堺市新庁舎の市議会の本会議場横に,喫煙所が新たに設けられ
ることになった件について,たばこれす・堺ブロックの住民2人の
名前で,2004年3月8日に,住民監査請求をしました。
この根拠の提出と陳述の機会が,3月26日(金)午後2時半より,
堺市役所高層館11Fの監査室で1時間半にわたり行われました。
以下,この報告を紹介します。
(後半に訂正・追記入れました) 
(なおこの監査請求の結果は,5月7日までに通知があります)
 文責:たばこれす・堺ブロック Tel・Fax06-6765-5020

〔堺市住民監査請求報告3/26〕

1.事前に上記喫煙所を見せていただきました。
ものの見事に
本議会南東隅に4分の1円形の20平方mの透明仕切りができ
排気設備も出来ていて、中はまだ何も置いていませんでした。
後の監査陳述の市の説明では、「換気設備、間仕切り工事」で
(喫煙室設置の名目ではなく)
総務課長専決で190万円で工事完了したとのことでした。
市議会は5月に引っ越すとのことで、果たして喫煙室として使う
ことになるのかどうか‥
喫煙室となれば、ガイドラインをクリアしていることを市は強調し
ていましたが、漏れ出ないことはない、ことは一目瞭然でした。

2.またその前に、新本館の東側に出来ている「喫煙小屋」を
見ました。
産経新聞にも載っていますが
http://www.gulf.or.jp/~syun-ei/hp_shinbun/gikai_bunen.htm
メイン道路に面し、3方に仕切りがついた屋根つきで、ベンチ等
はなく、灰皿が地面にぽつんと置いていました(開所後はもう少
しましな灰皿を置くのかもしれませんが)。広さは10人も入れな
い? 市民用でここ1箇所だけとのこと。

3.監査陳述なるものは初めてで、少し緊張しましたが、
監査委員4人(堺市OB、市会議員2人、公認会計士)が前に並び、
監査事務局が数人左横に並び、右の傍聴席には4人の方がみえ
ていました。
堺市側の立会いは可能でしたが、ありませんでした。
・監査事務局より、監査内容の確認があり、
 http://www3.ocn.ne.jp/~muen/yobo/sakaisikinenkansa0403.htm
 その後当方より、
 根拠の提出と陳述予定内容について、文書を渡し、口頭説明し
 ました。http://muen2.cool.ne.jp/sakaikansakonkyo040326.doc
 HPに紹介している内容ですが、
@市も市議会も税収をもとに市民から業務を付託されているの
 だから公金の不当支出は違法である。
A健康増進法の受動喫煙防止違反であり、例外的特権は認め
 られない、の2点を強調説明しました。
・監査委員からは質問はなく、「よくわかりました」とのことでした。

4.休憩を挟んで、今度は堺市関係職員(総務局長、総務部長、
次長兼総務課長、庁舎管理担当課長)の陳述がありました。

・請求人(当方2人)と傍聴者4人の立会いが認められました。
・監査委員長から住民監査請求があった旨発言の後、監査事務
局より以下について、堺市側に十数点の質問がされ、そのつど回
答がありました。
・事実経過、庁舎管理権者は誰か、市関係施設の全面禁煙に至
 った理由と経過、その通知文書、市議会に喫煙室を設けるに至
 った経過、その後の対処と工事についてなど
・市側の回答の主な点は
 (1)健康先進都市を目指して、全面禁煙とした。ただ
 (2)庁舎管理権は市長だが、市議会には「ジリツ(自律?、自立?)
  権」がある
 (3)市議会より「いきなり禁煙ではなく、段階的に喫煙所を」との要
  請があった

5.監査委員全員より、数点にわたり堺市側へ質問がありました
 (1)健康増進法の趣旨をどう理解しているのか
 (2)市議会だけ喫煙室を設けるのは、整合性を欠かないか、市の
  全面禁煙方針を後退させることにならないか
 (3)喫煙室の清掃はどうなるのか(市の回答は通常の清掃に含め
  る)
 (4)堺市は政令市を目指しているが、他の政令市、中核市の状況
  はどうか
 (5)全面禁煙にして、市民も、職員も、遵守の周知・広報は? 

