タバコ対策に活用できる法律   2010.2.26更新

1.健康増進法 2002年(平成14年)7月26日制定,8月2日公布
             2003年5月1日施行

第五章 第二節 受動喫煙の防止

第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、
事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者
は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境に
おいて、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必
要な措置を講ずるように努めなければならない。

 

 

健康増進法施行を受けて,受動喫煙対策について,厚生労働省から通知 (pdf;2010.2.25)New

 

「職場における喫煙対策のためのガイドライン」新通知文(2005.6.1)

 

2.労働安全衛生法      迷惑タバコ対策の虎の巻 も参照ください

(1) 第7章2 快適な職場環境の形成のための措置
  (以下の第71条の2〜4,これらは1992年7月1日より新たに加えられ施行された)
 ・第71条の2(事業者の講ずる措置)〜事業者は,事業場における安全衛生の水準の向上を図るため,次の措
  置を継続的かつ計画的に講ずることにより,快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
   1  作業環境を快適な状態に維持管理するための措置 2,3省略
   4  前3号に掲げるもののほか,快適な職場環境を形成するため必要な措置
 ・第71条の3(指針の公表等)〜厚生労働大臣は,前条の事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措
  置に関して,その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。 
  2 厚生労働大臣は,前条の指針に従い,事業者又はその団体に対し,必要な指導等を行うことができる。
 ・第71条の4(国の援助)〜国は,事業者が講ずる快適な職場環境を形成するための措置の適切かつ有効な実
  施に資するため,金融上の措置,技術上の助言,資料の提供その他の必要な援助に努めるものとする。(都
  道府県労働基準協会等に快適職場推進センターの開設,快適職場推進計画の認定,日本開発銀行による低利
  融資,中小企業共同安全衛生改善事業による助成など)

(2) 上記の71条の3を受けて同年7月1日,「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指
  針」(労働省告示第59号)の中で,

  “空気環境におけるタバコの煙や臭いについて,労働者が不快と感ずるこ
   とのないよう維持管理することとし必要に応じ作業場内における喫煙
   場所を指定する等の喫煙対策を講ずること。との内容が盛り込まれた。
                      (指針第2の1の(1),通達第2の1の(1))

(3) 第97条(労働者の申告)〜労働者は,事業場にこの法律に違反する事実があるときは,労働基準局長・監督
  署長・監督官に申告して是正のため適当な処置をとるように求めることができる。
  2 事業者はこの申告を理由として,解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
 ・第3条(事業者等の責務)〜事業者は,単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけ
  でなく,快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するよう
  にしなければならない。
 ・第23条(事業者の講ずべき措置等)〜事業者は,労働者を就業させる建築物その他の作業場について…労働
  者の健康の保持のため必要な措置を講じなければならない。
 ・第69条(第7章・健康の保持増進のための措置,健康教育等)〜事業者は,労働者に対する健康教育及び健
  康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなけれ
  ばならない。

(4)(産業医等)(1996年10月1日より施行)
 第13条 事業者は,事業場(労働者が50人以上の職場)ごとに産業医を選任し,労働者の健康管理等を行わせ
     なければならない。
  2 産業医は,労働者の健康管理等を行うのに必要な医学的知識など要件を備えた者でなければならない。
  3 産業医は,労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは,事業者に対し,労働者の健康管理等
   について必要な勧告をすることができる。
  4 事業者は,前項の勧告を受けたときは,これを尊重しなければならない。
 第13条の2 事業者は,従業員が50人以下の事業場については,必要な医学的知識を有する医師その他省令で
       定める者に労働者の健康管理を行わせるように努めなければならない。

ビル衛生管理法では,タバコの煙に由来する浮遊粉塵の基準は0.15mg/m3定められているが,
  大阪市内でも10%前後のビルが不適合であり,またタバコの煙による空調停止時(時間外)の空気汚染や対
  象外の小規模のオフィスの空気汚染はこの数値を越える場合が多い。ビル衛生管理法では,多人数が利用,
  使用する3,000m以上の中央管理方式の空調・換気装置を設けている特定建築物だけが保健所の立入り調査
  などで規制,指導されることになっており,90%以上の大部分のオフィス(近年増えてきている個別分散空
  調方式のオフィスを含め)は努力義務が課せられているにすぎない。

