たばこはやめて! 

 

 


絵と文 坂井勝多 吉岡遥香 杉下栄一 林紗音里 樋浦真由子

           絵リライト 小原美知子

 

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 表表紙 (カバー)

 

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たばこはやめて

 

 はじまり、はじまり――

 

− ぬ く

 

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さくら

      わたしは「さくら。」 

勝一君の家のペットの犬です。

 

     勝一君の家はパパとママと妹の春子ちゃんの 四人家族です。

とっても仲のいい家族です。

 

    でも時々仲が悪くなるときがあります。 

それは、勝一君のパパが、とてもたばこを吸うからです。

 

 

    それでいつもママに怒られています。  

 

− ぬ く

 

 

 

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さくら  

今日は日曜日。

 

パパは本を読みながらたばこをプカプカ。 

そばで春子ちゃんが遊んでいます。

  

そこへたばこの煙がプカ〜リ。

 

 

 春子

「ゲホ ゲホ ゲホ

     春子ちゃんは、苦しくなって咳がではじめました。

 

 

 さくら  

「パパ、春子ちゃんが煙たいと言っているよ」

 

 

 パパ  

「ごめん。ごめん。」 

 

   − ぬ く

 

 

 

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さくら

  「パパ、たばこの煙の中には、何が入っているか、知っている?」

 

 

パパ  

「エッ、煙だろ。ほかに何か入っているのかい?」

 

 

さくら  

「たばこの煙の中には二百種類もの、体に悪いものが入っているんだ

よ。」

 

パパ  

「ええ〜、本当かい?」

 

 

さくら  

「たばこの煙には、タールと呼ばれる発ガン物質や、たばこをやめられ

なくするニコチンなどの毒物がたくさん含まれているんです。ニコチン

は、煙と一緒に血液の中に入り、血管を傷つけ、せまくして、体や脳

に、血液がうまく流れないようにしてしまいます。そのため、血管がや

ぶれたり、心臓が止まってしまうこともあるんだよ。」

 

   − ぬ く

 

スライド6

 

さくら 

「たばこの煙の中に入っている発ガン物質のために、肺ガンだけでな

く、体のいたるところにガンを作ると言われています。」  

 

 

パパ 

「煙を吸って、のどや胃なんかにもガンを作るのかい?」 

 

ぬ く

 

 

スライド7

 

 

さくら

「そうなんです 

ガンのもとになるタールなどがたくさ入っているんです。

タールは、吸い続けると、肺の中にたまって、肺を真っ黒にしてしま

います。」

 

 

パパ 

「うわ〜、ほんとかい?」

 

 

さくら 

「タールの95%は肺の中に吸い込まれます。 肺の中でからみついて

肺の中を真っ黒にします。

パパの肺の中は、きっとこんなふうに、真っ黒になっているかも知れま

せんね。」

 

 

ぬ く

 

スライド8

 

 

さくら   

 

「たばこを吸う人にガンが多いのはよく知られていますが、たばこを吸う

人と一緒に生活している、たばこを吸わない人も、ガンにかかりやすく

なるんですよ。」

 

 

パパ

「まさか? どうしてたばこを吸わない人にもガンができるんだい。」

 

 

さくら

「困ったことに、たばこの先から立ちのぼる煙の方が、吸う人の煙よ

り、有害なものが多く含まれているんです。」

 

 

パパ  

「じゃぁ、この煙を春子が吸うと、春子もガンになってしまうのかい?」

 

 

さくら  

 

「そうですよ。この立ちのぼる煙は”副流煙“といって、まわりの人の、の

どや鼻や目を刺激して、苦しくさせたり、病気にさせたりします。」 

 

      ぬ く 

 

 

スライド9

 

 

パパ  

「でも、なんだかたばこを吸わないと、イライラするんよ。」

 

 

さくら 

「それはニコチンのせいですよ。ニコチンには、体の中減っていくと、また

たばこを吸いたくなる”習慣性“があるんです。

ですからニコチンが減ってくると、体がニコチンをほしがってイライラしたり

します。中毒の一種でニコチン依存になっているのです。」

 

 

パパ 

「でも、たばこを吸うと気分がかわるような気がするんだが。」

 

