迷惑を守る観点が抜け落ちていま
  す。歩きたばこの規制を盛り込んだ法制定が必要です。

 ・レストランに例を見れば分かるように,事業者の自主性に任せる限り,レストランの禁
  煙・分煙は遅々として進みません。禁煙・分煙とした場合の税控除や優遇税制を設け
  ること,及び禁煙・分煙の義務づけの法制定をはかることが,非喫煙者を守るだけでな
  く,喫煙者を半減させるために必要です。

 ・駅のプラットホームの禁煙場所でも吸う喫煙者が少なくなく,駅員も見て見ぬふりをし
  ています。喫煙者の自主性に任せる限りこの有様です。公共空間の原則禁煙の網羅
  的な法整備なしに,10年で目標値を達成することは難しいと思います。航空機の全面
  禁煙に例を見るように,社会的ルールが決められれば喫煙者もそれを守ります。

5.未成年の喫煙を半減させるためには,未成年者がたばこを買えないよう,たばこ自動
  販売機の撤廃が必須です。またコンビニやたばこ店でも未成年者がたばこを買えない
  よう年齢証明の明示の義務づけが必要です。

6.たばこの注意表示についても,諸外国なみの正しい情報提示が必要です。

                                                以 上 1999.8.30