 ・労働省令の事務所衛生基準規則では,室内への供給空気についてビル衛生管理基準値と同じ
  濃度設定(浮遊粉塵0.15mg/m)が定められるなど,居室内濃度を定めたビル衛生管理法よりもゆるやか
  な規定になっている。

4.鉄道営業法の第34条には,
  「制止を肯ぜずして停車場その他鉄道地内禁煙場所及び禁煙車内で喫煙した者は科料に処す」との規定があ
  る。
 ・旅客自動車(バス,タクシー)運送事業等運輸規則の第53条6項は,
  「旅客は,禁煙表示のある自動車内で喫煙してはならない」と規定している。
  また第49条2項は,「運転者,乗務員は次の行為をしてはならない〜旅客の現在する車内で喫煙すること。」
  と規定している。
 ・海上運送法施行規則の第23条の六2項には,
  「…旅客船の旅客の安全を害するおそれのある次の行為をしてはならない〜船舶内の禁煙場所で喫煙するこ
  と。」と規定している。
 ・これらは公共交通機関の喫煙対策の法的裏付けを与えるものと思われる。
 ・健康増進法 第25条の受動喫煙の防止規定により,公共交通機関の禁煙が定められた。

5.消防法に基づく各地の火災予防条例により,地下街は,喫煙場所以外は禁煙が定められ,
  歩行喫煙は禁じられている(ただし大阪市,神戸市,京都市の条例にはこの規定がない)。映画館や劇場,
  百貨店売場,ドーム球場などの禁煙もこれに基づく。

 ・従来の火災予防条例では,劇場・ホール・映画館・百貨店・公会堂などでは,火災予防の観点から,各フロア
  ーに喫煙所の義務づけがあったが,健康増進法の受動喫煙防止との整合性から,条例改正により義務づけがな
  くなり,禁煙表示や周知対策を講じた場合は全面禁煙も可となり,受動喫煙対策が進みやすくなった(消防庁,
  火災予防条例(例)の一部改正について(通知),消防予第319号,消防安第237号,平成15年12月18日)。
  この条例改正は全国の市町村で順次進められている。(大阪市では2004年3月末に条例改正があった
 ・興行場法施行条例では,映画館,劇場,寄席,音楽堂,野球場などの構造設備の基準が定められていて,
  都道府県によっては「喫煙所は各階に一箇所以上設けること。」との義務規定があったが,これについても、
  条例改正により,「禁煙表示をする場合には喫煙所を設けることを要しない。喫煙所を設ける場合は喫煙所
  である旨を表示し,喫煙所以外の場所に煙が侵入しない構造であること。」(東京都興行場の構造設
  備及び衛生措置の基準等に関する条例第十条,平成16年3月31日)の例示のように改正が行われている。
  ただし大阪府興行場法施行条例では「喫煙所を設けないことができる」規定となっていて改正は要しなかった。
 ・たばこ事業法関連の小売販売業許可等取扱要領が改正され(平成16年3月31日),劇場,百貨店,スーパー,
  駅など,特定小売販売業で2003年5月1日以前にたばこ販売許可のあった場合は,店舗内に喫煙所設置の義務
  づけがあったが,喫煙設備を撤去しても,当分の間,販売取り消しとはならないこととなった
  (ただし2003年5月1日以降の新規申請は喫煙所の設置が必要)
6.未成年者喫煙禁止法は,親や監督者,販売者に対する罰則を規定している。

  (明治33年〔1900年〕3月7日制定,同年4月1日施行,2000年11月改正
   2001年12月再改正
   青字が2000年11月及び2001年12月に可決成立した改正点,2001年12月施行