6.堺市側から
 (1)喫煙所は、ガイドラインに沿うものであり、また健康増進法第3
  条の地方自治体の責務に違反するものではない
 (2)今回の市議会の喫煙所は、市議会に自律権があるので「非常
  識」ではない
 (3)今回の全面禁煙は、職員にとって「チャレンジ」である
                        (総務局長発言)
  (監査委員長より、職員への禁煙サポートを、や、議員もチャレ
  ンジを、の旨の発言があった)

7.最後に監査委員長より、コメントがあれば、ということで、
 当方より以下を発言しました。
 (1)広報さかい3月号で「全面禁煙」を広報し、
  http://www3.ocn.ne.jp/~muen/yobo/sakaisikinenkoho0403.htm
  市議会の例外は何の説明もなかったのだから、やはりおかしい
  (監査委員長からも、市側に対し、「市民に対する説明責任があ
  る」との発言がありました)
 (2)大阪府内で、摂津市、大阪狭山市、四条畷市、藤井寺市など
  も市議会を含め全面禁煙を実施し、市議会も協力しているのだ
  から、堺市議会のみ「自律権」を盾にするのは、市民感情から
  納得できない
 (3)堺市の「全面禁煙」は、健康増進法遵守の好事例として社会的
  にも高く評価されている。総務局など堺市のご努力には敬意を払
  っている。しかし、市議会喫煙室は「画竜点睛を欠く」ことになる。
  是非市議会と再協議し、喫煙室使用は止めるよう、ご努力いただ
  きたい。
 (4)他の政令市は禁煙例がないと堺市側は発言したが、そんなこ
  とはないのでは、再確認し、後日この資料を提出したい
                                  以 上
 【訂正・追記】    2004.3.30
 
・上記(4)の政令市の禁煙実例について,調べたところ,
   1..2003.9.14の新聞で「京都市役所を全面禁煙へ,市議会議員
     控え室も対象」と掲載されていましたが,確認したところ,庁内
     に6カ所の喫煙室を新設したものの,煙は漏れ出ざるを得ない
     現状とのことです(電話で担当部局に聞きました)。
   2.仙台市議会は市役所とは別棟で,全面禁煙ですが,議員控え
     室は対象外で,各々の判断に任せている,とのことです。
   3.学校・園の敷地内禁煙は,政令市を含め広がっているところで
     すが,他の政令市役所については未だ全面禁煙には至ってい
     ないようです。
   4.従って,大阪府堺市の,「市役所・出先の建物内全面禁煙」は,
     政令市レベルでは,確かに前例のない先進的なもので,高く評
     価されます。
     これに,市議会の全面禁煙が実施されれば,「画竜点睛」その
     もので,他の政令市・中核市・都道府県への波及効果は絶大
     なものがあります。
   5.前記のように,大阪府内で,摂津市,大阪狭山市,四条畷市,
     藤井寺市などは市議会を含め全面禁煙を実施し,市議会も協
     力していて,この動きは全国の市町村に広まりつつあります。
   6.京都市のように「全面禁煙=完全分煙」で喫煙室を設け,ガイ
     ドラインを満たしていたとしても,それでも煙は漏れ出ないこと
     はあり得ない,のが現実です。測定器よりも,人間の嗅覚はは
     るかに鋭敏で,人の身体と健康は繊細・微妙ですし,受動喫煙
     による健康影響は避けられないのです。
   7.以上,上記(4)を訂正お詫びし,堺市議会内も禁煙とし,是非
     「健康先進都市」が,名実ともに全国的に賞賛され,堺市民とし
     て誇れる受動喫煙防止の模範例となっていただくよう願わずに
     はおれません。