本会は財務省の今回のたばこの健康警告表示のパブリックコメント
に関連して以下の意見・要望を提出しました。

http://www.mof.go.jp/comment/cm151023.htm

 

 

 

平成15年(2003年)11月5日

 

財務大臣  谷垣禎一 様

財政制度等審議会 たばこ事業等分科会 会長 様

 

 

特定非営利活動法人 子どもに無煙環境を推進協議会

     

 

たばこ事業法と所管替えなど,たばこ行政についてのお願い

 

謹啓。たばこ事業法改正,所管替え,自販機対策を含め,たばこ行政について
以下の意見・要望を提出しますので,よろしくお願いします。

 

1.たばこの健康注意表示について

(1)特に,受動喫煙の注意表示に内容に問題があります。
・子供は「子ども」と表記すべきです。しかし
・「特に乳幼児,子ども,お年寄り」と表記されていますが,国民の30%は
 いるとされているアレルギー体質の人もたばこの煙に感受性が高いので,
 とりわけ「特に乳幼児,子ども,お年寄り」を強調することは不必要です。
 「たばこの煙は,あなたの周りの人の健康に悪影響を及ぼします。子ど
 もを含め,非喫煙者の周りや禁煙場所では吸わないようにしましょう。」
 とすべきです。

(2)「依存」についての表現が緩やかすぎます。
・「ニコチンにより,喫煙への依存が生じ,喫煙を止めようと思っても止め
 にくくなります。」との表現にすべきです。

 

2.ライトやマイルドの銘柄名は禁止して下さい

ライトやマイルドの銘柄名は,喫煙者だけでなく非喫煙者に,タバコの主
要成分であるニコチンやタールが少なく,健康に害が少ないとの錯覚と誤解
を与える表現となっていて,「不当表示」にあたりますので,この銘柄名を
使うことを禁止してください。これらの銘柄はニコチンやタール量が少ない
ことをうたっていますが,これら銘柄のタバコ葉のこれら含量は,ライトや
マイルド以外のものとそう大差はありません。フィルター部分にピンホール
をあけ,主流煙を薄めることによって,表示含量を低くしているに過ぎませ
ん(表示含量は一定の方法で3cm吸った場合の主流煙中の量と決められてい
るため)。ライトやマイルドは,このピンホールを多くしているだけの場合
が多いのです。

  従って,タバコの先から立ち昇る副流煙中のニコチンやタール量は,ライ
トやマイルド銘柄は全く変わらない以上に,喫煙者の本数が増える分だけ,
受動喫煙はよりひどくなっています。

 

3.未成年者が自由にたばこを買える自動販売機は禁止すべきです

(1)2000年3月に策定された「健康日本21計画」で,国は,2010年までに
「未成年の喫煙をなくす」目標を掲げています。この目標達成にたばこ自
 販機は大きな阻害要因になっています。

(2)たばこ業界は2008年までに年齢識別機能付き自販機を設置する方針とのこ
とですが,2010年の「未成年の喫煙をなくす」目標からして余りに遅いし,
機能付き自販機で未成年者が買える状況が改善されるとは思われません。
不正使用はいくらでもあり得ます。店頭販売を義務づけるべきです。

(3)現行のたばこ自販機は,以下の点からも「たばこ事業法」に違反していま
す。違法状態が長年にわたって放置されています。

 

【たばこ事業法(許可の基準)第23条】財務大臣は,前条第1項(製造
たばこの小売販売)の許可の申請があった場合において,次の各号
のいずれかに該当するときは,許可をしないことができる。

 三 営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当
である場合として財務省令(下記の施行規則)で定める場合であるとき。

【たばこ事業法施行規則】(営業所の位置が不適当な場合は次に掲げる
場合とする)

 第20条三 自動販売機の設置場所が,店舗に併設されていない場所等
製造たばこの販売について未成年者喫煙防止の観点から十分な管理,監
督が期し難いと認められる場所

 

(4)私たちが今回の衆議院議員選挙の候補者に行ったアンケート調査でも,
回答いただいた408人の候補者のうち93%が「未成年者がたばこを自由
に入手できる自販機の至急の規制が必要」と答えています。
http://www3.ocn.ne.jp/~muen/syuinsenkyo03/syuinkohotoikekka0310.html

 

 

4.たばこ会社に,喫煙と受動喫煙の害の広告・広報を義務づける
  べきです

 

 パッケージへの健康注意表示の義務づけだけでなく,2003年10月3日の
たばこ事業等審議会で細野委員が触れているように「アメリカのメーカー
がテレビ広告をしておりました。でも,それは販促の広告ではなかったで
すね。青少年は買ってはいけないとか,そういうようなことを明示的にコ
マーシャルを打っておりました。」,これと同じく日本でも喫煙と受動喫
煙の害の広告・広報を義務づけ,消費者にたばこの害について周知をはか
るべきです。

 

 

5.未成年喫煙対策の観点からも,たばこ税率を大幅に引き上げ
  その税収の一部を,国として4項と同じように,喫煙と受動喫煙の害の対
  策費や広告・広報に支出するようにすべきです。

 

6.たばこの広告の包括的な全面禁止が必要です

たばこの健康警告表示(案)に明記されているように,喫煙及び受動喫煙
には害があり,依存性のあることが明らかになっているのですから,広告や
販売促進は全て禁止するのが当然で,視聴覚メディア・雑誌・新聞・インタ
ーネット・スポンサーシップを含め,包括的な禁止とし,脱たばこ社会の方
向を明確にすべきです。
 

7.噛みたばこや嗅ぎたばこは禁止すべきです

たばこには依存性があり,害があるのですから,上記のたばこを日本国内
で新規に販売許可するのは,国民の健康を守るべき立場の日本政府として間
違っています。販売許可はせずに,6項と同じく,
脱たばこ社会の方向を明
確にすべきです。

 

 

8.「たばこ事業法」の改正と厚生労働省への所管替えが必要です

(1)健康注意表示や広告,自動販売機など,たばこと健康に関連する内容が,財
務省所管の「たばこ事業法」に盛り込まれていますが,これらは健康問題を
所管する厚生労働省に移管すべきです。

(2)そのために「たばこ事業法」を改正してください。

(3)私たちが今回の衆議院議員選挙の候補者に行ったアンケート調査でも,回答
いただいた408人の候補者のうち73%が「たばこの健康警告表示や広告規
制の権限の厚生労働省への所管替えと,たばこ事業法の改正が必要」と答え
ています。

  http://www3.ocn.ne.jp/~muen/syuinsenkyo03/syuinkohotoikekka0310.html

 

                               敬 具