1997年9月22日

神戸市議会 議長 様

ポイ捨て禁止条例における携帯灰皿所持時の喫煙許可条項
撤廃に関する陳情書

                            たばこれす

謹啓
この度、本会は下記陳情をいたしたく、本書を提出させていただきます。お手
数ですが審議いただき、ご返事をお願いいたします。

1. 陳情内容
 当会は「たばこの吸殻等の投げ捨ての防止等に関する条例(以下ポイ捨て禁止
 条例と略す)」に関して、下記を陳情します。

1.1. 第9条(携帯灰皿所持時の喫煙許可)の撤廃
 神戸市のポイ捨て禁止条例第9条において「禁煙ゾーンにおいては、携帯灰皿
 を所持している場合を除き禁煙とする」という例外規定を設けています。
 この例外規定は、神戸市の広報「こうべ(1997年5月1日号)」にもはっきり記載
 されています。この規定で携帯灰皿所持時の喫煙を認めたため、自動的に歩行
 喫煙も認めてしまっています。
 当会としては、携帯灰皿は「歩行喫煙を助長する物」であると考えております。
 歩行喫煙は、危険行為であり、また周りに健康被害を及ぼす迷惑行為です。
 JR船橋駅(千葉県船橋市)では、女児(当時4歳)のまぶたに歩きタバコの火が当
 たってやけどするという、失明寸前の事故が起こっているほどです。
 従って、この条例は「携帯灰皿を持ち歩いた時は、禁煙ゾーンでの喫煙を認め
 る」という例外規定を撤廃するべきです。当会としてはこの例外規定撤廃を陳
 情します。

1.2. 歩行喫煙規制
 本条例を改正して、私たちが日々迷惑を被っている歩行喫煙を、禁煙ゾーン
 のみならず、全市域において規制する事を陳情いたします。

2. 陳情の趣旨
 神戸市は、97年6月1日より「たばこの吸殻等の投げ捨ての防止等に関する条
 例(以下ポイ捨て禁止条例と略す)」を施行しました。
 この条例では、第8条で「特にたばこの吸殻の投げ捨てを防止する必要がある
 区域を喫煙制限区域として指定できる」と定めています。一方、第9条で「携
 帯灰皿類を持ち歩いた場合は喫煙可」であると定めております。
 本条例は環境事業局が中心となって原案を作成されたようです。そのためか、
 たばこに関しては「吸殻等のポイ捨て防止」の観点しかないようです。しか
 し、路上に於けるいわゆる歩行喫煙については、それ以外にも「たばこの火の
 危険性」「たばこの煙が周囲に及ぼす健康被害」などの観点も必要であると私
 たちは考えます。本条例では、このような観点が全く抜け落ちてしまっている
 のが現状です。

 当会としては、上記視点に鑑み、この第9条の規定は不適切ではないか、と考
 え、本条例に関して、神戸市議会議員へのアンケートを行いました。詳細は次
 章を参照願います。
 本アンケートの結果、神戸市議会議員のかなりの方が「歩行喫煙を禁止すべ
 き」と考えておられることが分かったため、この度の陳情書を提出いたしまし
 た。

3. 添付資料 市議会議員へのアンケート実施方法および結果
3.1. アンケート実施方法
 本アンケート調査は、下記アンケート文を印刷した官製ハガキを、議員全員に
 配布(97/8/13配布)し、各議員にご記入頂いた後返送していただくという方法
 で行いました。

3.2. アンケート文

神戸市議会議員 様

『公共の場所における喫煙規制』に関するアンケートご協力のお願い

謹啓
日頃は市政へのご尽力ありがとうございます。標記の件ご協力をお願いしたく
お便りさせていただきます。 「たばこれす」は「非喫煙者がタバコの煙に煩わ
されない社会と人間関係の確立」をめざして活動を行っている市民団体(1982
年6月設立)です。ポイ捨て禁止条例施行(1997年6月1日)に当たりご意見をお伺
いしたいと存じます。

問1
本条例は効果 (特定地域の美観維持・ポイ捨て減少等) が期待できるとお考えですか。
                                はい いいえ
問2
本条例重点地域 (フラワーロード, 北野・山本地区の2箇所) は今後増やすべきだとお考えですか。
                                はい いいえ
問3
路上に於ける、いわゆる歩行喫煙は危険であるとお考えですか。  はい いいえ
※ご参考
JR船橋駅(千葉県)では、1994年1月に女児(当時2歳)のまぶたに歩行喫煙のたば
こが当たるという、失明寸前の事故が起こっています(読売94年3月19日朝刊参照)。

問4
本条例で指定する「禁煙ゾーン」で携帯灰皿を所持する場合歩行喫煙が認められています。
これを規制すべきであるとお考えですか。
                                はい いいえ
問5
今後たばこに関する問題(公共の場所における喫煙規制等)を議会で取り上げて頂けますか。
                                はい いいえ
問6
あなたはたばこを吸いますか。                はい いいえ

3.3. 回答率
9月31日現在、全議員71名(欠員一名は除く)中46名 (回答率64.8%) より回答を
頂いております。この手のアンケートとしては非常に高い回答率であり、これ
は禁煙・分煙に対する意識が高いことを裏付けております。

3.4. 回答内容
3.4.1. 「はい」の比率
各設問に対する、「はい」と答えた議員の比率は下記の通りです。
    問1 90% 問2 86% 問3 96% 問4 64% 問5 67% 問6 46%

3.4.2. その他コメント
各議員氏の、主なコメントを下記に示します。
- 病院(病室)フロアー等での喫煙は全面規制すべきである。(公明)
- たばこを吸うことは一つの権利、自由だと思います。吸う方が他人に迷惑を
かけないというルールを守っていただければ条例など作らなくても済むのです
が、現状はとてもそういう状況ではなく残念です。(さわやか)
- たばこを吸うのは個人の自由ですが、社会的には規制を強化するべきではな
いでしょうか。(さわやか)
- 公衆トイレのような「喫煙所」を作ったらどうかと考えています。(無所属)

3.4.3. 考察
回答を見てみますと、全ての質問(問6 喫煙有無を問う質問を除く)について、
かなり高い割合で「はい」と回答されております。
特に質問3(歩行喫煙は危険かどうかという質問)については「いいえ」と答え
た方はわずか2名です。やはり歩行喫煙に関しては危険であると言う認識が一
般的であると言えます。
質問4(歩行喫煙を規制すべきかどうか)に関しては、64%の方が「はい」と答え
ております。これは、質問3で「はい」と答えた方(つまり歩行喫煙は危険であ
るとお考えの方)の何割かの方が「いいえ」と答えたことになります。
各議員氏のコメントを見ますと、この質問に「いいえ」と答えた方は、歩行喫
煙の規制に関しては「将来的に検討必要(こうべ市民)」と考えておられるよう
です。中には、問4の「はい」に○を書きかけたまま、結局どちらにも○を書
かずに投函された方(公明)もおられました。つまり、今回「いいえ」あるいは
無回答の方も、将来的には「歩行喫煙は規制すべき」と考えておられるようで
す。
逆に「はい」と答えた方の中には、「(歩行喫煙は)ダメ(公明)」というような
コメントを書いておられる方も数人おられました。
とにかく、全体としては64%の方が「歩行喫煙を規制すべき」と答えておられ
る事は、特筆すべきであると思います。

           以上、よろしくお願い申し上げます。  草々