  第一条  満二十年に至らざる者は煙草を喫することを得ず
  第二条  前条に違反したる者あるときは行政の処分を以って喫煙の為に所持する
       煙草及び器具を没収す
  第三条  未成年者に対して親権を行う者情を知りて其の喫煙を制止せざるときは
       科料に処す (科料の金額が削除された)
      二 親権を行う者に代わりて未成年者を監督する者亦前項に依りて処断す
  第四条  煙草又は器具を販売する者は満二十年に至らざる者の喫煙の防止に資す
       る為年齢の確認其の他の必要なる措置を講ずるものとす(2001.12追加)
  第五条  満二十年に至らざる者に其の自用に供するものなることを知りて煙草又
       は器具を販売したる者は五十万円以下の罰金に処す
  第六条  法人の代表者又は法人若は人の代理人、使用人其の他の従業員が其の法
       人又は人の業務に関し前条の違反行為を為したるときは行為者を罰する
       の他其の法人又は人に対し同条の刑を科す(2000.11追加)
 

参考法規以下の規定により現行自販機は違法である(ただし見直しの動きがある)

たばこ事業法
(許可の基準)
第23条  財務大臣は,前条第1項(製造たばこの小売販売)の許可の申請があった場合に
         おいて,次の各号のいずれかに該当するときは,許可をしないことができる。
    三 営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合とし
      て財務省令(下記の施行規則)で定める場合であるとき。

たばこ事業法施行規則(営業所の位置が不適当な場合は,次に掲げる場合とする)
第20条三 自動販売機の設置場所が,店舗に併設されていない場所等製造たばこの販売に
          ついて未成年者喫煙防止の観点から十分な管理,監督が期し難いと認められる
          場所

製造たばこ小売販売業許可等取扱要領(2004年12月1日以降の申請に適用)

    以下はその後改定補充されています。最新は → 未成年者喫煙禁止法

第2章 小売販売業の許可

   第一 小売販売業の許可(法第22条乃至第24条関係)
   許可の基準
  小売販売業の許可の申請が次の基準の一に該当するときは、許可しない。
(2)法第23条第三号、規則第20条関係
B  自動販売機の設置場所が不適当な場合
 次のイ又はロに該当する場合。なお、イ又はロに該当しない場合であっても、未成年者喫煙防止の観点から明らかに自動販売機の十分な管理・監督が期し難いと認められるときは、許可しない。
 一般小売販売業の許可申請
 自動販売機の設置場所が、店舗に併設されていない場所である場合。 
 この場合の「店舗に併設」とは、自動販売機が、店舗内に設置されている場合又は店舗外に店舗と接して設置されている場合であって、店舗内の従業員のいる場所から当該自動販売機及びその利用者を直接かつ容易に視認できる状態をいう。       
 なお、「店舗」とは、原則として製造たばこの販売を対面で行う施設をいう。ただし、他の商品販売(サービスの提供を含む。)を対面で行う施設についても、店舗とみなし、住宅、事務所、倉庫、工場、自動販売機コーナー等販売を対面で行うことが確認できない施設は店舗とはみなさない。
 特定小売販売業の許可申請
 自動販売機の設置場所が、施設の従業員又は管理者等未成年者喫煙防止の観点から当該自動販売機の管理について責任を負う者のいる場所から当該自動販売機及びその利用者を直接かつ容易に視認できない場所である場合
 ただし、工場、事務所その他の自動販売機の利用が主として当該施設に勤務する者等特定の者に限られると認められる施設内の場所を予定営業所とする許可申請である場合にはこの限りでない。
7.放送法の第三条の二は,
  「放送事業者は,国内放送の放送番組の編集に当たっては,次の各号の定めるところによらなければならな
  い。
    一.公安及び善良な風俗を害しないこと。
    三.報道は事実をまげないですること。
    四.意見が対立している問題については,できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」
  を定めている。
  現行の電波媒体によるタバコのCMは,これらに抵触・違反している(未成年の喫煙を助長している,タバ
  コ会社が資金力に任せて事実を曲げた有害商品のタバコ販売広告を一方的に流している,民間放送局自身が
  タバコの広告費収入依存に陥りタバコの害や真実についての客観報道の自主規制を招いている)。
  (電波媒体によるタバコCMは,世論の力で,1998年4月より自主規制がなされ,廃止された。)

   戻る