 

さくら 

「それは違いますね。たばこの煙の中には一酸化炭素がたくさん入っ

ていて、記憶力や考える力をにぶらせたりします。             

この一酸化炭素は自動車の排気ガスに含まれるものと同じです。

ニコチンが体に入ってイライラが減ったために、そう思えるだけなんで

す。」  

 

ぬ く 

                                

 

スライド10

 

 

さくら  

「それにパパちょっと口の中を見てください。」

 

     

パパ 

「わ〜 歯の裏が真っ黒だ

 

     

さくら 

「たばこに含まれているタールが歯にくっついて黒くしていす。」

 

     

パパ 

「しっかり歯磨きしなくっちゃ。」

     

   

さくら 

「いえいえパパ、それだけじゃだめなんです。たばこのために、病気とたた

かう力が弱ったり、ニコチンで血の流れが悪くなって、歯ぐきに栄養や酸

素が行き渡らなくなり、歯ぐきの栄養失調をおこし、歯周病などの歯の

病気をおこしやすなって歯が抜けやすくなってしまいます。

ですからいくら歯磨きしても歯の病気を防げません。たばこをやめること

ですよ。」

 

ぬ く 

 

 

スライド11

 

 

 

さくら  

「また、たばこは、いろんな病気をひきおこしたり運動機能を低下させ

たり、勉強の能率も低下させます。」

 

 

パパ  

「運動能力も低下するのかい?」

 

 

さくら  

「たばこにたくさん含まれる一酸化炭素が、体や脳にたいせつな酸

素のじゃまをします。

そのため長い距離を走ろうとすると、体全体に力が出なくなったり、息

切れをするようになります。ですから一流の運動選手はたばこを吸い

ません。」                

                           

ぬ く 

 

 

スライド12

 

 

さくら 

「たばこは一本吸うと、5分30秒寿命が縮むといわれています。一日

20本たばこを吸う人は毎日二時間、一年間で28日も命を縮めて

います。」

 

 

パパ  

「たばこはガンになるだけでなく、体中の健康をだめにしているんだね

ー。」 

 

 

さくら  

「そうなんです。」

 

 

パパ  

「う〜ん、自分だけの問題ではないんだねー。」

 

勝一  

「そうだよパパ。僕たちのためにも、たばこはやめてよ。」

 

ぬ く                                  

 

 

スライド13

 

 

 

さくら  

「勝一君はまだ小学生だからたばこは関係ないね。」

 

勝一  

「ううん、ぼくの友達のお兄ちゃんも吸っているらしよ。」

 

さくら  

「え〜、だってまだ中学生でしょう。」

 

勝一  

「うん。だけど友達に誘われて、断れなくてつい吸ってまったみたいだ

よ。」

 

さくら  

「それはいけない。吸い始めるのが早いほど体に悪い害がたくさん出る

し、ニコチンのせいでいちど吸いはじめると、やめにくくなるんだよ。」

 

勝一  

「お兄ちゃんもやめたいと思っているんだけど、ついつい吸ってしまうらし

い。」

 

さくら  

「どうしてそんな若いうちからたばこを吸うんだろうね。最初っから吸わな

いことだよ。」

 

勝一  

「親のまねをして吸うとか、面白そうだとか、大人っぽく見せたいとか、

友達に誘われたり…。」  

                          

ぬ く           

 

スライド14

 

 

 

勝一 

「ぼくも友達から”吸いな“と言われたらどうしよう。」

 

パパ 

「体に悪い物なのだからはっきり断るべきだね。それにそんなことを誘う

なんて、本当の友達とはいえないな。」

 

さくら 

「パパ、他人のこといえるのかな?」

 

パパ  

「うーん、決めた 自分にも家族にも悪いたばこは、今日からきっぱ

りやめるぞ

 

さくら 

「パパがんばって

 

さくら 

そうしてパパはその日から、きっぱりたばこをやめることにしました。

 

 

勝一君も春子ちゃんも元気で、ママもご機嫌です。もちろんわたしも

のんびりお昼寝を楽しんでいます。   

 

                            (おしまい)

 

制作・発刊 NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会 (20041月発刊)